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Pioneer 「RMX-1000」 新作発表会 @ AIR

5月16日(水)に代官山"AIR"でPioneerから6月に発売される新しいプロダクト「RMX-1000」の新作発表会が行われた。このイベントは、各媒体や機材ショップなど一部関係者向けのイベントだが、DJ・クラブ関係者や一般ユーザーも招待され、Bryan Burton-Lewisの司会でイベントは進んでいった。

text : yanma (clubberia)  
近年、DJ機材の発達とともにDJに要求されるものも変化してきたと同時に、以前よりも他のDJとの差別化を図るのが難しくなってきている。そういった時代背景のなか、リミックスステーション「RMX-1000」は制作された。気になる点は、エフェクターではなく、「リミックスステーション」と名づけられていること。以前、このプロダクトの発表があった時にニュースで掲載した時、Pioneerのエフェクター「EFX-1000」の後継モデルだと思い、エフェクターと表現し記事を書いたが、後日訂正が入り「リミックスステーション」と書き直したことがある。今回、会場に足を運んだのは、その違いを確認するためでもあった。  
新作発表会は、企画部長の片岡氏の挨拶、商品説明、DJ KYOKOとDEXPISTOLSのデモンストレーション、トークショーと進んでいった。この「RMX-1000」は、エコーやリバーブといったDJプレイに欠かすことのできないエフェクターが10種類搭載された"SCENE FX"、各周波数域別に音色を変えることができる"ISOLATE FX"、サンプラーのような使い方ができる"X-PAD FX"、レバーを倒すことで原曲の音を消しエフェクト音のみ残せる"RELEASE FX"の4つのセクションからなっている。さらに、各エフェクトのパラメーターをオリジナルにカスタマイズできたり、楽曲制作ソフト上でエフェクターのコントローラーとして使用もできるなど、より自由度の高いプロダクトとなっている。

DJ KYOKOとDEXPISTOLSのデモンストレーションを見ても両者ともまったく違う使い方をしている点でおもしろかった。DJ KYOKOは、"SCENE FX"、"ISOLATE FX"を多く使用し、原曲の世界観を壊すことなくブレイク時に彩りを添えたり、ちょっとしたアクセントに使用。一方、DEXPISTOLSは"X-PAD FX"を多く使用し、リアルタイムに事前に用意してきたであろうサンプリングネタでビートを作り出し、かけている曲とマッシュアップさせていった。ちなみに使用されていたミキサーは、DJM-900 nexus。ミキサーのビートエフェクト部分のつまみはSEND/RETURNにあるので、既存のエフェクトは使われていない(COLOR EFEXTは使用可)。ミキサーについているエフェクターも使い勝手は非常に優れているが、ミキサーについているエフェクトでは難しかった、オリジナル性やライブ性を追求しやすくなったといっていいだろう。  
イベント終了後、企画部長である片岡氏に話を伺ったところ、このRMX-1000は2年~1.5年くらい前から開発が始まったとのことだった。2年前の2010年は、ちょうどPioneerのハイエンドモデルとなるDJミキサー「DJM-2000」が、その半年後2011年には、現在多くのクラブで常設されている「DJM-900 nexus」が発売された年であった。「最初のスタートはDJM-2000でエフェクトの新しいチャレンジをしまして、その後に新しい"リミックスの世界を作りたい"と担当から企画がでました。それも独立したもので、エフェクターを越えるものを作ってみたいというものでした。それでこのRMX-1000の企画がスタートしたんです。たんなるエフェクターではなくて、DJがリミックスするという部分に拘ったつもりです」と話てくれた。  
従来のエフェクターは、既存の音に変化を加えるといったものだが、このRMX-1000はさらに既存の音を使用し新しく再構築するといった印象をDJ KYOKOやDEXPISTOLSのデモンストレーション見て感じた。トークショー内でDEXPISTOLSのDJ MAARが「これは、やばいですね。ずーといじってしまいますね。やりすぎてお客さんを引かせないように気をつけないと(笑)」と感想を述べている。私も少しDJをしているが、DJに興味を持つきっかけには、この機械を通したら自分の持っている音楽がどんなように変化するんだろうという好奇心もあると思う。今回、私もこのRMX-1000を触ってみて初めてDJミキサーを手にした時のような、また初めてエフェクターを触った時のような興奮を思い出した。ぜひ機材ショップへ行った際に触ってみてほしい。一度触ってみれば、どのジャンルのDJにも活用できる機能が集約されているのが分かっていただけると思う。そして、自分がDJをし始めたころのフレッシュな気持ちになるのではないだろうか。
 
なお、PioneerのYOUTUBEのチャンネルではGOTH-TRADをフィーチャーした映像が公開されている。こちらも非常に参考になるので、ぜひご覧いただきたい。
 

 
ps.
私は、ハウスからヒップホップくらいのBPMでDJしますが、特に"ISOLATE FX"セクションにある"CUT/ADD"が画期的だと思いました。これは、バスドラムの音がミュートになりながらベースが残るので渋い展開が作れそうです。