各方面から高い評価を受けたアルバム『Ultrachroma』から2年、Kangding Rayが新作『ZERO』を引っ提げて再びARAに登場。本作は、ダンスフロア向けに制作されたLPであり、決定的な方向性を示している。
アートワークが示唆するように、このアルバムでは、彼の多様な探求と影響が一点に収束し、音が生の振動となって身体を動かす精密なエンジニアリングへと昇華されている。
本作は、彼が音の源泉に立ち返り、その純粋な形を探求する作品であると同時に、実験的レーベルraster-notonでのデビュー作を彷彿とさせる要素や、DJセットで知られるようになった催眠的なサウンドジャーニーが垣間みえる!
常に自身の音を再構築し、新たな形を追い求めるアーティストとして、Kangding Rayはこの作品で、現代のダンスミュージックに対する独自のアプローチを提示しているように映る。それは、感覚的かつ未来志向の姿勢によって駆動されているのだろう。
(Norihiko Kawai)