INTERVIEWS

O.N.O

 
ドコドコドコドコとリズムが聴こえてきたら、人は踊らずにはいられないんですよ。そして叫ばずにはいられない。そういう力強いビートが大好きですね。

  - 今作も自身のライブで繰り返し使用し、生き残ってきた曲で構成されているのでしょうか?

そうですね。ただ繰り返し使うんじゃなくて、その曲をどう進化させればより機能する楽曲になるか、考えながらライブ毎にアップデートして行く感じですね。それらをアルバム用にまた新たに作り替えて構成してます。ライブだけでしか使わない曲もたくさんありますよ。

 
 

 
- そんな楽曲もスタートはスタジオだと思うんですが、スタジオで曲を作るきっかけと言いますか、始まりはどういった形なのでしょうか?こういった曲を作ろうというイメージが先行であってそれを作って行くのか、もしくはパーツを何となく組んでいく中で曲が自然と形作られていくのか。

どちらの場合もあるんですけど、まずはイメージ先行ですね。その過程で新しく思いつくモノ、閃くモノを足していく感じですかね。ライヴでプレイする為に作るのが前提なので、その曲が入るとライヴの流れはどうなるかなとか、どういう要素が足りないのかな、とか考えながら作るので、割とイメージ先行が作りやすいですね。あとライヴでの曲はそれぞれに役目があるのでその交代要員を作る作業もあったりします。

  - 7曲目の"Functor"を除いて、全て110前後のBPMで構成されていました。このミドルテンポで曲を作られる理由というのは何がありますか?- 例えば、THA BLUE HERBではヒップホップのテンポ、onomonoではテクノのBPMとそれぞれの名義で異なる音楽をやられているので、O.N.Oでは、本作のように 絞ったものとなるのでしょうか?

BPMは基本110ですね。これは2ndアルバム以降ずっとそうしてます。理由はいくつかあるんですけど、ブレイクビーツやミニマルの両方を取り込みながら変則にする事で遅くも早くも感じさせるBPMだからですね。ライブでの手数や演奏の部分も考えると大きな展開のある曲から坦々としたドープな曲まで流れを止める事なく、ライブができますし。 BPM110ってあまりやってる人がいないですからね。O.N.O名義ではMachineLiveがメインでDJユースをあまり考えてないのでBPMに縛られる事なく1つのジャンルとしてオリジナルでいられる強みがありますね。
 
- ヒップホップは歩く速度と同じビート、ハウス/テクノは心臓の鼓動と同じビートというような、言葉を聞いた事があるのですが、O.N.Oのビートは?と聞 かれたらどのように答えますか?私にとってO.N.Oさんのビートは、狂気を装わせてくれるビートというか。制御を外してくれる音楽な印象です。

制御を外してくれる音楽ですか、いいですね、そう思います。ビートは打ち方だけなく音響の構造も大切ですから。アルバムはどの環境でもベストに鳴るミックスをしていますけど、是非フロアでMachineLiveを全身で体感してほしいですね。
 
- 個人的には4曲目「InduktorBass」、9曲目「DawningLine」が1番好きでした。

ありがとうございます、おもしろいチョイスですね。この2曲はアルバムを作る中で得た感覚を使って新たに作った2曲ですよ。いわばアルバムを代表する2曲ですね。
- 本作のアルバムタイトル「Ougenblick」はどういった意味合いなのでしょうか?

元の言葉は「Augenblick」で刹那的な意味です。アルバムを通して1つの単位としての”一瞬”という感じです。ちなみに「オーゲンブリック」と読みます。

  - O.N.Oさんが思うビートの魅力とはなんでしょうか?

人の原始的な部分に訴える所ですね。ドコドコドコドコとリズムが聴こえてきたら、人は踊らずにはいられないんですよ。そして叫ばずにはいられない。そういう力強いビートが大好きですね。

   
曲作りではヒップホップのサンプリングという手法に惹かれたので、その元ネタやルーツには興味は湧かなかったですね。
 
- 機材に囲まれたジャケット写真は、ご自身のスタジオなのでしょうか?だとしたら、360度囲まれているのでどこから出入りするのかと思いました。

普段制作している自分のスタジオです。入り口はよく訊かれますね。ちょうど「Ougenblick」のタイトルの所に中に入れる隙間がありますよ。

  - 制作でメインに使用されている機材は何になりますか?また、それを使われる理由も教えてください。

今回のアルバムはジャケット写真に映っている機材はほとんど使ってますね。作曲はMPC4000をメインのシーケンサーしてにそこからハードやソフトを動かしていきます。ミックスは、Logicに取り込んでステムミックスまでつくって、 Pro Toolsやアウトボードを使って詰めていきます。機材はハードもソフトも感覚的に使えればどちらも大好きです。ELEKTRONの Machinedrumはライブにも制作にもどちらでも使います。最近NIのMaschine Studoを導入しました。ソフトをハードのように感覚で使える機材で、やっと自分好みの物が出ましたね、これがしばらくメインになると思います。

  - 最初に使った機材はAKAIのサンプラーでヒップホップの曲を作っていたのに、ブラックミュージックをあまり聴いてこなかったそうですね。どんな音楽を聴いて、どんな音楽をサンプリングされていたのですか?また、そうなったのは何か理由があったのですか?

曲作りではヒップホップのサンプリングという手法に惹かれたので、その元ネタやルーツには興味は湧かなかったですね。当時は元音がわからなくなる位にチョップしたり加工していたので、特にジャンルも関係無しにレコードを漁って針を置いて、 いい所をみつけてサンプリングしたらもう聴かない、といった作り方をしてました。サンプリングに飽きて8ヶ月くらい民族楽器を買い漁る旅に出たりもしてましたね。その頃はコラージュ的に音楽を作ることを楽しんでいました。

  - 昔から作られる音は、根本的に変わらなかったりするのでしょうか?

作り方や音そのものは今後も変わって行くと思いますよ。それでも自分自身から出るものをそのまま作ってるので根本的には変わらないですよ。
 
- O.N.Oさんは家ではもちろん、スタジオでも他のアーティストの楽曲を聴かないということですが、その時々の音楽のトレンドなどは意識されたりします か?

いやいや、他の音楽は受け付けないぜって話ではないですよ。送られてくる曲や気になったアーティストの曲はチェックはします。ただ、スタジオでは作業がメインなので分析しちゃったりしますね。やっぱり純粋に音楽を楽しんだり、集中するのはクラブになりますね。そういう意味では、音楽ファンになれるのはクラブにいる時だけかもしれないですね。トレンドも、フロアに溶け込んで楽しみながら体感してインプットしてますね。意識するとしたら、そのトレンドの音楽よりは新しいモノを次々取り込んで楽しんでる人たちですかね。たくさんの人に聴いて欲しいですから。

  - 私の友人で、以前O.N.Oさんをゲストに呼んで出演して頂いた際に、パフォーマンス終了後もフロアで踊っている姿を見て非常に感動したと言っていまし た。私もアーティストの多くがパフォーマンス終了以外は、しゃべっているといった印象なので。出演者や関係者も率先して 踊ったほうが、そのパーティーがより良くなると思うのですが、いつもプレイ後はフロアで楽しまれているのですか?

フロアで感じるのが好きなんで朝まで踊りますよ。おしゃべりも大好きです。音やDJが良ければ演者も関係者も勝手に楽し むんじゃないですかね、やっぱパーティー次第ですよ。朝まで遊ばせて欲しいです。閉店後もカウンターに居座って迷惑かける事も多々ありますけどね。

  - アルバムがリリースされて、これからの予定を教えてください。

6月中旬よりアルバムリリースツアーが始まりますonomono.jp をチェックして下さい。近くに行った時は是非遊びに来て下さい。あと、「struct」というレーベルを作りました。ライブのカッコいいアーティストを紹介していくので是非チェックして下さい。
- Release Information -

アーティスト:O.N.O
タイトル:Ougenblick
発売日:6月4日
価格:¥2,500-

●トラックリスト
01.FrameStack
02.Strom
03.SketchFlow
04.InduktorBass
05.Strain
06.Affekt
07.Functor
08.Reng
09.DawningLine
10.Farbeyond