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METAMORPHOSE SPRING

私にとってメタモは野外フェスの通過儀礼だと思う。A子「どの野外フェスがオススメ?」。自分「まずはメタモに行け」。こんなスッパリと言ったことないが、人にオススメできるフェスには間違いないし、あれほどラインナップに富んだフェスもない。FREE DOMMUNEに続き、悪夢再びとなった昨年の開催中止から9ヶ月。ようやくメタモが帰ってきた。今回は、あの野外ではないにしろラインナップは、なんら遜色ない面々がそろった。幕張メッセでの開催に私はフロアで何を思うのだろうか?

Text by : yanma (clubberia)
Photo by : 青木勇策, 井口忠正, Ryo Nakajima (SyncThings) 
乗る電車を間違えてしまいオープンの10時に間に合わず、午前11時に会場へ到着した。私にとって幕張に来るのは、ビッグビーチ、サマソニ、ウームアドベンチャーくらいなので、メタモで幕張に来てるのに正直違和感を覚えた。エントランスをくぐり、まず最初にあるのがDJエリア。そしてフード・ドリンクエリアをはさんでライブエリアの3つのスペースで会場は作られていた。

まず見たのは、Ebo Taylor & Afrobeat Academy。西洋のジャズと伝統的なアフリカ音楽を融合させたようなアフリカンファンクを鳴らしている。分厚くうねるベースラインと土着的なパーカッション、陽気なホーンセクションにEBO TAYLORのボーカルが乗る。まだ午前11時。天候は晴れ。見上げれば天井はあるけれど、彼らの音楽で外だ中だなんかもうどうでもよくなった。友人はビール、私はDMZという水で乾杯し(前日飲みすぎていたので、この日は水がおいしかった)、そのまま音楽を楽しむ。それで充分だと思っし、環境が違うだけで楽しめなかったとしたら音楽が嘘になる。 Ebo Taylor & Afrobeat Academyが終わり、ブランチを取りお昼が似合わない男NO.1、Moodymannへ。ラインナップ発表の時におもしろかったが、オフィシャルで下記のように発表されていたから。

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極限までディープなスタイルでフロアを泥沼に陥れるMoodymannの出演が決定です!!
どうにもヤバ過ぎるので、再度のオファーを少し躊躇しましたが・・・
責任は持ちませんので、あしからず・・・
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たしかに(笑)と思った。以前、LIQUIDROOMでの公演に行った時、DJよりマイクパフォーマンスが多かったんじゃないかくらいしゃべっていた記憶がある(記憶なので盛っているかもしれません)。あまりにしゃべるから、ちょっと休憩と思ったら寝てしまいイベントが終わっていたという経験をした。あの悪夢再びか、それともきちんと登場するのか。そんな当たり前のことすらドキドキしてしまう。ブースに表れると、いつもは夜行性であろうオーディエンスから、大きな歓声があがる。彼らも自分と同じように、昨夜も遊びながらMoodymannが13時からだから、眠たいながらこの場所に来た同志だと思う。バイナルを取り出し、ゆっくりとセット。頭出しをして曲を準備する。(もちろん頭だしの音はフロアへ流れてます。)これを普通のDJがクラブでやったら、怒られるんだろうなと思いながらそれが許される彼はやっぱりスターだ。それも圧倒的カリスマを誇るロックスターだ。そんなことを思っていたら、頭出しをしていた曲は、先日亡くなったMCAのユニット"Beastie Boys"のファーストアルバム「Licensed to Ill」に収録されていたリードシングル"Hold it Now, Hit it"がかかり、かかり会場からは、さらなる歓声があがる。いっしょに行っていた友人は、「あいつには愛があるよー」と踊りだした。  
DJプレイは、あっち行ったりこっち行ったり、彼だから許されるようなDJではなく、4ビートのトラックを自然にミックスさせ、ときおりマイクパフォーマンス(次の曲は○○なんだ的な紹介を言っていたのだと思う)を行うくらい。これがスマートでかっこよかった。いい曲も作れて、DJも上手くて、カリスマがある。他のアーティストと圧倒的な差を見せ付けたパフォーマンスだったと思う。


Moodymannの裏ということもありあまりきちんと見れなかったがGorillaz Sound Systemは、かなりかっこよかった。個人的にベストアクトだと思った。ステージには薄い膜がかかり映像が照射されている。奥で誰かが動いているのが分かるくらい。彼らのトラックをドラムンベースやダブステップといったベースミュージックにアレンジしたり、有名なヒップホップのサンプリングネタを使用したりと、ロック的なGorillazとは大きくかけ離れており、ボキャブラリーに富んだ内容だったし、どんなパフォーマンスなのか、事前リサーチしないまま行ったからなおさらよかったのかもしれない。  
そして、メタモといったらGalaxy 2 Galaxyのライブが迫る。05年のメタモでのパフォーマンス映像を何度YOUTUBEで見たことだろう。私が初めていったメタモは08年。ちょうど彼らが出演しておりHi-Tech Jazzが演奏されるのを、まだかまだかと待っていたのを思い出す。今回3回目の出演となるメタモ。トラックリストが思いのほか、ジャジーだったように思う。がっつり踊るつもりだったので、出鼻を挫かれた感はあったが最後のJaguarからHi-Tech Jazzの流れは、その日1番の盛り上がりをみせたのではないだろうか。  
終盤にむけて加速していくかのようにOrbitalのライブとなる。暗闇に光るライトが見える。ステージから遠く離れた場所で見ていたが、あのライトが見えるだけで嬉しくなる。私的にOrbitalの魅力は、ブレイク開けのキックを気持ちよく聞かせてくれる、そんな印象がある。アンビエントな上音との対比がとれたその音は、セットに組み込まれていた"NEVER"や往年の名曲"BELFAST"がいい例だ。20歳くらいのころ思わずジャケ買いしてしまったアルバム「Altogether」の"Oi!"とか聞きたかったが、やはり組み込まれなかった。だが、終盤に彼らの代表曲の1つトランシーで気持ちいいCHIMEが聞けたのが嬉しかった。  
そして、ライブステージのトリを務めるThe Flaming Lipsのライブが控え、続々とオーディエンスがフロアに集まってくる。隣の男性は、「こいつらは始めを見ないと、見たことにならない」などと話している。転換の音楽が止まり歓声が上がると、スクリーンにサイケデリック調の裸の女性が踊る映像が映し出される。暫く踊っていたが、M字開脚で座りだし股間をフロアに向けると、股間からエネルギーが出て皆の注目が股間に集まる。するとちょうど股間の部分がドアになっていて、メンバーが1人づつ出てくると、会場から笑い声と歓声と拍手が入り混じった、とにかくハッピーな歓声が起きた。メンバーが登場すると、ボーカルのWayne Coyneが巨大な風船の中に入っていた。そして1曲目"Sweet Leaf"が始まると風船に入ったまま、フロアの人の上を転げまわっていた。私は、スティーヴ青木のDJパフォーマンスに驚いたことがあったが、彼らの度を越えるパフォーマンスにはそれを裕に越えていた。やがて風船が萎みだすと、風船から出るが今度は、拡声器を片手に歌いだした。会場は、もう登場の時から沸点をずっとキープしたまま、"Worm Mountain"、"The Yeah Yeah Yeah Song"と続いていった。"The Yeah Yeah Yeah Song"では、たくさんの巨大風船と紙ふぶきが常に会場に舞っており、これは野外だったらできないパフォーマンスだっただろう。そして、最後は会場全体で合唱した"Do You Realize?? "で締めて、これ以上ないハッピーなThe Flaming Lipsのパフォーマンスが終了した。  
これで、ライブステージは終了し、ここからDJステージのみで朝まで続いたのだが、私は別の現場があったためDerric Mayのプレイを聞きながら会場を後にした。

開催中止から9ヶ月、幻の2011年に出演する予定だった多くのアーティストで組まれた今回。野外だったら違う楽しみもあったかもしれない。ただ、屋内だからこそ楽しめた部分もあったはずだ。一概にどちらがいいとは言い切れない部分もあるが、1つ言えることは、今後も私たちのメタモは続いてほしいということだろう。