前作『Schlungs』からわずか1年強という、短いスパンを経て届けられた新作はしかし、彼らの“地力”をまざまざと見せつけるような、濃密でハイクオリティーで、またも傑作と呼ぶに相応しい大きな驚きと感動をもたらしてくれる一枚!
ノ ルウェーの森に深く木霊するようなファンタジックなリフレインと透明感のあるチャイムの音色、そこからめくるめく“MUNGワールド”へジワジワと展開し ていく、JAGA JAZZISTの名曲「Toccata」を拝借したM1でいきなりのスパークというか降臨というか、本作が間違いのないものであることが確信できます。
UNNI WILHELMSENのヴォーカルをフィーチャーしたM2「Revolving Door」では、TOUGH ALLIANCEやPACIFIC!あたりにも通じそうな柔らかなエレクトロ・ディスコとバレアリックのボーダー・ラインを心地よさげに往来し、続く軽め のビートを引き継いだM3「Smells Like Gasoline」では、前半ひたすら抑制をきかせながら緩急をつけたドラッギーな展開でスケールの大きな音世界を構築。
ラ イヒのような静謐なミニマリズムとクラウト・マナーのアンビエンスの下にささやかなビートを敷いたM4「Mung’s Picazzo」を経て、MUNG流の激渋トライバルを披露するM5「Mush In the Bush」、JULIAN OF CHODE aka MONZTAのヴォーカルをフィーチャーしたM6「People On Strong Stuff」、M1と並ぶ大きなハイライトといっても過言でない、LUNA FLICKSからのシングル・カットも大きな話題を呼んだM7「Ghost In the Machine」からラストのM8「The Dark Incal」まで、マンゴリアン・ジェットセットの“核”となるようなサイケデリアとボトムの感触を一貫して維持しつつも、いわゆる“ニュー・ディスコ” や“バレアリック”とは一線を画した幅広くディープなアウトプットでリスナーを最後の最後までケムにまく音姿はまさに圧巻!
緻 密なテクスチャーと目も眩むほどのサイケデリア、独特のウネリを持ったファットなディスコ・ビート……。他人のリミックスをしても、誰かのメロやサウンド を拝借しても、全てをミックスして彼らのアタマと腕を通してアウトプットしてしまうそのイマジネーション、そしてアタマの中に渦巻くアイディアはまだまだ 底無しなようです!
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