DJ Nobuが主宰するレーベル<Bitta>から記念すべきカタログ10番として、ベテランプロデューサーKo-Taによる新作EPがリリースされた。北海道は釧路市在住のKo-Taは、90年代後半から自主レーベル<Stratosphere>を中心にリリース活動を続け、近年ではモロッコ発のレーベル<Tikita>からのEP2作のリリースが記憶に新しい。特に、Tikitaのカタログ第1弾であったEP「Festimask」収録のComptineは、Cio D'OrとDonato Dozzyによる東北大震災支援のために制作されたMix CD「J」でリズムの土台を作り上げており、その構成からKo-TaがDonatoの楽曲へ少なからず影響を与えたと思われる。
リズムにフォーカスしたトラックが多いKo-Taのプロダクションは本作「Shiza」でも健在であり、BPMやテクノの概念を取り払う新たな表現が実に新鮮だ。オリジナルトラックのShiyaでは高速でトライバルなリズム構成に呪術的なボイスが重なる。続くShizaにおいては、民族的なパーカッションにヘビーで怪しげなベースラインが加わる。さらに鮮やかなリードシンセが空間に広がり鮮烈な印象を残すトラックになっている。
ShiyaのRemixはアフロ・ポリリズム、ユークリッド・リズムの先駆者であるDon’t DJことFlorian Meyerが手掛け、オリジナルトラックを尊重しながらキックの構成とリズム展開でリスナーを魅了する。最後に収録されているのは、レーベル主宰のDJ NobuによるShizaのRemix。力強いアタックのキックにスペーシーなシンセが折り重なることで、サイケデリックで不思議な心地よさを創り出している。
このEPのインフォシートには、DJ NobuがKo-Taのオリジナルトラックをinstagramストーリーで偶然聴き、そこからコンタクトを取ったことがリリースのきっかけになったというエピソードが添えられており、テクノだけにとらわれず電子音楽の新たな地平を見つめるBittaとDJ Nobuの情熱と真摯な姿勢が垣間見れる。Bittaからの次作のリリースにも期待が高まる実に鮮烈なEPだ。 (Masafumi Take <Katharsis Recordings>)
Track List:
a1 Ko-Ta - Shiya
a2 Ko-Ta - Shiya (Don't DJ Remix)
b1 Ko-Ta - Shiza
b2 Ko-Ta - Shiza (DJ Nobu Remix)
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