2009年春、ホワイト盤にスタンプという素っ気ない(しかしアンダーグラウンド・シーンではおなじみの)体裁で発表された12”が一部のDJから絶賛さ れ、その謎めいた素性と共に多くのテクノファンを虜にしてしまったTRAVERSABLE WORMHOLE。その実体は90年代前半から活躍するNYの古参プロデューサー・ADAM Xによるプロジェクトで、彼の出自であるハードテクノを現代的なミニマルとミクスチャーしたソリッドなサウンドを矢継ぎ早にリリースし、ベルリンシーンの 象徴・MARCEL DETTMANNや近年復活を遂げたSURGEONなどと共に新たな旋風を巻き起こしている。今回CHRIS LIEBINGのCLRからリリースされる本アルバムは、シンプルに「VOL.1-5」と題され、その名の通りTRAVERSABLE WORMHOLEがこれまでリリースしてきた12”シングルの1~5番までのトラックを彼自身がミックスした作品。本作用にそれぞれリエディットが施され た統一感のある仕上がりとなっており、最初から最後まで緊張感溢れるインダストリアルかつスペーシーなトラックが敷き詰められた圧巻の内容。ハウスに接近 したグルーヴィーでアッパーなモダンミニマルとは一味違う、鉄の匂いが立ち込める重厚なテクノサウンドは必聴である。
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