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Jimpster

名前はジェイミー・オデル、年齢は37才。イギリスの都市、エセックスに住んでいてDJや音楽プロデューサーをしている。"freerange records"と"Delusions Of Grandeur Records"という2つのレーベルを運営していて、Jimpster、Audiomontage、Franc Spanglerといった名義で作品をプロデュースしているよ。 父はフュージョンバンド「Shakatak」のドラマーで、母はジャズシンガーで、音楽に囲まれた家庭で育ったから、音楽を生業にしていくのは自然だった。常に音楽が生活の一部だし、10歳のころには父のスタジオへ行くようになり、レコーディングやスタジオ作業の過程を直に習うことができたしね。ただ自身で積極的に音楽へアプローチしたのは、ブレイクダンスがきっかけ(笑)。自分たちがブレイクダンスするときに聴いていた、エレクトロニックダンスミュージックを真似して楽曲を作るようになったんだ。 「freerange tokyo」はPrimitive Inc.とWAREHOUSE702が、"freerange records"のレーベルパーティを定期的にやろうと提案してくれたのがすべての始まりだよ。WAREHOUSE702は"freerange records"には完璧な場所だと思う。オーガナイザーやクラブと一緒に、日本のローカルDJも含め、自分の好きなディープハウスを共有できる魅力的なラインアップのアイディアを考えながら開催しているよ。 コンセプトはシンプルで"freerange"ゆかりのDJやプロデューサーをむかえて定期的に開催していくこと。パーティーを続けていくことで、日本のシーンでもさらに成熟したカルチャーが生まれるし、自分のクリエイションを理解してくれる人たちが増えると思っている。WAREHOUSE702のすばらしいサウンドシステムのおかげで、ハウスミュージックのよりディープで音楽的な側面を表現できるってのもいいよね。 確か1997年に「Sound Of Speed」のパーティーでDJをするために、初めて日本へ行って。そのあとはDJ公演かThe Baysのバンド公演で、年に1、2回ぐらいの頻度で日本へ行っているんだけど、とにかくいろいろな意味で日本のことが大好きだよ。富士山のような美しい静穏も感じるものがあるし、反対に東京のクレイジーなエネルギーも刺激をうける。クラブのシステムや優れたスタッフ、熱狂的でありながらも極めてオープンマインドなパーティアニマルたちとかね。日本のオーディエンスは音楽に詳しいから、ありふれたコマーシャルな楽曲よりも、オーディエンスとの駆け引きを楽しめるようなプレイを心がけているよ。 DJをスタートさせるタイミングではオーディエンスの雰囲気を汲み取りつつ、徐々にウォームアップさせるために暖かい楽曲やグルーヴィーなトラックを選ぶようにしている。その場のエネルギーをキープしながらテンションを高めていくのは、繊細なバランスの上に成り立っているんだけど、常にダンスフロアで楽しんでもらうために、飛び道具的な楽曲も常に用意しているよ。基本的にはヴォーカルが入る楽曲は人間的な要素が加わるから大切だし、それとは別に実験的でエレクトロニックな楽曲をプレイするのも、アブストラクトな部分を紹介できるから好きだね。 Floating Pointsのほとんどの作品、最近のDam FunkのLP、それとRick Wade、Omar SやKyle Hallなどのデトロイトハウスだよ。彼らからはシンパシーを感じる。 あたりまえだけど自分のレーベル、"freerange Records"と"Delusions Of Grandeur"のプロデューサーたちは大好きだよ。 とくにDeetron、The Revenge、Manuel Tur、Tony Lionni、Session Victim、Tornado Wallaceといったプロデューサーはすばらしい音楽を作っているし、Milton JacksonやShur-i-kanからは逆に影響を受けたりもする。自分が好きな楽曲はディープでより音楽的なハウスミュージックだけど、最近だとThe RevengeやSession Victimなんかの生っぽくて、ディスコエディットの素材を含んだデトロイトスタイルが気になるね。 噴火で来日できなかったことは、とてもストレスだった。「freerange tokyo」に関わっていたすべてのスタッフも同じ気持ちだったと思う。ちょうど家を出ようとしたときに空港が閉鎖されたとニュースで聞いたんだ。ダイスケ(Primitive Inc.)とも何度も連絡を取り合って、なんとか日本へ向かえるように何種類もの手段を尽したんだけど結局不可能だった。すごく残念だったけどパーティーだけでも開催されて、いい内容だったみたいだから、それだけはうれしかったよ。とにかく今回こそは何も悪いことが起こらずに、無事に日本へ行けることを願っているよ。 日本でプレイするのは常に新鮮でうれしいことだけど、前回の「freerange tokyo」は過去に経験したことがないぐらいベストなパーティーだったよ。オーディエンスとスタッフ、そして自分自身が1つになれた気がした。"WAREHOUSE702"はすばらしいクラブだし、今回も、あのブースでプレイするのがものすごく楽しみだよ。キミたちが期待している以上の時間が過ごせることは保証するから(笑)、ぜひ遊びに来て欲しいね。