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The Beetle Presents TOKYO CROSSOVER JAZZ FESTIVAL 2011

クラブジャズとクロスオーバーミュージックの国内最大イベントの「The Beetle Presents TOKYO CROSSOVER JAZZ FESTIVAL 2011」が、12月16日(金)に恵比寿ガーデンホールにて開催された。2003年から開催されており、2010年の開催さえ無かったものの、今や恒例 となったフェスティバルの1つである。2005年から続いていたageHaでの開催ではなく、会場を恵比寿ガーデンホールに移したこと、オールナ イト公演ではなく24時までの公演だったことなどは、大人のための都市型音楽フェスティバルとしてさらに進化したのが見て取れた。

text by : yanma (clubberia) 
金曜日ということもあり、どうしてもクラベリアの仕事が終わらない。幸いなことに会場の恵比寿ガーデンホールは、クラベリアの事務所のすぐ傍とい うこと。それでも会場に着いたのは22時前。。。エントランスには、今回のスポンサーであるVolkswagenのBeetleがお出迎えしてくれた。  
祝い花のいい匂いが漂うエントランスから2階へあがると、そこがセカンドステージとなっていた。ちょうどDJ KAWASAKIがプレイ中。アップテンポでメロディアスのハウスで盛り上げていた。ブースの横には、プロのカメラマンによるスタジオブースが組まれてお り、出演者、来場者が記念写真を残せるようになっていた。綺麗な写真の仕上がりに、常にこのブースは賑わっており沢山の笑顔が納められた。その写 真は、下記URLで誰でも閲覧ができるので見てみてほしい。

http://photos.thestudiobooth.com/Corporate/Beetle-TCJF/20671100_ztLMVS#!i=1639272330&k=jFxVtjB  
一方、メインフロアはDJ MUROが心地よいレアグルーヴでお客さんを揺らしていた。メインフロアの後方は、予約制のシート席になっており座ってゆっくり音楽を楽しめる作りになっ ていた。クリスマスを目前に、好きな音楽をゆっくりシートに座りながら、お酒を飲めたらどれだけ心地いいだろう。羨ましく思っている中、DJ MUROのプレイは終わり「TCJF 2011」の目玉である沖野修也ライブセットへと移行していった。  
今回の沖野修也ライブセットは、7月13日に発売された4年ぶりのソロアルバムを再現したスペシャルな内容となっていた。私個人もこのアルバムの ファンの1人だっただけに楽しみであった。この特別なライブを飾る1曲目は、アルバムと同様「STILL IN LOVE」だった。伸びやかなストリングスからドラムが入り、そして池田憲一(ROOT SOU;)の太いベースが入ってくると身体を揺らしたくてしょうがなくなる。期待を裏切らないスタートだった。センターにはクロスオーバー/クラブジャズ シーンの最高峰シンガーとの呼び声も高いNavasha Dayaが構えており、彼女の張りと存在感のある歌声が入った時に鳥肌を立てた人は、私を含めあのフロア内に多くいたことだろう。2曲目には、よりテン ションを上げるかのようにアルバムでもっともアップテンポな「LOVE AND LIVE」を披露した。  
会場の気持ちを一気に1つした立ち上がりから、次に紹介されたゲストは、天使の歌声を持つヴォーカリストと称されるDivintiだった。その彼 女がまず歌ったのは「SUN WILL RISE」。Navasha Dayaとは対称的な、いわゆる女性らしい穏やな優しい歌声にうっとりさせられた。そんな矢先にまたまたゲストが登場するのだが、 SOIL&"PIMP"SESSIONSのサックスプレイヤー元晴が加わり「TAKE A LOOK AT YOUR SELF」が披露される。元晴の独特なダンスと脳に直接訴えかけてくるかのような高揚を煽るサックスの演奏に心拍数が上がっていくのを感じた。この心拍数 が上がった状態で最高の曲が演奏された。Divinitiといったらこの曲「SHINE」。今回のDESTINY収録曲ではなく、前作 「UNITED LEGENDS」の名曲だ。シンプルなハウストラックに美しい歌声冴え渡った。  
意表をつくというか、要望に答えてくれた「SHINE」から、アルバムタイトルにも使用されている「DESTINY」が演奏される。ボーカルには 再びNavasha Dayaが登場した。曲中に何度も繰り返される「Destiny」という歌詞が終焉の近づきを予感させた。そして最後に演奏されたのが、来場者も口ずみや すい歌詞の「LOOK AHEAD」。ボーカルの繰り返しから入る曲なのでいかにもライブ仕様で会場を特に1つにまとめる最後にはもってこいだった。  
曲が終わり、メンバーがステージを後にするが拍手が鳴り止むわけもない。アンコールの催促だ。DJを控えブースにスタンバイしていた沖野好洋が見 かねて、「このまま終わっていいんですか~?」と兄・沖野修也にうったえかけた。すると弟・沖野好洋の言葉を聞いて兄の沖野修也が再びステージに 姿を表し「この美しい兄弟愛見ました?僕らがライブをやると彼のDJ時間が減るんですよ」と言い、再びメンバーをステージに呼び戻した。今回のラ イブは、演奏もすばらしかったが、沖野修也のMCも私たちを楽しませた。メンバーをサッカー日本代表の様に「沖野ジャパン」と呼びサッカーのポジ ションになぞらえて紹介したりと曲間も楽しませてくれた。こればかりは、あの場に居合わせた人の特権だろう。そして、アンコールで披露されたの は、沖野修也といえばこの曲「Thank you」が聞けたのも特権だっただろう。出演者からのThank youを来場者は受け取りライブは終了した。  
そして、自分の持ち時間を削ってまでライブをやらせた沖野好洋がこの「TCJF」を閉めくくるのだが、徐々にブースには出演者が集まってくる。 DJ KAWASAKI、社長、そして沖野修也と、いつものクラブのように来場者と近い距離で1曲1曲楽しんでいた。そして終わりの時間を迎えた沖野好洋がマイ クを持ち、「僕の個人的な想い入れで、もう1回歌ってもらおうと思います」というとPaul Randolphが「Waves Of Love」を歌うというサプライズ。そしてこれ以上ない終わり方に、わずか2時間強しかいれなかったが、とてもいい思い出に残ったフェスティバルにさせてくれた。  
2011年は、意識的に多くのフェスに行くようにしていた。思い出すとSONAR、渚、FREAKS、GREENROOM、BIG BEACH、FUJIROCK、SONICMANIA、東京JAZZ、FREAKS VILLAGE、WOMB ADVENTURE、そして最後にこのTCJF。会場を出ると、見慣れた恵比寿の街。冬の澄んだ空気がさっきまで聞いていた音楽をより美しいものへと美化 させてくれた。素敵な時間を過ごす。いい時間、楽しい時間を過ご過ごすことは比較的簡単だと思う。ただ今日のように素敵な時間を過ごせることは、 フェスにしかり、普段の生活の中でもなかなか無い気がした。

最後に、このレポートをご覧頂いた読者の皆さんに、ぜひご覧頂きたい記事があります。TCJF終了後に書かれた、主催者である沖野修也さんのブロ グにこのTCJFへの想いや、苦悩、感謝が綴られています。華やかに見える世界ですが、私たちに見えないところで困難と戦いそれを見せない姿勢に、尊敬するばかりです。

■沖野修也ブログ
http://ameblo.jp/shuya-okino/day-20111220.html