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DJ EMMA

 
- 間や無音の状態も含めて音楽なんだということを僕はお客さんに伝えたい。-

 
 
─ 前作から5年経って、リリースもエイベックスからインディーズへ変わりました。どのような経緯があったんでしょうか?


本作に関して言えば、まずは鳥山さん(本作のリリース元となるファンカジア・エンタテインメント代表)と一緒にやりたかったのが第一ですね。「Heartbeat」シリーズで鳥山さんと一緒にやらせてもらって、プロモーションの難しさを間近で見ることで、今までのやり方を反省したんです。そこが1番大きいですね。あまりに非協力的だったから、迷惑かけちゃったなと(笑)。もちろん今までエイベックスでやれてたってのは大きくて、多少なりとも結果が出てたからやらせてくれてたとは思うんだけど、アンダーグラウンドのものを手探り状態ながら大きくしてくれたという恩義は感じてますね。

  ─ 今年はULTRA JAPANの初上陸、他にも風営法の改正、そして2020年の東京オリンピック開催を見据えて、ダンスミュージックシーン全体は盛り上がっていくように感じますが、EMMAさんご自身はこうした状況をどのように見ていますか?

展開がころころ変わるような音楽は深くハマれないし、飽きられるのも早いと思うんです。だから、音楽以外の、例えば、視覚とかでごまかしてる。これは過去の歴史から見てもそうです。音楽に集中するという方向性とは対極のものであると思います。DJ NORIさんのように深い時間や朝方にはあえて繋がないで、一曲一曲を大切に伝えるDJもいる、それでもグルーヴが生まれる、間(ま)や無音の状態も含めて音楽なんだということを僕はお客さんに伝えたい。それをすでに知っているお客さんもいっぱいいるし、そういったお客さんに向けてやっていきたいというのは変わらないですね。特定のジャンルが悪いと言っているわけじゃないんですよ。いつの時代も集客やお金のために音楽を蔑ろにする人はいる。誰かがDJはF1レーサーより稼げるなんて書いていましたけど、音楽じゃなくてもいい話ですよね。

EDMに関して言えば、アリーナクラスでやるには向いている音楽だとは思います。ただ、クラブとは分けて考えないといけないですね。結局は人間、その人自身の問題だと思う。お客さんのためにと言いながら、結局は自分が手っ取り早く人気者になりたいがためにウケのいい音楽をやっている人がいる一方で、しっかりしたDJや実力のあるトラックメイカーの活躍の場が小さいハコに限定されてしまっているのが現状です。若いDJの話を聞いていると、みんな本当に好きでそれをやっているのかなと疑問に思うことがあります。決してそういう人たちに向けて作ったわけじゃないけど、今、自分が何をやるかという問いの答えが今回の「EMMA HOUSE」です。

昨日、「ヨルタモリ」を観たんですけど(笑)、タモさんはあれがやりたかったんだろうなって。最高に面白かった。本当に好きなもの、自分がやりたいものをやるっていうのは、どの世界でも同じだと僕は思います。それに、カルチャーの話と経済の話を一緒に論じるべきじゃないとは思いますね。集客のために自分のやりたい音楽をやらない、やれないというのはどこかおかしいですよ。

   
- キックが入らなくても踊れる。リズムがなくても大丈夫という感覚は大事にしたいですね。必死になって踊らせようとしているような若い子たちにはぜひ聴いてもらいたい。-
 
 
─ 本作の内容についてお聞きします。ヴァイナル/データの比率は?


1〜4曲目まではデータです。本当は2曲目もヴァイナルで用意していたんですけど、普段のDJで傷んでしまってて、レコーディングには使えなかった。探しに探して、やっと見つけたと思って聴いてみたらヴァージョン違いだったっていう。そんなこともありますよ(笑)。

  ─ 特に思い入れのある曲はありますか?

僕が小学生のときに好きだったFleetwood Macの“Dreams”のカバー、名曲ですね。9年前にもDeep Dishがカバーしてますが、1年前にVintage Lounge Orchestra名義で出されたとき、クラブミックスと聴き比べて、このDJ Tools (Version)のほうが踊れるなと。キックが入らなくても踊れる。リズムがなくても大丈夫という感覚は大事にしたいですね。必死になって踊らせようとしているような若い子たちにはぜひ聴いてもらいたい。

  ─ 日本人のトラックも多いですね。ライナーノーツでも触れていますが、CrystalのようにEMMAさんの影響を受けた次世代のクリエイターの曲も収録されています。“Break The Dawn”は実際にEMMA HOUSEの初期シリーズに収録されていた曲をモチーフにしているそうですね。

それ、いい話だよね(笑)。瀧見君から「これEMMA君好きかも」って渡された〈クルーエル〉の作品は持っていたけど、新宿タワーの野村さんから頂いた“Break The Dawn”は抜群にいい。今、一番のキラー。自分の一部になってきてる(笑)。

  ─ あと、これもお聞きしたかったんですが、ミキサーをおなじみのUREI 1620からE&Sに変えていますね。何か理由はありますか?

コンパクトで持ち運びができるんで、地方で自分1人のセットのときに持ち込むため。元々はそういう理由ですね。アイソもよく効くし、音の劣化もないし。現存するロータリーだと1番音がいいんじゃないかな。

  ─ データやPCでDJが手軽になる一方で、差別化を図るためにヴァイナルを用いるDJが増えています。この風潮について思うことはありますか?

やっぱりヴァイナルのほうが見た目がカッコイイですよ。PCを覗き込んでる姿ってあまりカッコイイものじゃないと僕は思う。それと、ミックスが簡単になったはいいけど、空いた時間でマイク持っちゃうのはどうかな(笑)。ヴァイナルのDJが実際にブースで何をやってるかというと、BPMを合わせる作業、音量を合わせる作業、ミックスの最中のイコライジング、そして、前の曲をどこで抜くか。これをすべて同時にやってるんですよ。意外と忙しいんです。マイク持って煽ったり、パイ投げたりする時間は僕にはないですね(笑)。

  ─ 今年のFUJI ROCKでのプレイを拝見しました。ロックフェスの必ずしもホームじゃない状況で、目の前のお客さんをロックしていたのが印象的でした。

実は早く着き過ぎちゃって、僕の前のDJの時間にフロアを歩いて見て回ってたんですよ。DJはいいプレイしてたのに結構寝てるお客さんが多くて、当のDJも気分を悪くしてて。そこで、DJブースに行って状況の説明をしたんです。ロックフェスの遅い時間だし、宿がなくて仕方なくここで寝てる人もいるから気にしなくていいんだよって。そしたら彼も気を取り直してくれて。それから照明のAIBAと打ち合わせして、持ち時間1時間だけだからここにいるお客さんを全員起こすようなぶっ飛んだプレイをしてやろうって。そこからのスタートだったんですよね。ここ数年は外のパーティも積極的に受けるようにしてるんですが、やっぱりそういう状況だと心細くて、どうしたらベストなプレイができるかは常に考えてますね。照明、前のDJ、PA、スタッフ、全員が僕にとってはバンドのメンバーみたいなもので、信頼して一緒に作らないといいものはできないし、そのための努力や工夫はずっとしています。いいDJを聴いたら負けたくないと思うし、僕の後のDJにもそう思ってほしいし。要は心の問題で、技術はその次だなって本当に思いますね。

  - Release Information -

アーティスト:DJ EMMA
タイトル:EMMA HOUSE XIX MOUSE-COLORED CAT
価格:¥2,700-
発売日:11月12日(水)

●TRACK LIST
M1. DREAMS(DJ TOOLS version) / VINTAGE LOUNGE ORCHESTRA
M2. MAN WITH THE RED FACE(ATFC “When The Light Go Up” REMIX
/MARK KNIGHT&FUNKAGENDA
M3. AIR ALERTNESS(MALAWI ROCKS REMIX)/ OMB&DJ OGAWA
M4. ZANZIBAR(MALAWI ACID DUB))/MONDAY MICHIRU
M5. SAY IT/ROYKSOPP&ROBYN
M6. STRANDBAR/TODD TERJE
M7. BREAK THE DAWN/CRYSTAL
M8. BELIEVE IN LOVE(DIRECTOR’ S CUT VOCAL MIX)/DAWN TALLMAN
M9. CERO(HARVEY REMIX)/ GALARUDE
M10. TUNER’ S HOUSE/L.B.DUB CORP(LUKE SLATER)
M11. BACK IN THE DAYS
/NICKODEMUS FEAT.BAM(THE JUNGLE BROTHERS)& THE REAL LIVE SHOW!
M12. WHAT YOU NEED(ENZO ELIA BALEARIC GABBA EDIT)
/SOFT HOUSE COMPANY
M13. FINALLY (PLANET-E MIX)/TERRENCE PARKER

■HMV
http://www.hmv.co.jp/artist_DJ-Emma_000000000076736/item_Emma-House-Xix-Mouse-colored-Cat_6032013

■AMAZON
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00NT9U7H0/