INTERVIEWS

Mark E

 
音楽的なルーツでなく、自分が子供のころや10代を過ごした場所、成人期、そして今まで経験を作品にしたんだよ。

 
 
- 本作は、今までに比べて自身と向き合いことで生まれたようなシリアスな側面を感じました。重さや苦悩、狂気めいた感情まで感じ取れ、そこから生まれる美しさを表したような作品でした。ご自身の中で作品を振り返っていかがでしょうか?


 うん、その通りだと思うよ。始めた当時よりシリアスに音楽を捉えているからね。軽く捉えるべきではないと思うんだ。僕は自分の全てをこのアルバムを投入したんだ。1年前位から作り始めたんだけど、振り返ってみても別の指向のアルバムになっただろうとは思わないよ。

  - ディスコ、ディープハウス、ビートダウンといったイメージを持たれているかもしれませんが、作品を聴いているとテクノのように聴こえました。 UKという先入観からかもしれませんが、楽曲を構成する音はハウスやディスコだけどDownwardsからリリースされているようなスローで複雑なテクノを聴いているように思いました。そういったUKのテクノシーンなどからの影響は実際あったりするのでしょうか?

 うん、そうだね。確かに僕のサウンドはテクノへ傾倒してきていると思う。自分でも自覚してるんだけど、それは歳をとって成長するにつれて自分の嗜好がどう成熟するかってことなんだ。ディスコは今でも好きだけど、自分のDJセットではテクノとディスコの間を自由に動けるし、自分はそれが好きで、それがダンスミュージックってことじゃないかな?それぞれが密接に関係しているというか。
 バーミンガムのテクノシーンはとても盛り上がっていて、当時、僕は1990年代後半は大学生だった。その当時はイギリスの全都市同じ感じだったと思うし、素晴らしいシーンがあったよ。そこからの影響は確実にあるね。

  - 本作は、自身のルーツをテーマとしたものをテーマに作成されたそうですが、そのルーツというのは音楽的ルーツと捉えてよろしいですか?

 音楽的なルーツでなく、自分が子供のころや10代を過ごした場所、成人期、そして今まで経験を作品にしたんだよ。

  - 今作のテーマは、ひとつの区切りのようにも捉えられるのですが、いかがでしょうか?制作にあたり明確な意図があったのでしょうか?

 うん、その通りだよ。以前はコンピューターを使っていたんだけど、アウトボードな機材を使って初めてのリリースなんだ。

  - お気に入りの機材をあげれたら教えてください。

 Yamaha CS-15は素晴らしいよ!
 
指向性が変わり当時のフォロワーをどれだけ失ったかも十分よく分かっている。しかしアーティストの進化ということを考えると、僕は同じ手法を繰り返したくないし、同じ手法の繰り返しは面白くないと思う。
 
- 今もバーミンガムで生活されていますか?

 今はオクスフォードに住んでるよ。家庭の都合もあって2年前にここに移ってきたんだ。バーミンガムで住んだ頃を懐かしく思う時があるよ。

 バーミンガムは今でも最高のパーティーがいくつかあるし、Kings Heathには、"HARE & HOUNDS"という良い箱がある。来月そこで「Leftfoot」っていうパーティーでGilles Petersonとやるよ。
 
- どういった経緯で曲作りをはじめたのですか?最初はリエディットを作るために曲作りをスタートしたのでしょうか?

 そうだね、最初は遊び感覚で作り始めたよ。全然シリアスな感じじゃなくてね。父親のコンピューターに入っていたベーシックな編集ソフトを使って兄と遊んでたんだよ。

  - 作品中の「Leaving Osaka」というタイトルが気になったのですが。

 去年、大阪から新幹線に乗って東京へ向かっている時の記憶だよ。ほとんどの西洋人も同じだと思うんだけど、日本に来るようになって5年以上、毎回、新幹線のデザインの美しさや、飛ぶように通過していく都市や田舎の美しさに感激させられる。ただそれをアルバムの1曲に入れたかったんだ。
 
- アルバム2作連続で<Spectal Sound>からのリリースですが、<Spectal Sound>は、あなたにとってどのようなレーベルですか?

 僕が<Spectal Sound>からのリリーするという事に関して当初は,結構予想外だと思われるかもしれないが、ただ全てがうまくいったんだ。彼らは僕を激励してくれるし、なによりプロフェッショナルなんだ。そんなレーベルはこの業界ではなかなか珍しいんだよ。彼らと一緒に仕事する機会が与えられて、それが良いと思ったんだ。

  - 自身の<MERC>をスタートした経緯やコンセプトを教えてください。

 自分の楽曲のリリースのタイミングや内容を自分でコントロールできるようするために始めたんだ。

  - おそらく日本のあなたのファンの中には『MARK E WORKS 2005-2009』に収録されているような楽曲を好む人も多くいると思います。今はあのようなディスコやソウル色の強い作品を作ることはないのでしょうか?

 あの当時が自分にとって成功期だったか、そして指向性が変わると当時のフォロワーをどれだけ失ったかも十分よく分かっている。しかしアーティストの進化ということを考えると、僕は同じ手法を繰り返したくないし、同じ手法の繰り返しは面白くないと思う。僕の最近のシリーズ作、E-versionsは、あの頃のエディットみたいなものだけど。こちらも是非聴いてみてほしい。

  - 今回、東京のAIRでの来日公演が控えていますが、どのようなDJプレイになりそうですか?よくかけるお気に入りの曲など、秘密でなければ教 えてください。

 今回はハウスやテクノを多めに持っていくつもり。新しいのも古いものも。Mark Sevenにもらったトラックがあって、曲名は分からないんだけど、それは今年の1月からどのギグでもかけているから、それは今回もプレイすると思うよ。

  - 今回の来日では、日本でゆっくりする時間はありますか?何かギグのほかに楽しみにしていることがあれば教えてください。

 今回はとても短期間の旅程で、東京1公演のみで日曜日には戻るからゆっくりする時間は無さそうだね。でも、いつものようにLighthouse Recordsに行って、おいしいものを食べて、非日常的な文化や環境をできるだけたくさん体験しようと思っているよ!

  - Release Information -

アーティスト:MARK E
タイトル:Product Of Industry
レーベル:SPECTRAL SOUND / OCTAVE-LAB
価格:¥2,376- - Party Information -

タイトル:MARK E『Product Of Industry』Release Party -
開催日:6月13日(金)
会場:代官山"AIR"
出演:【B2F FLOOR】Mark E(Merc, Spectral Sound / from UK), 5ive(COS/MES), CHIDA(ene)【B1F FLOOR】Dubby(organic music), Sam Fitzgerald(TNP), mx(blackmaps), Kateb(Onigiri DTQ)【1F NoMad FLOOR】MARU (MELLOW YELLOW), YO.AN (HOLE AND HOLLAND), LIL' MOFO, pAradice(Life Force/LibraryRecords)