2008年はアルバム『ナカナカナイ』のリリースで独自の境地を切り開き、詩集『弾丸投句』発売、『拳POWA』への参加と八面六臂の活躍をした08年だったが、独自のリリック・ワールドに磨きをかけた新作が早くも完成!しかも全14トラックがジャマイカ製。巨星スティーリー&クリーヴィが4トラック、残る10トラックを新星ナイル・ブラウンが提供。ナイルはクリーヴィの実子で若干17歳のレゲエ・サラブレッド。ゲスト・アーティストにはYOYO-C、今野英明、t-Ace、APOLLOの4人
が参加。ベテラン・レゲエ勢からHip Hop界のアップ・カマーまで多彩なアーティストが色を添え、大定番トラックから高速トラックまでを乗りこなした全曲捨て曲無しの傑作アルバムが完成した!
言葉選び、韻、題材とその切り口や日本語へのこだわりで多方面から高い評価を得ているH-MANの今作は更なる進化を遂げている。レゲエの持つREBEL(反体制)の精神を強く感じるものや底の浅い社会を軽くあざ笑うかのようなHMANならではの曲満載。例えば、最近のヒットチャートをにぎわす空疎なラブソングを叩き切る「ラブソング」はトラック、フロウ、リリックの妙が秀逸。二世議員がはびこる世襲政界、ビジネス化した温暖化問題、シリアスな題材をユーモアたっぷりに歌う「ビックリ仰天」、アルバム・タイトル曲「不退転」の決意表明の中にあるアイロニカルな笑いなど相変わらず目の付けどころがシャープ。
他にも日本の最近のモラルの低下を歌う「ズーズーシー」や、進化論の否定や帝国主義への批判から反戦を訴える「ハンセンカ」など、またもやモンダイ曲が目白押し。
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