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SYSTEM 7

コンセプトアルバム『N+X』の発売、そして久々のSYSTEM 7単体名義での来日公演。さらに今秋には『X-Port』『N-Port』と、2枚のアルバムを同時発売するというプロジェクトを発表したSYSTEM 7のSteve Hillageに、この新たなる構想の全貌を聞いた。

Interview: Kotaro Manabe

 

 

- 『POINT3』のリリースから21年、POINT3 x SYSTEM 7 で3x7=21という数式に基づいて記念すべき21年目にSystem 7 名義で『X-Port』、Mirror System 名義で『N-Port』という2枚のアルバムを同時リリースする事にしたんだ。-
 

 

 

- 今回のアルバムは、1994年に発表された『POINT3 WATER ALBUM』と『POINT3 FIRE ALBUM』2枚のアルバムをSYSTEM 7 とMIRROR SYSTEM の各名義での再構築を試みる作品と聞いているのですが、収録されている楽曲は過去の作品とは全く違うタイトルが付けられているようです。今回の新作とPOINT 3シリーズとはどのような関係性があるのですか?
 

 

 

今回のアルバムは厳密な『POINT3』の再構築という事ではないんだ。ただ、構造とコンセプト的に2枚のアルバムを同時にリリースするという考え方と音楽性、そして『POINT3』に収録された曲を元にリミックスワークを手がける行為を経て僕ら2人が旅して来た音楽の軌跡を祝う節目のアルバムにしたいんだ。と、言うのも『POINT3 - “Fire & WATER”』2枚のアルバムを産み出す際に得た手法が現在の僕らのエレクトリックミュージック製作の基盤にもなっているからね。さらに『POINT3』がリリースされた1994年は僕らがSYSTEM 7として初来日した年でもあるんだよ。もうあれから20年が過ぎたんだと思うととても感慨深いよ。
そして『POINT3 - “Fire & WATER”』をリリースした当時は、ダンスミュージック、チルアウト、ダウンテンポの楽曲いずれもSYSTEM 7名義でリリースしたけれど、そこから進化してMIRROR SYSTEMというプロジェクトを産み出すことにもなった。『POINT3』のリリースから21年、POINT3 x SYSTEM 7 で3x7=21という数式に基づいて記念すべき21年目にSystem 7 名義で『X-Port』、Mirror System 名義で『N-Port』という2枚のアルバムを同時リリースする事にしたんだ。
もうひとつPOINT3の2枚と今回のアルバムの共通点を挙げるとするなら同じ楽曲をSYSTEM 7的解釈とMIRROR SYSTEM 的解釈の2つの視点から表現していると言う点かな。9月のダブルアルバムに先駆けて、今回のプロジェクトへのプロローグとして3月11日にリリースされるコンセプトアルバム『N+X』では「Chic Psychedelic」のSYSTEM 7 Ver.とMIRROR SYSTEM Ver.が収録されているのだけれど、このような手法が『N-Port』 / 『X-Port』の象徴的な表現方法になっている。これらは21年の年月を経た『POINT3 - “Fire & WATER”』のコンセプトに基づいているんだよ。
 

 

 

- また20年以上前に製作された自身の作品をこのような手法で再構築するに至った考えを教えて下さい。
 

 

 

2012年に楽曲製作を目的としてバリ島に機材を持ち込んで2ヶ月滞在したんだ。とても有意義で創造的な時間を過ごす事ができた。この時もSYSTEM 7、MIRROR SYSTEM双方のアプローチでの楽曲製作を思考を隔てる事無く行う事ができたから、この頃から両名義でのダブルアルバムという構想は芽生えていたと思う。1994年に『Fire』と『Water』を発表したいと思った時と同じような感覚でそう考えていたよ。
 

 

 

- 今回リリースされたミニアルバムに『N+X』と名付け、更には9月にリリースされるダブルアルバムは『X-PORT』『N-PORT』と命名されていますが、この経緯とタイトルの意味を教えて下さい。
 

 

 

それは創造的なプロセスについての全てを表しているんだ。より広い世界からインスピレーションやエネルギーを持ち込む値を『N-PORT』として、私たちの音楽を通じて世界に新たなポジティブなエネルギーの値が『X-PORT 』。そしてそれは吸入=『N-PORT』と、呼気=『X-PORT 』という呼吸に関する事を表してもいるんだ。もう少し具体的に言えばチルアウトや瞑想の間の相乗効果を意識して、MIRROR SYSTEM的表現は『N-PORT』を象徴し、SYSTEM 7的表現を『X-PORT 』として象徴しているんだ。『X-PORT』と『N-PORT』は僕たちの奏でる音楽で人々にポジティブなエネルギーをもたらし、困難な時代の否定性に対抗する。という僕らの作曲活動を表現している記号と言う事にもなる。
 

 

 

- 『N+X』のアートワークはベシカパイシスをモチーフにしていますよね。
これ迄のSTEVE HILLAGE名義作品「GREEN」や「Fish Rising」でも度々登場するモチーフですが、どのような思い入れがあるのですか?
 

 

 

ベシカパイシスと言われる2つの円の中心が重なるインター・ロッキング・サークルは神聖幾何学の基本的な要素の1つで、ピラミッド、黄金比に所以するものでもあり、アリマタヤのヨセフがこの井戸に聖杯を沈めたという伝説が残っている、チャリス・ウェルというグラストンバリーにある井戸とも密接な関係を持つサインなんだ。内面世界と外面世界 という2つが織り交ざった世界を象徴しており、これまでも好んで使用してきたけど、この記号は僕らの今回のアルバムでの相互リンクの『X-PORT 』『N-PORT』を表現するサインとしてこのシンボル以外は考えられないんだよ。
 

 

 

- 一般公募というエキサイティングな方法で新しい才能と出会って、映像とコラボレーションするという事に今からワクワクしているよ。-
 

 

 

- ニューアルバムでは、共同制作者にAlex Paterson (The Orb)、PERFECT STRANGER、Evan Marc、そしてROVOも参加するようですが、それぞれはどのような形で関わってゆくのですか?
 

 

 

アレックスにはSYSTEM 7とMIRROR SYSTEMの両方に参加してもらっているよ。僕らのロンドンのスタジオで一緒に3曲作っているけれど、まだ完成には至っていないんだ。PERFECT STRANGERとは彼の楽曲「Free Cloud」をMIRROR SYSTEMリミックスに仕上げたんだ。このトラックは自分たちのライブセットに取り入れ始めていて、オーディエンスからもすごく好評なんだ。この曲は早速3月14日(土)の”ageHa”でプレイしようと考えているよ。
Evan Marc (BLUETECH)とはこれ迄にもたくさんの楽曲を一緒に作ってきた。彼はハワイ在住だから、今回もネット上で素材のやり取りをしながらの曲作りになっていくよ。ROVOとは彼らの楽曲「Batis」を特別な形でSYSTEM 7のトランシーなスタイルに生まれ変わらせようと考えているんだ。この曲はもし間に合いそうなら3月の”ageHa”でプロトタイプの楽曲を披露できるかもしれない…。ROVO and SYSTEM 7のアルバム『Phoenix Rising』に収録されていた「Love for the Phoenix」のクラブミックスヴァージョンも製作しようと考えているんだ。
あとは、僕らのアルバム『Phoenix』でもコラボレーションしている Jam & SpoonのJam El Marとの共作も企画中だよ。
他にもドイツのテクノ系アーティストGregor Tresherとのコラボレーションも考えてる。彼のトラックはお気に入りの曲が多くて、よく僕のDJセットでも使わせてもらっているくらいだから相性が良いと思っているんだ。
 

 

 

- ここ数年はROVO+SYSTEM 7名義でのアルバム製作とツアーに集中しており
SYSTEM 7ソロ名義での来日は久しぶりかと思います。今回のライブで新たな試みはありますか?
 

 

 

ROVOとのコラボレーションは素晴らしかったよ。日本で行った2回のツアーとイギリスを中心としたヨーロッパツアー、そして台湾にも行った。昨年はフジロックにも出演する事もできた。どのライブも最高の経験だったよ。この経験は僕らにとって貴重で掛け替えの無いモノであった事に違いは無いのだけれど、同時にSYSTEM 7そしてMIRROR SYSTEMとしてのエレクトリックミュージックのコアな部分に集中する時間というのがあまり持てない時期でもあった。僕らにとってこの時間は非常に大切であり、必要とする活動でもあった。従って2015年はこのエレクトリックミュージックのフィールドでの活動だけに集中する事を決めたんだ。1994年に『Fire』と『Water』というアルバムを作った際に得た手法を軸とした制作方法を駆使してね。
 

 

 

- これ迄は火の鳥をはじめ、SYSTEM 7の作品に限らず、GONG、ROVO+SYSTEM 7でもビデオクリップを森本晃司率いるムードマジックが手がけてきましたが、今回は一般公募にて作品を募集するようですね。どのような作品を期待していますか?
これからエントリーされるクリエイターたちに希望する世界感やアイディアなどがあれば教えて下さい。
 

 

 

一般公募というエキサイティングな方法で新しい才能と出会って、映像とコラボレーションするという事に今からワクワクしているよ。どの曲を課題曲にしようかいまだに迷っているんだけれど、恐らく「5 Beat」という曲をビデオクリップ用にエディットしようと考えている。この曲は躍動的だし、旅を想像させる楽曲だと思うんだ。その旅の終着地であるテクノヘヴンを思わせるようなビデオを期待してるよ!
 

 

 

- このインタビューが掲載された直後にはコンセプトアルバム『N+X』の発売。そして大阪と東京でのライブとなりますが、最後にSYSTEM 7を待っている日本のファンにメッセージがあればお願いします。
 

 

 

もし大阪”Circus”か新木場“ageHa”のライブに足を運ぶ事ができる環境にあるのであれば、是非僕らのライブを体験しに来て下さい。特に”ageHa”ではSYSTEM 7とMIRROR SYSTEM両方のライブを披露し『N+ X』の時間軸のない幻想的な空間へと皆さんを誘います。コンセプトアルバム『N+ X』を手に、9月にリリースされる『N-PORT』と『X-PORT 』のリリースを楽しみに待っていて下さい。
 

 

 

- Tour Information -

3月12日(木) Dommune http://www.dommune.com/
3月13日(金) 大阪 Circus http://www.clubberia.com/ja/events/232639-SYSTEM7-JAPAN-TOUR-2015/
3月14日(土) 東京 ageHa http://www.clubberia.com/ja/events/230945-Matsuri-Digital-presents-TIMELESS/
 

- Release Information –

アーティスト:SYSTEM 7
タイトル:N+X
レーベル:WAKYO RECORDS
価格:1944円
発売日:3月11日

[トラックリスト]
1.System 7 - Chic Psychedelique
2.System 7 - 5 Beat
3.Mirror System - Chic Psychedelique
4.Mirror System - Blue Ocean
5.System 7 - On The Seventh Night  (Boom remix)
6.Mirror System  -  Thundernight

■Release Page

http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4617-N-X/