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Silent Of Light

Geskia!
Silent Of Light

flauでの2008年のデビュー作『Silent 77』や術ノ穴での2ndアルバム『President IDM』などを通じて日本人離れしたサウンドを表現また確立してきたGeskia!による渾身の1枚とでも言うべき通算6枚目となる傑作アルバム。
本作では非常に高い評価を得ているリズムプロダクションを変幻自在にコントロールしつつ、要所に配置された印象的なヴォイスやローズ、ピアノ、シンセを中心としたメロディー、コードワークが時に優しく時に鋭く抜群のセンスでプロデュースされ、収録曲全てに説得力のあるまさにマスターピースと言える抜群の出来映えとなった。マスタリングはベルリンをベースに90年代よりアーティストとしても確固たる地位を築いているPoleが担当、本作の魅力をより一層の高みに導いている。


「アルバム全編を彩る、懐の広い音楽性」
デンジャー・マウスのプロデュースのもと、危険な匂いに満ちたオルタナ・ポップを聴かせる『Little Broken Hearts』を昨年リリースしたノラ・ジョーンズのCDは、いまだに「ジャズ」のコーナーに置かれていることだろう。それがレコード会社の戦略なのか、レコード・ショップの利便性の結果なのかはさておき、彼女のデビュー・アルバム『Come Away With Me』を知らない新しいリスナーにとって、彼女のCDの置き場所がまさか違うフロアであるとは思いもよらない。

そうすると、Geskia!のCDはどの棚で発見できるのだろうか? 総勢10人のMCと共演した2ndアルバム『President IDM』は、(そのトラックはヒップ・ホップのそれとはかなりかけ離れているが)おそらく世間一般ではヒップ・ホップに分類されるであろうし、2011年作の『Alien』ではエイフェックス・ツインばりに攻撃的なテクノを聴かせる。「人と違ったことをやる」という言葉を繰り返し強調し、アルバムを出すごとにカメレオンのごとくその姿を変貌させてきたGeskia!を形容する言葉は一言、「トラック・メイカー」としか言いようがない。
そして、新作『Silent Of Light』。それは、とりあえず「テクノ・エレクトロニカ」とラベリングされるかもしれないが、勇ましく、ドラマティックで、歓喜と恍惚に満ち溢れた「Accent Accept」は、そうした色眼鏡を軽々と超越していくかのようだ。2000年代以降のYellow Magic Orchestraのような、エレクトロニカを経由したテクノの持つシンプルネスと、無数に重ねられる音粒一つ一つのきめ細かさ。そうした魅力が、抽象柄の織物のようにアルバム全編を彩っている。それは、スロッビング・グリッスルやノイズ・ミュージックさえも愛好する懐の広い彼の音楽性が、長年の冒険を経たからこそ獲得した高純度の到達点なのである。(text by 青野慧志郎)


●トラックリスト
01. Horic Chronic
02. Accent Accept
03. Constract Contrast
04. National Traditional
05. BGMREM
06. Torch Approach
07. Joint Chant
08. Dis Love
09. Planet Plan
10. Glare Trigger
11. Xtra Schema
12. Creativity Quality


■アルバムトレイラー
http://www.youtube.com/watch?v=H_HE3Oat2zM&hd=1
https://soundcloud.com/progressive-form/geskia-silent-of-light