INTERVIEWS

VENUS KAWAMURA YUKI

 
- 90年代ザッピングカルチャーを過ごしたものが、2014年代 にインターネットやさまざまな土地の呪いみたいなもので1つになったとでもいうのでしょうか。- 
 
 
- KAWAMURAさんはどうった経緯で音楽に携わられるようになったのですか?

まずは遊びに行く側の話から始めると、初めてクラブに行ったのは14歳の時で"GOLD"に行きました。それから吉祥寺の"ハッスル"に行って、その後" Kagero "(現UNITがある場所)でかわいがってもらっていました。

遊びに行く側から実際に業界に携わり始めたのは、Kageroのあった場所の名前が変わり、Candlelight Clubとなってから、ハヤトという友達とDJ YO-Cと一緒に「heaven」っていうパーティーをやりだしたのがきっかけです。その後「Sound Collection」っていうイベントを新宿" CODE "でやって。ユーロトランスが流行っていたのでFerry CorstenとかTiestoとかを呼んだり、Slinkyを初めて日本に呼んだりもしました。トランスのパーティーでチルアウトのゾーンを作ったりもしました。私は性格がダウナーだったので『Cafe Del Mar』っていうJose Padillaがプロデュースしているイビサ島のコンピレーションシリーズを全部集めていて、パーティーの後に家に帰ったらそればかり聴いていました。それでJose Padillaに憧れて2000年くらいにDJを始めました。
 
- DJへの入り口がチルアウトのDJって珍しいですね。

そうですね。あと思い出でもありますがJose Padillaが"Yellow"にに来ていた時にチルアウトから影響を受けたダンスミュージックをプレイしていて、それにも影響を受けました。

  - KAWAMURAさんは、今までいろいろなことをやられてきてますよね?

本能的にやってきたものが積み重なって、今があるという感じですね。私はプロデュースすることが好きなんです。昔はパーティーをやったり、今は店舗だったり、今回のコンピだったりのプロデュースだったり。いろいろやっているように見えますが、一晩をオーガナイズするのか、一軒を何年かオーガナイズするのかっていう少しの差だと思うんですよね。軸となっているのは、自分はチョイスする人間だということでしょうか。
 
- 今回のコンピを聴いた感想なのですが。七尾旅人さん×LUVRAW & BTBのようなドメスティック音楽で始まって、London Elektricity × AMWE × 環ROYによるUKベースミュージックとの日本人ボーカルとラッパーのコラボから、Sakiko Osawaさんのハウス・テクノマナーに乗っかった曲が続く中、ナマコブリのような日本独自のサブカルサウンドもあり、COLDFEETが花魁をイメージするような昭和歌謡・ブルース、もしくはキャバレーのような歌があって、最後の方は日本らしい哀愁のあるトラックが収められていました。いろいろなジャンルで日本的要素はあるけど、いかにも日本ぽっくなりすぎていなくて、都会的なコンピだなと思いました。

私が90年代に青春を過ごした時はたくさんのレコードがCDに再発された時期でした。渋谷系ブームとかもあって、名盤が毎月何タイトルもリリースされたので新譜も旧譜も一気に入ってきました。当時の私にとっては旧譜でも初めて聴くものだったので、例えば90分のテープにまとめる時は、自然に新旧折り混ざったミックスになっていました。そういった時代を過ごした感覚が、今作にはおっしゃるような形で表れたのかなと思いました。90年代ザッピングカルチャーを過ごしたものが、2014年代にインターネットやさまざまな土地の呪いみたいなもので1つになったとでもいうのでしょうか。

あと今作は、人間関係そのものなんです。3.11以降って、すごく人間関係が見直されて重要になってきたと思うんです。やっぱり電話やメールじゃなくて、空間を介して人と人とがしゃべれるというのは重要なことだと思いました。本作に収録されているアーティストはほぼ全員が友達で七尾旅人は昔からの友達だしLUVRAW & BTBもOIRANでZEN-LA-ROCKのPVを撮っていたし。London Elektricityは私がAMWEの歌詞を書いているので。環ROYとも初のラップ共作なんですよ。Sakiko Osawaは、私がプロデュースしていますしナマコプリもそうですし。

4月9日リリースなので春が来て最後は夏が来るような、人生の夏に入っていけたらな、という思いが込められています。

  - KAWAMURAさんは東京出身ですか?

練馬出身で仙台育ちです。子供の頃10年くらい仙台にいました。そのあとはずっと練馬です。練馬楽しいですよ。

  - KAWAMURAさんは、東京的要素をすごく意識されているな、という感覚があったんですが、そこまで東京という都市にこだわる理由とは何でしょうか?

20代の頃に海外で暮らすことやDJを一生懸命やっていたころに海外に行くことがあって、ナショナリティーとか住んでいる土地への質問をよくされていたので、誇りを持ってそれに答えていかなければいけない、というのが自分の中にありました。あとは東京の美しさとか、素晴らしさっていうものを再確認したということもありますし。ここのお店には、海外旅行のお客様が本当に多くて、お店の雰囲気だと思うんですけど海外メディアの方やアーティストさんもたくさんいらしてくれるので。そういった方々からは東京のことを質問されるし要求されるので、毎日渋谷や東京を意識しているために自然とそうなったんだと思います。

  - KAWAMURAさんは、東京的要素をすごく意識されているな、という感覚があったんですが、そこまで東京という都市にこだわる理由とは何でしょうか?

20代の頃に海外で暮らすことやDJを一生懸命やっていたころに海外に行くことがあって、ナショナリティーとか住んでいる土地への質問をよくされていたので、誇りを持ってそれに答えていかなければいけない、というのが自分の中にありました。あとは東京の美しさとか、素晴らしさっていうものを再確認したということもありますし。ここのお店には、海外旅行のお客様が本当に多くて、お店の雰囲気だと思うんですけど海外メディアの方やアーティストさんもたくさんいらしてくれるので。そういった方々からは東京のことを質問されるし要求されるので、毎日渋谷や東京を意識しているために自然とそうなったんだと思います。

  - 印象に残っている国はどこでしょうか?

影響受けたのはパリですね。古い建物を大事にするという文化が衝撃的で。日本は逆に新築にこだわりますよね?特にウチらの親世代は。パリのような感覚は現在の日本人にはあまり表立ってない感覚だと思うんです。不便を愛するというか。例えばゴールデン街だとか渋谷の飲んべえ横町のトイレは鍵付きで1個しかないみたいな。でも意外とそこに渋い面白い人が集まっていたりだとか、不便を愛するっていう感覚が日本人にも滞在的にあったはずなんですよね。フランス人は日本が好きだし日本人もフランスが好きじゃないですか。お互いが惹かれ合う部分ってそこだったんじゃないかなあと思うんです。パリは、最初暮らしててなんでこんな場所来たんだろうって思ったんですけどだんだん好きになりましたね。あとはニューヨークですね、アグレッシブだし。あとはイビザですね。”PACHA”とか”Amnesia”とかも楽しかったんですけど、Jose Padillaの紹介で、PACHAの元ダンサーの方がやられている”DOME”っていうお店があって、Ana Mariaというアイコンと仲良くなって毎日そこに行っていました。そこはクラブに行く前に行く場所なんです。すごくたくさんの人が来ていて、これは日本にないって思いました。道玄坂ってイビサタウンみたいだなって思ったし、居酒屋以外で待ち合わせできる場所とかあればいいなと思いました。あと30代半ばになると友達が子供できたり仕事が忙しくてクラブは行けないってなった時にクラブっぽいところで飲みたいとかもあって。

   
- 人生において1番クリエイティブなことって、子供を作るか出会いを作るかかもしれないと思う時もあります。 -
 
 
- 今年で4年目を迎えるわけですが、お店を経営するにあたってどういったことが難しいですか?


お店って総合芸術というか、参加型アートだと思うんです。想像もしないことが起こったりするんです。インプロヴィゼーションの連続なんですよね。20歳くらいの時にパーティーをプロデュースしていた時とあまり変わらないんですけど、発信側と空間があってお客様がきて面白いゲストが来たり、という参加型アートなんですよ。それが恐くもあるし楽しみでもあります。ここで出会って結婚した人もいますし一緒に仕事を始める人もいるし。人と人との出会いを作れるのはすごいことだと思っています。なにより、人生において1番クリエイティブなことって子供作るか出会いを作るかかもしれないと思う時もあります。

  - "しぶや花魁"を作る時に、最初に道玄坂って決めていたんですか?それともこういうお店を作りたいから道玄坂を選んだのでしょうか?

もともとはお店なんてやるつもりなかったというか、むしろ自分には向いていないのでやりたくなかったです。人見知りだし、飽きっぽいし、義務になると病むし(笑)。こんな人がお店やれる訳ないと思っていたから奇跡です(笑)。

環境とタイミングに恵まれていた点は大きいです。昔遊んでた友達が不動産屋だったり、別の友達がスペースデザイナーだったり。で、その不動産屋とスペースデザイナーがたまたま相談にきて、でも5分でやるって決めました。やるしかないと思いましたその時は。さっきのイビザで見たウォームアップバーがここならできると思ったんです。道玄坂って面白い街ですよ。だって、映画館があってライブハウスがあってクラブがあってホテルがある。愛と文化にあふれた場所だと思ったんです。イビザタウンに似ていると思ったんです。こんなところにお店出したら面白いだろうなという安直な気持ちで始めました。

  - 別のお店もプロデュースされていますよね?

代々木VILLAGEで”代々木カリー”ってお店をやっています。カレーを毎日食べたいので。
歌謡曲とシティポップスが流れる店内で和風カレーが楽しめます。これはDJとしてではなく、作詞家としての私の脳味噌で空間演出を考えた節はあります。しぶや花魁との違いを楽しんでもらえたら嬉しいですね。

   
- 音楽があって音楽が鳴る場所があって、人が集まって、おいしいお酒を飲んで、美味しいものつまんで、出会いがあって。それが毎日あってみんな健康だったらとっても幸せですよね。 -
 
-今回<OIRAN MUSIC >をスタートしたきっかけというのは?

毎日海外の方に日本人であることを日々問われる中で、それをコーディネートして世界に発信してあげることができるんじゃないかと思ったんです。こんなに、愛と文化という日本の財産が詰まった街なんだから。イビサタウンは賞賛されているのに道玄坂はヤバい街って大人は顏をしかめるじゃないですか。それもなんとかしたいですよね。

  - <OIRAN MUSIC>をレーベルではなく音楽ブランドと形容されていますが、何か理由があるのでしょうか?

私たちは、印象やイメージを作る仕事と言っていいかもしれません。それってレーベルではないんですよね。海外のレーベルと< OIRAN MUSIC >がコーディネートして若い才能をアムステルダム経由でリリースするとか、そういうことをした方が面白いのかなと思って。今回のコンピレーションみたいに、音楽ブランドとしてCDをコーディネートさせてもらうこともあるし、配信だけでアムステルダムのレーベルからリリースしたり、もしくは洋服のブランドと組んでTシャツとUSBをセットでリリースしたりとか、変幻自在なプロジェクトにしたかったというのがあります。

   - Sakiko Osawaさんを第1弾として起用した理由は?

恋と一緒ですね。彼女が2月にリリースしたデビューシングルのカップリング「Southern Cross」っていう曲のデモを聴いた時にこれはと思って。本人もどこかで公式リリースしたいと言っていて、それを実現できるのは私しかいないんじゃないかと思ってしまったんです。やろうと言って半年という恐ろしいくらいのスピードでできてしまいました。彼女は才能もあるしラッキーガールでもあって、これからのクリエイターとして面白いんじゃないかと思いますね。

  - 彼女との出会いも花魁ですか?

そうです。彼女はジャーナリストのモーリーロバートソンのアシスタントをやっていた時代があるんですよ。私がモーリーロバートソンとすごく仲がよくて。

  - 交流関係が広いですね

そうですかね?人見知りですよ(笑)。激しい人見知りで困っちゃうんですよ(笑)。
 
- なぜロンドンでもベルリンでもなくアムステルダムを選んだんですか?

やっぱりオランダってすごい国なんですよね。女王と国王が家族で一緒になって踊っちゃう国なんですよ(笑)。とんでもない国じゃないですか?やっぱり踊ってると嫌なこと忘れるんですよね。私も2時間くらい一心不乱に踊ったりするんですけど。国王も踊ってる国なんて素敵だ思って。そこのフィーリングやバイブレーションを道玄坂と繋げたいと思って。ロンドン、ベルリン、ニューヨークはリリースしてる人いっぱいいるけどアムステルダムってまだ日本人そんなにリリースしてないじゃないですか。あと単純に好きですね。美味しいものいっぱいあるし、静かで美しい街ですよ。

 

  - <OIRAN MUSIC>の最終的なビジョンはありますか?

ないですね(笑)。経営者失格なんですけど野望がないんです。素晴らしい音楽に出会ってそれをリリースする手助けができれば最高ですよね。それだけだと思います。音楽があって音楽が鳴る場所があって、人が集まって、おいしいお酒を飲んで、美味しいものつまんで、出会いがあって。それが毎日あってみんな健康だったらとっても幸せですよね。
 
- Information -

4月9日(水)花魁OKINAWA @ Record & Music 「ON」(沖縄)
DJ : shiba@FreedomSunset, DJ Sleeper, VENUS KAWAMURA YUKI
https://www.facebook.com/events/301028700045325/

4月11日(金) 22時 Tokyo Eternal Triangle presents 7 Stars Music Amsterdam Night @しぶや花魁(東京 渋谷)
DJ&Live : Frank Lamboy(N.Y.C), Sakiko Osawa(OIRAN MUSIC) etc
http://oiran.asia/cluboiran/

4月12日(土)18時30分 Freedom Sunset x OIRAN MUSIC @ Jicoo(東京 日の出桟橋お台場 船上パーティ)
DJ&Live : 井上薫(Chari Chari), shiba@FreedomSunset, Saga Bloom(7 Stars Music / Amsterdam), Sakiko Osawa(OIRAN MUSIC), VENUS KAWAMURA YUKI, haraguchic
http://www.jicoofloatingbar.com/liveinfo/#post-1738

4月13日(日)17時 花魁WEST ft. OL KILLER @ Joule(大阪)
DJ&Live : OL KILLER, Seiho, Sakiko Osawa (OIRAN MUSIC), DJ TANKO, Isao a.k.a Lucas, VENUS KAWAMURA YUKI, DJ OMKT and more
Supported by 9ELEVEN
ローソンチケット Lコード 58377
http://9eleven.jp/ARCHIVE/89

6月1日(日)DOATAMI presents 花魁ATAMI @ Nagisa(熱海)
DJ&Live : Watusi(COLDFEET), Sakiko Osawa, VENUS KAWAMURA YUKI and more
http://doatami.jugem.jp/?eid=201


warm up Bar & Restaurant しぶや花魁
http://oiran.asia
不定休 18:00til Late
渋谷区道玄坂2-22-6 03-5456-8782