2015 年にDJ 活動30 年のメモリアル・イヤーを迎えるジャパニーズ・キング・オブ・ハウス、DJ EMMA。そして、彼の長いキャリアを語る上で欠かせないのが、不動の人気ミックス・シリーズ『EMMA HOUSE』だ。誰もが知っている定番アンセムからリリース当時の最新フロア・ヒットまで新旧楽曲を織り交ぜた本シリーズは、ハウス・ミュージック・ラヴァーなら一度は必ず耳にしたことがあるのではないだろうか。また、同一アーティストのミックス・シリーズとして、ここまで長きに渡って続くシリーズは全世界的にも他に類を見ない。
前作『EMMA HOUSE 18』のリリースが2010 年3 月。同シリーズが約5 年ぶりに再びその鼓動を打ち始める。
レコーディングにはもちろんヴァイナル・レコードを用い、カスタムしたロータリー・ミキサーで入魂の一発録り。手直しは一切しない。CDJ が普及し、DTM も手軽になった昨今、さらにヴァイナル・レコードに熱い注目が集まっている今だからこその強いこだわりすら感じさせる。ハウス・ミュージックにとって、やはりこのスタイルは特別なのだ。
ゴッドファーザー・オブ・ハウスへの追悼から始まり、ノルウェーの新星による地を這うベースラインとシンセの音色が印象的なフロアキラーや自身の最新仕事を交え、国内クリエイターの最新ピアノ・アンセムでピークを迎えるまで、実にDJ EMMA らしい瞬間が幾度も訪れる本作。流麗かつ繊細なタッチでロング・ミックスを施し、高揚感を煽ってはロック・スターのようにダイナミックな展開で揺さぶる。ブースでのアイソレーターを手にする様はさながら地獄の門番、閻魔大王が乗り移ったかのようだ。単に曲を繋いだだけのDJ ミックスは数あれど、魂を揺さぶる真のDJ ミックスは少ない。ハウス・ミュージックとは何か。DJ ミックスとは何か。その答えの一つは本作が導き出してくれるだろう。尚、アートワークはアシッド・ハウス・コンピレーション『ACID CITY』でも印象的な作品を手がけたetsu が担当している。(文:野村アリマサ)
■TRACK LIST
M1. DREAMS(DJ TOOLS version) / VINTAGE LOUNGE ORCHESTRA
M2. MAN WITH THE RED FACE(ATFC “When The Light Go Up” REMIX
/MARK KNIGHT&FUNKAGENDA
M3. AIR ALERTNESS(MALAWI ROCKS REMIX)/ OMB&DJ OGAWA
M4. SAY IT/ROYKSOPP&ROBYN
M5. ZANZIBAR(MALAWI ACID DUB))/MONDAY MICHIRU
M6. STRANDBAR/TODD TERJE
M7. BREAK THE DAWN/CRYSTAL
M8. BELIEVE IN LOVE(DIRECTOR’ S CUT VOCAL MIX)/DAWN TALLMAN
M9. CERO(HARVEY REMIX)/ GALARUDE
M10. TUNER’ S HOUSE/L.B.DUB CORP(LUKE SLATER)
M11. BACK IN THE DAYS
/NICKODEMUS FEAT.BAM(THE JUNGLE BROTHERS)& THE REAL LIVE SHOW!
M12. WHAT YOU NEED(ENZO ELIA BALEARIC GABBA EDIT)
/SOFT HOUSE COMPANY
M13. FINALLY (PLANET-E MIX)/TERRENCE PARKER