Interview:Kotaro Manabe(WONKAVATOR)
日本では心の相互コミュニケーションが心地よく行える
ーーすでに海外のフェスティバルをわたり歩く日本人トラベラーの間では、かなり前から「GAUDIが凄い!」という噂がありました。SYSTEM 7やRAJA RAMなど、アーティスト界隈の口からも常にオススメのアーティストとして名前が挙がっていたなか、ようやく昨年の「Re:birth Fes」にて初来日を果たしたわけですが、当時の日本の印象はどうでしたか?
初めての来日は2015年の5月に開催された「Re:birth Fes」だけど、そのアフターパーティーとして恵比寿のクラブでもプレイしたから、今回は僕にとって3度目の来日となるんだ。初来日ということもあって、僕は何を期待されているかもわからないまま、ただ自由に自分の音源だけをプレイしたんだ。あまり深く考えすぎて慎重になってしまわないようにね。
ーーフロアの反応はどのでしたか?
心の赴くままにプレイしたセットは、まさしく日本のオーディエンスが僕に求めていたものだったと実感できたよ。そしてそれこそが、僕が音楽を通して表現したかったことなんだと再認識したんだ。彼らも同じように思ってくれていればいいのだけれど、僕はこの初来日の時に「もっと日本に来たい! ここには僕の音楽と100%共振してくれる人たちがいるんだ!」と実感できた瞬間があったんだ。
ーーその共振をあの場にいた全員が感じていたと思います。そして、あなたが思っていた以上に早く次の来日の話が舞い込み、2度目の来日はSYSTEM 7から「ぜひGAUDIと共演したい!」との熱望により、同年内にLiquid Roomでの再来日を果たしたわけですね。それだけ日本のオーディエンスに受け入れられ、プロモーターも手応えを確信したからこそ再来日が実現したのだと思います。そして、早くも3度目の来日となるわけですが、今回は東京以外にも沖縄、浜松、そして愛知県 三河高原で開催される「Harvesta Festival」の4ヶ所をツアーで回るようですが、特に楽しみにしている場所はありますか?
日本のオーディエンスは僕をとてもハッピーにしてくれるから、それ以外のものは何も期待していないよ。そのフィーリングを感じれるだけで、僕が日本に来る意味があると感じているんだ。僕の心の奥底から紡ぎ出されるサウンドを受け止めてハッピーになってくれるオーディエンスが、さらに僕のハートをハッピーにしてくれる。音楽を通した、心の相互コミュニケーションを心地よく行えるのが日本だと思っているよ。
ーー今回の共演者のなかで、特に楽しみにしているアーティストはいますか?
FUNKY GONGとは、今回も含め、これまでの来日でも毎回共演しているんだけど、彼のプレイスタイルや放っているヴァイブスが毎回違っていてすばらしいね。彼のライブのアプローチ方法は、僕のライブの進め方にも共通するアティチュードを感じるよ。GUUSUNは、アルバムを聴いただけだけど、すでに彼らの大ファンだよ! 今回初めてライブを観るから今からとても楽しみにしているよ。あとは、Dachamboや、「Harvesta Festival」に出演するバンド/ミュージシャンたちは、僕にとってまだ未知の領域だから、ぜひチェックしてみたいアーティストだね。彼らとともに特別な夜を作り上げらることは光栄に思っているよ。
世界的な名声を得るきっかけとなったのはJanet Jacksonのリミックスワーク
ーーあなたの術にまんまとハマってしまうオーディエンスが日本でも続出したわけですが、その独特なライブスタイルは、いつ頃から始まったのですか?
特に深く考えず、ただ自然とそうしたライブスタイルになっていったんだ。それに、マイクパフォーマンスはある意味変幻自在な楽器とも言えるよね。僕はライブの際に少しでも多くの要素をステージ上で表現したいんだ。そしてそれをする上において、僕には3つの選択肢が用意されていると思うんだ。
1)大勢のミュージシャンをステージ上に用意する。
2)多くのミュージシャンが近年行っているように、コンピューターを駆使してさまざまな音源を用意する。
3)マイクパフォーマンスも含むさまざまな楽器を用意して、それを1人で忙しくこなす。
そのなかから僕は(3)を選んだ。
ーーあなたは、80年代に母国イタリアでスカやニューウェイヴシーンから活動を始め、イタリア語で初となるレゲエ作品を発表したのち、イタリアンレゲエの先駆者ととして認識されるようになりました。その後ロンドンにわたるわけですが、80年代後半から90年代初頭にかけてのロンドンの音楽シーンの移り変わりと、あなたの音楽的趣向の変化のタイミングが時代性とバッチリ合致します。当時を振り返ってなにかエピソードがあれば教えてください。
80年代はイタリアでそこそこ成功をおさめていてね、Universal Musicと契約をして3枚のアルバムをリリースした。いずれも結構ヒットしたんだよ。でも、ずっと同じ人たちと同じことを繰り返している生活に飽きてしまって…。そうした生活に恐怖心を抱くようになっていくうちに、イタリアだけでなく、もっと国際的に活動をしていきたいと強く思い始めたんだ。90年代初頭には行動に移し始め、国際的な音楽産業の拠点ともいえるロンドンに住むことにした。そしてもっとも印象に残る出来事が、移住後10ヶ月目に起こったんだ! 当時のロンドンでの生活はとても苦しくてね。知り合いがいたわけでもなく、ゼロからのスタートだったから、自分自信の音楽に対する情熱だけを糧に、なんとか生き残っていたんだよ。音楽以外に自分にはできることがなかったから、仕事もなくてとても貧しかった。そんなある日、音楽関係のマネージャーと出会い、リミックスの仕事をもらうことができたんだけれど、そのチャンスを棒に振るような失敗をしてしまってね。でもそのマネージャーは、僕の意気込みを買ってくれていて、もう一度だけ僕にチャンスをくれたんだ。その時の仕事というのが、Janet Jacksonのリミックスワークだった。AM:PMのレーベルの人たちも僕のリミックスを気に入ってくれて、見事採用されたんだ! 忘れもしない1996年の出来事だよ。その年のUKダンスミュージックのチャートNo1にその曲が選ばれたんだからね。
ーー現在ではリミックスワークもこなすなか、ご自身のアルバム制作も並行してされてますよね。ライブとアルバムではアプローチが似て異なるように感じるのですが、楽曲制作とライブパフォーマンスとの距離の取り方や、ご自身が発信するメッセージやコンセプトなどに違いはあるのでしょうか?
基本的なコンセプトはライブでも楽曲制作でも変わりはないと思っているよ。ただ、明らかにアプローチが異なっているのは明確だね。多くのアーティスト、特にダンスミュージックシーンで活躍するアーティストは、オーディエンスを踊らせることを目的としたアルバム制作をすると思うんだけれど、そうした楽曲制作は、いわばDJ思考の音源でしかないよね? ラップトップとAbleton liveでのスタジオワークをそのままライブパフォーマンスで表現したくないんだよ。だから僕は、毎回ライブで表現する際は、同じことを2度したくない。僕自身もオーディエンスにも、何か新しい体験を届けたいんだ。もちろん、僕のアルバムが好きだという人はアルバムを聴いてくれていいんだけれど、何か新しい体験を求めているのであれば、僕のライブを聴きに来てくれる以外方法がないからね。ぜひライブに来て楽しんでもらいたい。
今回の新EPは次回のアルバムにつながるわずかな一片であり、序章に過ぎない
ーー今年、最新のトラックをアナログレコードでリリースされましたね。しかも、本作はアナログのなかでも10インチ盤というサイズでのリリースです。このサイズにした理由やこだわりがあれば教えて下さい。
今回の10インチアナログは、ロンドンのRarenoise Recordsというレーベルからのリリースで、「30Hz Dub Prelude」と「Electronic Impromptu In E-flat Minor」という長尺の曲が2曲収録されている。この作品はまだ序の口というか、来年リリースされるアルバムにつながるわずかな一片であり、序章に過ぎないんだよ。今回の2曲だけでも、ベースにBill Laswell、Killing JokeのドラマーTed Parsonson 、そしてもう1人のドラマーはJAPANのSteve Jansen、Porcupine TreeのColin Edwin、日本からはボーカリストCoppe’。そして、実験的電磁音楽の第一人者Masami Akita aka Merzbowと、錚々たるミュージシャンたちが参加している。来年のアルバムには、さらにTony Levin 、King CrimsonのPat Mastelotto、Roger Eno、Deep Forestなどなど…。とにかく期待してアルバムリリースを待っていてほしい!
ーーそれは壮大なプロジェクトですし、参加アーティストがとても豪華ですね! 近年、アナログレコードブームが再燃していますが、自身のDJプレイなどにアナログを取り入れることはありますか?
もちろんだよ。僕はかなりのアナログレコードマニアだからね。レコードで部屋中埋め尽くされているよ。エレクトロニカ、クラシック、ダブ、レゲエ、サイケデリック・ロック、ジャズ、ゴシックなど、あらゆるジャンルのレコードに囲まれた生活をしているよ。
ーー最後に来日を目前に控えた日本のオーディエンスへメッセージをお願いします。
あなたの夢を追求し続けてください! そうすれば必ず実現します!!
Always pursuit your dreams, and make them reality!ONE LOVE
- Event Information -
タイトル:ENGAGE
開催日:10月28日(金)
会場:Loveball(沖縄県那覇市久茂地2丁目13番14号 ヨーロピアンビル4F)
時間:19時
料金 : 2,000円
出演者:GAUDI, AKI, SINKICHI, NU-DOH, TAKAYUKI, VIVA GILBERTO, KAGAWA
■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/260190-ENGAGE/
タイトル:HERBESTA FESTIVAL 2016
開催日:10月29日(土)
会場:三河高原キャンプ村(愛知県東加茂郡下山村大林字半ノ木2番地)
時間:10時
料金 : 4,200円
出演者:Dachambo, (仮)ALBATRUS, The Sunpaulo, Cro-magnonThe Hayden Hack TRIO (from Australia), GAUDI(from UK), SOFT, 光風&GREEN MASSIVE, WRENCH, 松本族, 児玉奈央&Magical Echo Land, TURTLE ISLAND, 千尋, かむあそうトライブス, 勝井祐二, ACE IN THE HOLE, Indus&Rocks, モーフの旅, レプティリアンズ, KIREEK, チャッカーズ, マーレーズ, SAKi & the factor, 力久博之&西井睦(FUIC), きじは, Peace-K, 木歌, ニコニコセッションズ, Takeru, Anbassa, ボンキーズ, YAOAO, ALTZ, 光, Bryan Burton-Lewis, DJ YOGURT, HOBO BRAZIL, conomark, hikoukigumo・Moc(Powers) x shintalow(BLUEBLACK), TAN IKEDA, MASARU, OSG, DJ Yu-Ta, baseHEAD, eRee, CD HATA
■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/260191-HERBESTA-FESTIVAL-2016/
タイトル:GAUDI & Matsumoto zoku Japan tour in Hamamatsu
開催日:11月4日(金)
会場:浜松FORCE(静岡県浜松市中区田町 315-31 3F)
時間:22時30分
料金 : 当日 4,000円 前売 3,500円
出演者:GAUDI, Matsumoto Zoku, Bagoose, Mazaltob, KEISUKE, BNSU
■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/260189-GAUDI-Matsumoto-zoku-Japan-tour-in-Hamamatsu/
タイトル:GAUDI live in concert Tokyo
開催日:11月5日(土)
会場:UNIT(東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 Za HOUSEビル)
時間:24時
料金 : 当日 3,500円 前売 3,000円
出演者:【UNIT】GAUDI, THEUS(DJ Doppelgenger and 武田充貴), Bryan Burton-Lewis(Third Culture), DJ AYASHIGE(Wrench)【SALOON】GUUSUN(MATSURI DIGITAL Groove), Minoru AkaFunkygong(Electrik Circus/IDPS), DISC JUNKEY(Grasshopper Recs), DO SHOCK BOOZE(TOTEM TRAXX/TRAUM), YUDA(Madskippers/IDPS)
■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/259338-GAUDI-live-in-concert-Tokyo/