取材・文:AHB Production/Contact
編集:clubberia
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Prins Thomasは、バレアリックやディスコという音楽ジャンルの域を、もはや超越し始めている。新たに設立したレーベル「Prins Thomas Musikk」からリリースされた最新アルバム『5』。それは、自身が索引するコズミックディスコという観念を包括しつつ、現代電子音楽における快楽要素の粋を結集したかのような内容だった。各メディアから絶賛された前作の『Principe Del Norte』(2016年2月)。それ以前のナンバリングされたシリーズ。これらの伏線を回収するように、Prins Thomasの音楽が解放されていく。
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——前作『Principe Del Norte』と今作「5」との関係性について教えてください。
主な違いとして『Principe Del Norte』はSmalltown Supersoundのレーベルオーナー、Joakim Hauglandに招かれて彼のレーベルのためにアルバムを作ったこと。『Principe Del Norte』は、これまでの作品と少し違うことが重要だったんだ。Joakimと議論し出したアイデアのひとつは、アンビエントアルバムを作ろうということだった。アルバムを作る度に毎回新しいことを学んでいくから、次のアルバムが以前のアルバムと何らかの形でつながっていると感じるのは当然のことだと思うよ。
——あなたの先駆的な音作りの指針になっているものは何ですか?
制作を始めた頃は、インスピレーションがすべてだと思い込んでいた。でも大抵の場合、インスピレーションだけでは大きな成果を得ることはできなかったんだ。だから、自分が納得する作品を作るためには、毎日制作し続ける事だと思ってるよ。スタジオに行って、マジックが起こるか確認する。このプロセスを繰り返し繰り返しに行っている。だから自分の作品を分析するのは難しい。僕が作るものは、あなたが聴いている、そのものなんだ。自分自身を批評し過ぎず、できる限りそのままリリースしているよ。
——Wata Igarashiにリミックスを依頼したそうですね。
しばらく彼の作品を追いかけていて、彼が僕のトラックをどう解釈し、どのように変換するのか聴きたくなったんだ。以前は自分の作品を他人がどうリミックスするか興味なかったけど、『Principe Del Norte Remixed』(Principe Del Norteのリミックスアルバム)を作って以降、自分の作品を誰がどう解釈してくれるかを考えるようになった。アルバム『5』ではすでにPionalにリミックスをやってもらっていて、Pilotwingsにも何曲かリミックスを頼んだよ。Wata以外にもRivetとOrbeのバージョンも予定してる。あと何組かのアーティストにもリミックスを依頼するつもりだよ。
——リリースに関して他の予定は?
進行中のプロジェクトはたくさんあって、まず僕の新しいアルバムを先日ミックスダウンしたところだよ。そしてBugge Wesseltoftとの共作アルバムも予定している。その他にも、今はまだ言えない企画がいくつかあるよ。
——音楽制作とクラブでのパフォーマンスに住み分け、あるいは境界線を設けていますか?
僕にとって制作と現場でのパフォーマンスはそれぞれ別のものと捉えている。DJの現場からインスピレーションを得ることはあるかもしれないけど、基本的には自分を表現する異なる2つの方法だと思っている。
——来日ツアーが控えていますが、日本人があなたの音に熱狂していることにどう感じていますか?
日本に来るようになってしばらく経つけど、僕も日本には情熱的な気持ちを持っているよ。ディスコであろうとクラウトロックであろうとテクノであろうと、自分が行く様々な音楽的方向性が日本のみんなに受け入れられてとても嬉しい。DJとして、お客さんが楽しい時間を過ごせるようにする。これが自分の仕事だと思っている。そのためには、自分が情熱を感じる音楽を提示することがベストな方法だと信じているんだ。トレンドは出てきては消えていくが、良い音楽はいつまでも良い音楽だからね。
iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/prins-thomas-5/1294648777