いつの日か東京のクラブが、自分達の思っているクラブ、と言うのものの持つイメージからかけ離れてしまった、と思っている人は意外に少なくない。一昔前はアーティスティックでスタイリッシュな最先端のサブ・カルチャーだった。イエロー、ブルー、ミックス、DJバーインクと言った場所は初心者には入るのにも覚悟が必要だったはずだ。 そしてそこにはすぐには理解出来ないが、とてつもなく魅力的な音楽がかかっていたはずだ。今、そういうクラブが少なくなって来ているが、同時にそういうイベントも少なくなって来ている。 その中で、アフロンティアと言うイベントはクラブが一番最先端だった頃の香りを残している。これはアフロンティアがノスタルジックなイベントだと言うことでは勿論ない。 アフロンティアは今もっとも現在進行形のイベントなのである。 そのアフロンティアがCDを出した。私がデモ・テープを聴かせて頂いた時から、悪くないと思っていた細川氏のユニットを始め、アフロンティアに出演した事のあるバンドで固められた、今時のリアリティーの無いコンピとは訳が違う内容である。オーガナイザーの長田氏が現インテルのモウリーリョの様に熱くきめ細やかにこのイベントをまとめ、また、ここに選ばれているDJ達のプレーが皆、同業者ながら大好きなのである。 今自腹を切っても行きたい数少ないイベントの一つであるアフロンティアの皆様、とりあえずCD発売おめでとうございます。
小林径 (Routine Jazz)
彼らは、ジャズ、ラテン、ブラジルなどのテイストを織り込んだDJ達による選曲と、ライブ・バンドのプレイを融合させ、流行にとらわれることなく独自のパーティーを作り上げて来た日本クラブ・ジャズ・シーンの1パイオニア的存在といえるだろう。特に注目すべきは、国内で活動する才能のあるライブ・バンドをいち早く見いだし、 積極的に紹介してきた事だ。実際、"afrontier"での出演を経たバンドの多くが今や日本のジャズ・シーンで高い評価を受けている。それは、彼等のセンスと先見の目に高い信用がおけると言える。 そんな彼等はついにCDアルバムをリリースする事となった。"afrontier"というコンセプトによりまとめられたこの全12曲は、コンピレーションでありながらアーティスト・アルバムのように、 統一感を持ちジャズを基軸としつつも、後半ではフューチャリスティックなサウンドへと、流れるような選曲で皆を魅了してくれる素晴らしい作品となった。 これからも彼等の活動を応援すると共に、この作品がより多くの人たちに届く事を心から願っている。
沖野好洋 (Kyoto Jazz Massive/Especial Records)
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