DJ Sprinkles a.k.a. Terre Thaemlitz
1986年にニューヨークに到着し、ロウワーイーストサイドのサブカルチャーに囲まれ、「DJ Sprinkles」名義でアンダーグラウンドクラブでDJとしての活動を開始。「チルアウトルーム」の先駆けともいえる、さまざまなジャンルやムードが渾然一体となったプレイにより、アンダーグラウンドグラミー受賞。
1992年にアナログ盤のみをリリースする"Comatonse Recordings"レーベルをスタート。記念すべき初リリース「COMATOMSE.000」はMixmaster MorrisとThe Orbの賞賛を得て、その後ニューヨークの"Instinct Records"と契約し、フルアルバム「tranquilizer」を発表。多くのアンビエントアーティストが古いアナログシンセサイザーに頼っているのとは対照的に、デジタル機器をベースにしたテムリッツ独自の「コンピュータージェネレーションシンセシス」を披露している。また"SubHarmonic Records"から「WEB」というプロジュクト名でBill Laswellとのコラボレーションアルバムをリリース。さらにはLaswellの伝説的なプロジェクトである「Material 」、細野晴臣、The Golden PalominosWilliam S. Burroughs、Drum Komputerなどのリミックスも担当。DJとしてはThe Future Sound of London 、Mixmaster Morris、Terrence McKenna、Carl Craigなどと活動を共にする。その後も"Mille Plateaux"、"Soil"、"Instinct"、そして自らが主宰する"Comatonse Recordings"などから多数のリリースを手がけた。2009年5月には"mule musiq"から「Midtown 120 Blues」をリリースし注目を集めた。
2001年から日本に在住し、セクシュアリティをテーマにした映像作品も多く手がけ、数々のライブイベントに出演している。またアップリンクファクトリーで定期的に開催される「テリコ先生のベリーファッキング英会話」の講師も務めている。
http://www.comatonse.com/
[トラックリスト]
私はトラックリストを教えないDJです。英語で「Train Spotting(電車ナンバーマニア)」という言葉があります。クラブのコンテキストで、「この曲って何ですか?」と聴くお客さんは、電車おたくたちと同じように、プレイされた全部の曲を知りたい人ですよね。トレインスポッターたち、がんばって!
[インタビュー]
─このミックスのコンセプトなどがあれば教えてください。
"Mule Musiq"のイベントのときのDJプレイをレコーディングしたものだから、普段のプレーよりちょっとモダンでエレクトロニック風(テクノは言い過ぎかな)のセットです。
─ご自身の楽曲を収録している場合、その楽曲の解説をお願いします。
私はさまざまなジャンルの楽曲を作るから、うまく説明ができないけど(笑)。でも、音楽よりテーマを大事にします。音楽は言語だと思います―メッセージを伝えるためのものだと思います。
きちんと社会的なもの―文化、コンテキスト、歴史―それは全部関係がありますね。そして、テーマが決まったら、それに合うジャンルをさがします。たとえば、「ミッドタウン120ブルーズ」のテーマを考えれば、やっぱりハウスがいい……。その感じのアプローチですね。
─ミックスの録音環境を教えてください。
渋谷MODULEのB2フロアでした。普通の環境ですね。Pioneer CDJ 1000 x2、Technics ターンテーブル x2、EFX500エフェクター、Vestax フレケンシーアイソレーターです。
─近況と最近の活動について教えてください。
11月20日に京都のワールドでThe Orbと一緒にDJしました。来週はアムステルダムの美術大学で講義します。テーマはGilles Deleuze & Feix Guattariの「becoming-minor(マイナーになる)」のコンセプトと「マイノリティー」のギャップを説明します。また2010年1月に"mule musiq"から新しいDJ Sprinkles名義でのEP「Masturjakor」がリリースされます。この曲は「ミッドタウン120ブルーズ」と同じときに作ったのだけど、少しシカゴハウス寄りなテイストがあるから、アルバムには入れなかったんです。Kink & The Nevilleのリミックスも入ってます!あとは、次のエレクトロアコースティックのアルバムを作っているところです(アルバム「愛の爆弾」のような感じのプロジェクトです)。タイトルは「Soulnessless」です。たくさんの人が私の音楽は「スピリチュアル」というけど、わたしは 無神論者ですね。スピリチュアリティとか宗教などは大反対ですけど、音楽の世界はそのことを 許せないみたいですね。そして、このプロジェクトはスピリチュアリティと宗教の批判です。2005年からずっと作っていて、とても長いアルバム―30時間以上―ギネスブックでがんばります!フォーマットは2ディスクと、4.3GBのMP3 DATA DVDとビデオDVDです。レーベルはまだ決まってないですが、できれば2010年末ぐらいにリリースしたいと思っています。
─今後の活動予定を教えてください。
スケジュールは私のホームページで常にチェックできます。
http://www.comatonse.com/thaemlitz/gigs.html
あとは1月末に、2週間ぐらいのドイツのツアーがあります。DJ、エレクトロアコースティックのAVライブ、大学でワークショップと講義をします。panorama barでもDJをしますし、さまざまなことを行う予定です。