■Ninety
当時マンチェスターのクラブやレイヴで大きな反響を浴び、すぐにイギリスのナショナルチャート・シングル部門で10位にまで登りつめた808ステイト初期の大ヒット曲「Pacific」を収録。アメリカではヒップホップの名門レーベルTommy Boyからリリースされ、ハウスといえばシカゴという図式を塗り替えてイギリスのダンス音楽アクトがアメリカでも評価されうることを証明した記念碑的アルバム。(オリジナルリリース:1989年)
■Ex El
初期のアシッド・ハウス的アプローチにとどまることなく、彼らの幅広い音楽的才能とその可能性を提示してみせてくれたアルバムとして808ステイトが名実ともに成功をおさめることになったアルバム。ニュー・オーダーのバーナード・サムナー、そして当時まだシュガーキューブスというバンドで活動していたビョークなど、当時から808ステイトと交流の深かったヴォーカリストが参加した豪華な顔ぶれで話題に。特にビョークはちょうどこの頃ソロへ移行する時期であり、彼女の初期プロデュースを手がけていたグレアム・マッセイが、世界の歌姫としてビョークを羽ばたかせるきっかけを作ったことは間違いない。(オリジナルリリース:1991年)
■Gorgeous
エコー&ザ・バニーメンのイアン・マカロックがヴォーカルを添えた「Moses」やUB40がヴォーカルを務めた大ヒット・クラシック「One in Ten」のリメイクが収録され話題になったアルバム。特に「One in Ten」はオリジナル楽曲を自在にカットアップして再構築してみせたという点において、近年よく用いられているMash Up手法の先駆けだったといえる。また、この頃の808ステイトはデヴィッド・ボウイ、サウンドガーデン、プライマル・スクリームといったアーティストのリミックス・ワークも数多く手がけている。(オリジナルリリース:1993年)
■Don Solaris
『Gorgeous』から3年のインターバルを経てリリースされた本作。マニック・ストリート・プリーチャーズのVo.ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド、ラムのVo.ルイーズ・ローズ、そしてソウル・コフィンのVo.マイク・ダウティらを迎え、当時UKを席捲していたトリップホップ、ドラムンベースやジャングルの流れを汲みつつ、長年のキャリアと独自の音楽センスによってその時代感を808ステイト的手法で消化してみせた。“聴かせる”エモーショナルなエレクトロニック音楽の指標としても価値の高い作品。(オリジナルリリース:1996年)
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