INTERVIEWS

The Backwoods

ありがとうございます。当初は昨年末リリースの予定だったのですが、なかなか制作が進まなかったり、レーベルの意向などもあってリリースが遅れてしまいました。
また、アルバムの全容が見えてくるにつれて、内容的にも夏にリリースするのがいいんじゃないか?ということでこのタイミングになりました。実質制作期間は1年半くらいです。 あのときたくさんの音楽好きの人たちに助けられたことが、自分の中で前に進む力になったので、力になってくれた人たちには今でもすごく感謝しています。
なので心配してくれた人たちに、このアルバムで「DJ KENTは健在だぞ!」と伝えられたらうれしいですね。 新しい名義でリリースするのもいいと思っていたので、アルバムの全容が見えて来た段階で、今回アートワークを担当してもらったAKEEMに自分のアイディアをいろいろ相談をしていました。
その中で出てきたのが「The Backwoods」でした。音的にも野外でかけたいものも多かったし、辺境の音、未開拓のサウンドを切り開いて行きたいという意味も含んでいます。 実はタイトルを考えることが曲作りより苦手です(笑)。なのでどれも苦心したといえるかもしれないです。
アルバムは序盤のダークで深い時間帯を通過して、後半に向かうにつれてどんどん光が差し込でくるようなイメージで曲を並べていきました。
なので曲のタイトルも、太陽の動きに沿った時間軸で自然界の事象をキーワードにつけたのですが、初めてのソロアルバムだし、自分自身としても新しい面を出したり、いろいろな面で変わりたいという意識が少なからずあったと思うので、少し大げさかもしれないけど、自分の内面の変化、願望ともいえるネーミングの曲も含まれていると思います。 とくにルールを作ったわけでも、権利問題を気にしたわけでもありません。今回のアルバムでもサンプリングは多少は使っています。
ただサンプリングだと、使うネタに依存することになるので、曲の展開を作ることがむずかしいし、キーなどの制約を受けることが多いので、基本は自分で鍵盤を弾いて作って、足りない場合にミュージシャンにお願いしたりという方法になりました。元々ヒップホップのトラックや、ディスコのエディットが好きで作ってきたので、サンプリングの文化やこの方法でしか表現出来ない曲もあるので、サンプリングという手法は今後も使っていくと思います。 今まではこういう曲が作りたいと思ったときに、まずはそのイメージに合ったネタになるレコードを探す作業から始めないといけなかったので、逆に時間がかかっていたと思います。
鍵盤を弾いての曲作りは、サンプリングの手法よりもアイディアをもっと早く音に変えられるように思います。
ただ音楽理論を完璧にマスターしているわけではないし、鍵盤が上手く弾けるわけでもないので、壁にぶち当たることはしょっちゅうです。
でもそういう理論が頭に入ってないぶん、今はいい意味で好き勝手にやれているのかな、とも思います。ただ、鍵盤はもっと上手く弾けるようになりたいですね。 どの曲に影響が出ているかというのはむずかしいけど、いい音響のクラブに行った体験や、QUARIONやHUNEE、DANIEL WANG、LOUD E、DJ KAOS、STEFAN GOLDMAN、FINN JOHANNSEN、EFDEMIN、AUDIO WERNER、JEROME SYDENHAM、etc.など、たくさんのアーティストたちと会って話したり、一緒にプレイしたりしたことが刺激的でした。 兄は普段はウェブデザインの仕事をしていて、プロのミュージシャンではないですが、2001年にリリースしたDJ KENT名義の「4:21」という曲や、FORCE OF NATUREの3枚のアルバムでもギターを弾いてもらっています。
プログレッシブロックが好きなので、とくにそういうギターが欲しいときには兄に頼んでいますね。
やっぱり兄弟なので、無理なリクエストにもある程度は付き合ってくれるし、一緒に作業していてもいい意味であまり気を使わずにできるという点が大きいと思います。 はい、いいアルバムだと言ってくれました。 「Sunstream」はとくに野外パーティーの朝方などにプレイしたかったので、野外パーティーシーズンが始まる前にアナログ化したっかったからです。Dubplates & Masteringは以前スタジオを見に行って、自分のEnterplayというユニットでも使ったことがあったので、間違いないと思っていました。それとハイとローの音の作り方が絶妙というか、上品になりすぎずクオリティーは高くてファットというか。「Sunstrem」はそういう要素も欲しかったので、ぴったりハマるかなと思ったからです。あと個人的にMade in Germanyにはなぜか興奮する、というポイントもあります(笑) アーティストにとっては生活に直結する問題なので、今の音楽セールスの状況は深刻だと思います。
あと自分は多感な時期に、渋谷のレコード屋に通っていい音楽やお店が発信する情報、そこに集まるたくさんの人に出会えて、それが音楽人生の中でも大きな財産になったと思っているので、これからの世代の人たちにとってそういうチャンスが少なくなってしまうのは、かわいそうなことだとも思います。でも、パーティーの現場は今も元気なので、その部分に関しては今後も大丈夫なのかなとは思っています。 具体的な解決策はわからないけど、どんどん無駄を省いてコンパクトにならざるをえないんじゃないでしょうか。
ただ、今は個人でも少ない資金で制作やレーベルを始めることができるので、メジャーよりもインディーの方がチャンスはたくさんあると思っています。 The Backwoodsでは、そのとき自分がやりたい音を表現していけたらと思っています。なのでヒップホップかもしれないし、ゴアトランスかもしれません……。 The Backwoodsとしては、7月から全国15カ所のリリースツアーが始まっています。8月6日にはelevenでリリースパーティーもあります。
FORCE OF NATUREは、来年発売を目標にアルバムの制作が始まるところです。Galarudeも現在制作が進行中で、曲が完成し次第シングルをリリースしていく予定です。