INTERVIEWS
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Jeff Mills

 
- DJブースで人前に立つ私は1人だ。だからDJにとって集中すべきポイントはただ1つ。音楽の全責任をとればいい。音楽は見えない第3者であり、DJがコントロールしなければならない。-
 
 
- Jacqueline Cauxとコラボレーションへ至った経緯は?

彼女とは、パリに共通の知り合いがいたんだ。

  - 今作のコンセプトは?

 電子音楽を作る人の心理を表す、これまでに作られたことのない映画を作りたいと思った。これまでパーティーなどでプレイするDJをドキュメントする映画はあったけれど、違う角度からアプローチしてみたかったんだ。パーティーでプレイするDJを映す以外の描き方があると思っていた。内面的、心理的な側面から描くことで、生きるために創造する人々の精神構造を表現することができるのではないかと考えた。

  - どのように制作へ入りましたか?いつものようにリサーチをしたのですか?

 今回の映画についてリサーチは必要なかった。これは私の生き方そのものだ。ただ我々が生きている人生、明日はどこへ向かっているか、未来はどんな風景になるのかを正確に伝えるために、18ヶ月に渡ってJacquelineと徹底的に議論を重ねた。主に音楽に携わってきた自分の人生について話し合った。宇宙や科学への傾倒についても含めてね。私が人類についてどう考えているのか、何を信じているかを深く考えるプロセスだった。さらに、私の音楽を聴いてくれる人に何をもたらすことができるか?そこから得たものを人生でどう活かしてほしいか?音楽の社会的役割とは?ということも話し合った。
 
- DJの役割とは?

 観客も共に歌い、ショーマンシップを見せるロックバンドとは違い、DJブースで人前に立つ私は1人だ。だからDJにとって集中すべきポイントはただ1つ。音楽の全責任をとればいい。音楽は見えない第3者であり、DJがコントロールしなければならない。
 
- DJが1人であることの孤独感をあなたはアルバム『One Man Spaceship』で表現しましたね。この作品でも同じ孤独感が表現されていると思いました。今作では、あなた自身が出演されていますが、ほとんどのシーンであなたは1人です。

悲しげに見えるという人がいるかもしれないが、それはDJという仕事の性質によるものだ。私ほど長くやっていると、楽しむかどうかは問題ではなくなる。私は本能的にDJしているのだ。

  - 以前はDJしている時だけでなく、スタジオにいる時の孤独についてもふれていましたね?今でも次にプレイするパーティーのために音楽を量産されていますか?

 さらに以前の10倍の量の音楽を作っている。音楽を買ったり、他の人が自分が気に入る音楽を作ってくれるまで待っていては十分ではないのだ。パーティーでプレイする時に、自分が伝えたいことを正確に伝えてくれる音楽が必要なのだから、自分で作るしかない。しかし、その音楽はすべての人が買えるものでなくてもいい。だからスタジオにいるときにはブッキングされた特定のショウで伝えたいことを伝えるために音楽を作るのがほとんどになっている。人が手に入れたり、何度も聴いたりするものではないから、より実験的になれる。プレッシャーが少ないからね。

  - この映画も他の作品同様にSFからの影響が強く感じられます。

 私は、SFに強く影響を受けている。これは、パーティーに来る人たちが音楽から何を得ようとしているのか?何を期待しているのか?を考えてみた結果なのだ。その疑問への私なりの答えは、人々はどこかへ連れていってほしい、どこか別のところへマインドを連れていってほしいということに尽きる。これは、現実とかけ離れた世界へと誘うSFと同じだ。私は人々が現実から解放される道を作ろうとしている。あるいは、現実を違う角度から観ることができるようなものを作ろうとしているのだ。

  - あなたはご自分の活動を通じて何を伝えたいと考えていますか?

私はもっと多くの人々が考えるべき問題についての音楽を作りたいと思っている。人を踊らせることじゃない。10年程前にダンスミュージックを作ることを止めた。もし踊ってくれたら、それはそれでいいけれど。もっと普段考えたことがないようなことを、考えさせる作品を作りたいと思っている。ただし、全てのエレクトロニックミュージックがそうあるべきだと言っているわけじゃない。しかし、共鳴するDJやプロデューサーたちは十分にいる。もっと、人類に関わる問題について考えて、クラブの外へ語りかけていくために音楽を使うべきだと思っている。

 

  - Tour Information -

5月2日(金)@名古屋 CLUB JB'S 公演
5月3日(土)@大阪 LIVE & BAR ONZIEME 公演
5月4日(日)@東京 AIR 公演


- Event Informaion -

タイトル:「Man From Tomorrow」東京公演
日程:5月5日(月・祝)
会場:渋谷"ユーロスペース"
時間:21時~、22時~
チケット:前売:1600円/当日:1800円


タイトル:「Man From Tomorrow」京都公演
日程:5月6日(火・祝)
会場:京都"同志社大学寒梅館クローバーホール"
時間:18時開場
チケット:料金:500円均一(当日のみ)*同志社大学学生・教職員無料


Man From Tomorrow Official Web Site