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Jazz Abstractions

大谷能生
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Jazz Abstractions

ブラックスモーカー・エクスペリメンタルシリーズも遂に第5弾!菊地成孔との多くの共著やJAZZ DOMMUNEでも知られ、最近では相対性理論との「乱暴と待機」のリリースや坂本龍一とのフリーセッションでも話題となっている鬼才:大谷能生が登場!

大谷能生の天才が遂にその全貌をフルドロップ!間違いなく世界初の、アブストラクトジャズ・トラック&アブストラクト・リリック&アブストラクト・ラッピンによるHIP HOPアルバムが、孫子の関係にあるJAZZとHIP HOPの、曖昧だった関係をズタズタに明確にする!

帯・ライナーノーツ 菊地成孔

『Jazz Abstractions』は、音楽家/批評家の両面をもつ大谷能生にしかできない作品である。ライナーにある通り、このアルバムで大谷能生は一曲につきひとりのジャズメンの肖像を描くように音を再構築している。曲名でおおかの察しがつくと思うが、モンク、コルトレーン、マックス・ローチ、エルヴィン、ミンガス、アイラーやボブ・ジェームスもいる、絶妙の王道感と偏向ぶりだが、内容はそれに輪をかけて王道であるとともに偏向している。何に対する偏差かといえば、ヒップホップに対するそれだ。大谷能生のアブストラクション(ズ)はヒップホップのアンダーグラウンドをほのめかすクールさとロジックをもちながら、そこからはみだす身体性と野趣を強く感じさせる。これは大谷能生の演奏を聴いたり文章を読んだりしたことのある方ならご理解いただけることだろうし、どこか〈Blacksmoker〉のレーベルカラーを彷彿させもする。大谷のコンダクトに呼応して、音に抽象化されたジャズメンたちはその不在を
埋めるようにときに饒舌に、また寡黙に語りはじめるが、ビートと一体となることで、ジャズでもヒップホップでもある/ない音楽がそこにできあがっていく道程に、気づけば私たちは誘い出されている。(松村 正人)


大谷能生(おおたによしお)
1972年生まれ。ミュージシャン、批評家。ジャズ(サックス)、エレクトロニクス、ラップ、朗読など、多数のバンドに参加して幅広い演奏活動を行っている。近年は舞台作品の音楽制作・出演も多数。著書に『憂鬱と官能を教えた学校』、『M/D』(菊地成孔との共著)、『貧しい音楽』、『持ってゆく歌、置いてゆく歌』など。一月に新刊『植草甚一の勉強』が出る。