INTERVIEWS

Robert de Boron

- 今作『ON THE RAINBOW』は、過去の作品と比べて全体的により歌の要素が強い作品だと感じました。ラップとしてのボーカルではなく、歌として1曲聴かせるための曲にまとまってる気がするというか、、、その辺は意識されたのでしょうか?

 そうですね。アルバム『ON THE RAINBOW』は、メロディーを生かした作品になってるとは思います。特に意識して作ったわけではないんですが、人生の辛い時期にさしかかってる人がこれを聞いてホッとできたら嬉しいですね。
 

- 一貫して「温もり」や「美しさ」を感じられる音楽を作り続けられているように思いますが、それはある種Boronさんの美学なのでしょうか?

 美学って言う程のものではなく、これはとても単純な事で、人が感じる温もりや優しさは美しいって事なんじゃないでしょうか?一音楽家として、人の心に届けたいという意識は当たり前のように持っていて、音は形のない魂みたいなものだと思っているので、それが温もりや美しさと捉えられているのだとしたら、とても光栄です。
 

- 本作を含め3枚のアルバムを今までにリリースされているわけですが、制作の過程や考え方などにおいて変化はありましたか?

もちろん!僕自身は好奇心の塊みたいなもので、まだまだやりたいことや試したいことは、たくさんあるし、常にそうだったから、それは変化とは呼べないかもしれませんね。制作は、僕にとってとても楽しいことだし、チューニング1つとってもそこに未来すら感じています。毎日音楽に触れることができてとても幸せだし、毎日が休日みたいなものといってもいいかもしれません。本当に恵まれてると思うし、そこは今でも変わりませんね。
 

- 5曲目の「Pround To Be feat AWA and Maitreya」が、レゲエのような温かさとR&Bのような色気もあり1番好きでした。

これは、初めてウクレレで作った曲で、夏にとことんウクレレの音色にのめり込んで、ほかの楽器に触れなかった時期があって(笑)。車にも簡単に積めて便利だし、気持ちいい音のする最高の楽器ですね。僕の音楽を聴いてきてくれている人は知っていると思うんだけど、AWAとはもう結構長くて何曲も一緒にやっているんですが、ウクレレとAWAはいい相性だったと勝手に思っています。実は、ジャンベもひそかに買ってしまったくらい土臭い音色にやられた時期に作った曲です。もちろんお気に入りの1曲だし、どの曲でも心に引っかかってくれたなら嬉しいです。
 

- 11曲目の「Fly Away feat Native Sun」も素敵な曲ですね。曲には、聞き手に感情移入をさせる力があると常々思っているのですが、その力が大きいか小さいかで私は曲の善し悪しを判断している部分があります。この曲は、Lauryn Hillの「Can't take my eyes off of you」を聞いた時のような気持ちになりました。

いい曲になった自信はあるんですが、いろんな事情アリアリで相当苦労させられた曲でもあります(笑)。アルバム全体を通してもすごいしっくり来る場所に収めたつもりですし、大きな流れを壊さず、きれいにまとまった感じが気に入っています。聴き手がどの曲で感情移入するかは聴いた側の人たちの自由で、おのおのやりたい放題だから楽しいとも思います。この曲は泣く曲だ!この曲は電車で聴いてイライラを押さえる曲だ!!これはクラブで開放する曲だ!これは家出て、、、!!これは。。。!ってそんなのはナンセンスな気もしますし(笑)。でも、泣けました、感動しました、って、聴いた人が感情に響いたよーってレスをくれると最高に嬉しいんです。その時が1番やっててよかったって思える瞬間なのは間違いないですね。
- ファーストアルバムには、Primal Fear ft. Warren B & MOという日本語ラップが入ったトラックがありましたが、今後日本語の曲は作られる予定はないのでしょうか?

日本語の曲はむしろ作りたいし、やってみたいと思ってますね。ただ本気で取り組む以上自分が納得できるものをやりたいし、今はそのタイミングじゃないと感じています。僕自身がそんなに日本の音楽を聴かないのにも問題が有るのかもしれませんが、、、(笑)。以前1度、SHUNというアーティストに楽曲を提供した事がありますが、彼は僕の作ったトラックの上で日本語でラップをしていましたし、もちろん素晴らしいアーティストだったし、いい曲に仕上がったと自負しています。良かったらそちらもぜひチェックしてみて下さい(笑)。
 

- リスナーが『ON THE RAINBOW』を聞いて想像するRobert de Boronとは、いったいどんな人物像だと思われますか?

曲を聴いてくれてる人が興味を持ってRobert de Boronってどんな人??って調べてくれて、TwitterやFACEBOOK、ブログやら過去のインタビューとかにたどり着くと思うんですが、僕って多分あまりに多くの人格をそこに置いてきてるような気がします。でも、チャラチャラしてるのも僕だし、クソまじめなのも僕、悩んでる姿も僕だし、もちろん音楽作ってる僕も全部僕なんです。だから、一貫して全てを見てくれているリスナーや興味を持ってくれている人は多分、これもこれも全部Boron!ってなると思うんですが、断片的に見たらすごく固い人間か、とてもアホな人間って思われているような気もします(笑)。僕自身がイベントや現場のオファーを拒否してる事もあるし、世に出て行かないせいもあるのかなとは思うのですが、実際ちょっと困っている部分もあって (笑)。なにかいいアイディアありませんか?ユーストリームでもはじめてみましょうかね?(笑)
 

- 以前ご自身で、Nujabesのイチファンとおっしゃっていたのを記憶していますが?

確かにイチファンでしたよ。みなさんが誰かの音楽に没頭するのと同じで、新しいアルバムが出るってアナウンスがあれば心弾ませて待ってましたね。みなさんも好きなものを心待ちにする時はそんなものでしょう?でも、他にも腐るほど好きな音楽は有るし、ビートルズもピンクフロイドもジェーンズアディクションもジャックジョンソンだってボブマーリーだって大好きです。ヒップホップだけが僕を作ってるわけじゃないから。ただ音楽が好きなんです。
 

- 最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

音楽には、記憶のカギという側面があると個人的には思うのですが、例えば、昔聴いていた音楽にとてつもなく久しぶりに触れた瞬間、その時の匂いや雰囲気、場所や人、忘れてた記憶が次々に蘇る事がありますよね?そんな、いろんな人にとってのいろんな思い出のカギになれたらロマンチックだなと勝手に思っています(笑)。今作は、あまり複雑にこうしよう、ああしようとは考えずに1年3ヶ月かけて作っていきました。心を裏切らずにできたから、とてもクリエイティブな作業だったし、真剣に取り組んだからなのか、はたまた偶然なのか、いろんなところに前向きな伏線を散りばめる事ができたと感じています。そんなところもすごい気に入ってるし、僕自身のありのままを表現できた作品だと思うので、聴いてくれるみなさんもそういう風に前向きな風に引っ張られてくれたら嬉しいです!
 
 

 

- Information -

アーティスト:Robert de Boron
タイトル:ON THE RAINBOW
レーベル:GOON TRAX
価格:¥2,520(税込)
発売日:4月10日(水) / iTunes4月3日(水)先行配信

●トラックリスト
01. Time Machine
02. All On The Table feat. Magnetic North & Taiyo Na
03. Home Pt.2 feat. Tunji
04. Carry On feat. Taro Miura from HO17 & Dawngun
05. Shine a Light Pt.4 (Proud To Be) feat. AWA and Maitreya
06. Visions feat. Thig Nat (from The Physics) & Mario Sweet
07. Saisei no Uta (Chiru)
08. A New Day feat. Sam Ock
09. interlude
10. Moving On feat. The Antidotes
11. Fly Away feat Native Sun
12. Sunny Days feat. AMP
13. On The Rainbow feat. Badil & MO
14. How Do you Sleep?

■Robert de Boron
http://robertdeboron.com/