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Kiyoshi Sugo

- まずは簡単に経歴からお伺いしたいと思います。プロフィールには2009年に始動と書かれてありましたが、わずか4年でアルバム2枚をリリースされたのでしょうか?2009年以前は、何をされていたのですか?音楽制作を行ったきっかけや、現在の制作環境について教えてください。

 叔父がドラムをやっていてドラムセットを譲って貰ったのをきっかけに音楽をはじめました。その後バンドを組んでライブ活動をしたりしていたんですが、メンバー間で音楽性の違いが生じたりして、そういうのを気にせずに続けていける方法を自分で考えてたりしてた時期に、DTMと出会って、トラックを制作しはじめたのがきっかけです。それが2008年ですね。その後、2009年にSNSを使って自分のオリジナルトラックやリミックスを公開していくと、海外のブログに楽曲が取り上げられたり、レーベルからリミックスのオファーを頂いたりもしました。その頃から制作環境は変わらずベッドルームで制作してます。
 
- なるほど、音楽はバンドのドラマーとして始められたのですね。ということは、音楽的ルーツや影響を受けた音楽などもロックが多いのですか?本作にもそのルーツ的な部分は投影されているのでしょうか?

 Red Hot Chili Peppers、Rage Against The Machine、Nirvana、Smashing Pumpkinsなどの90'sオルタナティブやミクスチャーを青年期に聞いて過ごして、その後はFeeder、Radiohead、Coldplay、Travisなどのブリティッシュ系のサウンドの方に傾倒していきつつ、いわゆるバンドものではないエレクトロニックなサウンドの方も、Massive Attack、The Prodigy、The Chemical Brothers、Underworld、Aphex twin、Bjorkなどを聞いていました。やはりルーツはロックなので、基本はロックなものが好きですね。『All In Black』にも影響を与えてると思いますよ。
 
- やはりそうなんですね。でも今作はテクノ、エレクトロ、ダブ/ブロステップ、アンビエント、チルウェイヴまで、さまざまなジャンルのサウンドが同居しているように感じました。ご自身では「ダンスミュージック」というフィールドを意識されているのでしょうか?また、Kiyoshiさんにとってのダンスミュージックの概念をお聞かせください。

 もちろん意識していますよ!ただ、僕の場合は枠に捕われない作品作りをすることをモットーにしているのと、今自分がかっこいいと思えるもの、出したい音を自分のパレットに置いて自分の色で色付けていくようにしています。クラブミュージックではないですが、日本の盆踊りだってダンスミュージックだと思うので、踊れる音楽というよりはみんなの心を躍らせる作品を作っていきたいです。音楽に片思いし続けたい。

  - 正直Kiyoshiさんの音を聴いて、パッと思い浮かぶ日本のアーティストがいないのですが、どなたかシンパシーを感じる日本人アーティストの方っていらっしゃいますか?

 シンパシーを感じる日本人アーティストはまだ出会っていませんね (笑) 探求し足りないかな(笑)? 逆にどんどん誰か教えてほしいくらい。シンパシーを感じる方といろいろ一緒にやれたらいいなと本当思う。アーティストそれぞれにその人のサウンドに色がある。だから音楽はおもしろいし、みんなシンパシーを感じてしまったらつまらないよね。共通して言えることは、みんな同じ「音楽」という2文字を奏でている事だと思うので、細かいジャンルは抜きにしてアーティストはお互い手を繋ぎあっていくべきだと思う。1人より2人。2人より3人。
 
- 個人的な興味なのですが、それでは昨今の「EDM」と呼ばれるシーン、呼び方、についてはどう思われていますか?

いいとおもいますよ!ですが、その「EDM」の定義が最近おかしくなってきているなとも思ってます。そのアーティストは「EDM」では無いのでは?という納得できないところもあったりしますね。世間一般に広める側の問題だったりもしますし。難しいですけどね。ただ、僕は「EDM」ではなく「Music」=音楽を作ってるつもりです。僕の音は直球の「EDM」ではないはずです。楽曲を聞いてもらえればわかると思います。
 
- 確かに。作品をとおして、基本的にメロディーはポップでポジティブな印象を受けましたが、ご自身の中で、アルバム全体を通して描こうとしたイメージなどはあるんですか?

アルバムタイトルの『All In Black』には、いくつかの意味があるんですが、その中の1つに、僕の中の黒のイメージには"恐怖"があって、"その恐怖に打ち勝とうぜ"っていう気持ちを曲中の歌詞にメッセージとして込めました。このアルバムが4月リリースというのは、アルバムを制作しはじめた時点から決まっていましたので、4月というのは新生活や何かをスタートさせる始まりの時期でもあり、何かを始めるということには、絶えず希望や不安、恐怖を持つと思います。そんな恐怖に負けずチャレンジしていこう、そしてこのアルバムを聞いてくれている誰かの背中を押すことができたら、その人の内に秘めた扉を開くきっかけになり、有彩色を引き立たせる黒のように誰かの生活に彩りを加えればいいなと思っています。そういうポジティブな思いも込めてセカンドアルバムのタイトルを『All In Black』に決めました。
僕の音楽を聞いて元気がもらえた、勇気を出して踏み出す一歩になったとか楽曲を通じて何かを感じとってもらえたらいいなと常に思いながら制作しています。

  - サウンドメイキング、ミュージックビデオ、ジャケットなどのアートディレクション&デザイン、スタイリングまでを全て自身で手掛けているそうですね。

 単純に自分の手で物を作ること表現することが好きで自身で手がけてます。音以外のところ、映像や写真も作品の一部として常に考えてるので。もちろん自分には、できないこともありますし、そういう時は自分とイメージをシェアできて尚かつ信頼をよせている方に任せる時もあります。

  - 最後に、本作はご自身にとってどのような作品に仕上がったと思いますか?

『All In Black』を制作していく中で初めての試みだったり、チャレンジしたこともありました。前作のアルバム『Ao Akua』では、自分の大好きなアーティスト、ボーカリストをフィーチャーしてアルバムに参加して頂いてもらったのですが、今回の『All In Black』では、ボーカリストのフィーチャリングは1曲もないんです。歌と作詞を自らがしました。『All In Black』では、曲を作っていく中で、自分の中から溢れ出てくるもの、込み上げてくるものを自分の力で作りあげて組み立てていく、表現していくということにチャレンジしました。そういう意味でもこのアルバムは自分にとっての成長に繋がった作品にもなっていると思います。『All In Black』を聞いてくれている人が何か幸せ喜びを感じ、生きる希望を持ってくれたら本当に嬉しいですね。
 
- 今後の躍進に期待しています。ありがとうございました!!

ありがとうございました。
- Information -

タイトル:All in Black
アーティスト:KIiyoshi Sugo
レーベル:CLUSTER SOUNDS
発売日:4月10日
価格:2,400円(税込)

■詳細
http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4229-All-in-Black/