Text by : yanma (clubberia)
Photo by : Akiyoshi Ishigami, Eisuke Fukumochi, Gaku Maeda, Kotaro, Masanori Naruse
昨年に引き続きリポートすることになったビッグビーチ。今年はオープンから参戦したが10時前にも関わらず、エントランスには既に列ができていた。オープンと同時に会場へ入るが、海が見えた瞬間に回りを歩いている人たちから次々と声があがった。
11時からセカンドステージの"RED BULL STAGE"とサードステージ"Disco Balloon"が、先にスタートする。"RED BULL STAGE"では、2007年&11年のDMC UK チャンピオンである「JFB」のパフォーマンスが始まる。スクラッチ、ジャグリングを駆使し、ドラムンベース、ダブステップ、ロック、ヒップホップ、はたまたゲーム音楽まで駆使し、お祭りのスタートを告げるようなバラエティー溢れるプレイを披露した。
そして12時からメインステージである"BIG BEACH Stage"がスタートする。トップバッターを務めるのは、国内外で引っ張りだこの「SATOSHI OTSUKI」。10カウントのカウントダウンから怪しい笑い声のサンプリングからスタートし、ディープなミニマルハウスで引っ張っていった。
"BIG BEACH Stage"のスタートと共に多くの人が"BIG BEACH Stage"へと移動をしていくのを横目に12時30分から"RED BULL STAGE"で行われる「Red Bull Thre3style Japan」のスペシャルショウケースが特別に行われるのを待っていた。この「Red Bull Thre3style Japan」は、世界中のDJが技やクリエイティビティを競い合うDJバトル。いよいよ6月8日(金)仙台"Neo BrotherZ"での東北予選を皮切りに全国7都市でスタートする。今回ジャッジとして全国を廻るDJ KOYAや、日本が世界に誇るアーティストDJ KRUSH、さらに11年、10年のRed Bull Thre3style Battleの日本チャンプDJ 8MANとDJ IKUによるDJ バトル、HIFANAでお馴染みのKEIZO machine!とDEXPISTOLSでお馴染みのDJ MAARのバトルが行われる注目のコンテンツだった。
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まずは、11年の日本チャンプDJ 8MANからスタートした。スクラッチで客を煽りボイスサンプリングでビートを作りだし、1曲目からNIRVANAの"Smells Like Teen Spirit"をかける。誰もが知るあのギターリフが聞こえると同時に会場は一気に盛り上がった。終盤、機材トラブルで音が止まってしまったが、アクシデントで逆に会場は盛り上がり、最後は「Big Beach Festival'12」のヘッドライナーでもあるThe Chemical Brothersの"Hey boy Hey girl"、"Out of Control"で締めくくった。DJ 8MANのパフォーマンスは、アッパーなグルーヴを維持したままミックスしていくクラブでのプレイを15分に落とし込んだ様なプレイだった。
次は、10年の日本チャンプDJ IKUのパフォーマンス。持ち時間で一連の流れを作り出すDJ 8MANとは対象的で、2、3分くらいのセクションをいくつも作り、その各セクションで曲の雰囲気やビート感を変えてくるタイプのパフォーマンスだった。"Power to the people"でピースフルなスタートから、ヘビーなダブステップをミックスし、そのギャップで会場を驚かせた。1番盛り上がったのは、NIRVANAの"Smells Like Teen Spirit"の「Hello, Hello, Hello, How Low」の部分を繰り返しながらMartin Solveig & Dragonetteの"Hello"をミックスさせた部分ではなかっただろうか。
ファーストステージの最後は、今回の「Red Bull Thre3style Battle」のツアージャッジを務めるDJ KOYA。特に選曲性を重視したグルーヴをキープしていくプレイ。序盤にアッパーな曲で会場のハートを掴み、中盤は渋いダブステップなどで1回下げて、終盤にBeastie BoysやThe Chemical Brothersといったアーティストの曲を流し、ファーストステージの中では、1番オーソドックスなクラブDJスタイルのパフォーマンスを披露し、約1時間のショウケースは、あっという間に終わった。
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急いで"BIG BEACH Stage"へ。世界で最も有名なDJの1人John Digweedがプレイしていた。どうしても夜のイメージがある彼のDJに違和感を覚えながらも、そういえば先月メタモで日中のMoodymannを見ていたのを思い出した。まだ13時半、太陽の下、既に多くのオーディエンスが"BIG BEACH Stage"へ集まっておりブレイクごとに歓声が上がっている。聞き始めのころは、派手さを抑え、キックで躍らせるディープなセットだった。ちょっとディープ過ぎないか?と思ったりもしたが、120分あったので、ただ私自身が前のめりになっていただけだった。後半はきっちりメロディーが強調されてきて、広い空間で気持ちいいプログレッシブなハウスにハメられた。そしてそのまま、Sven Vathへ。Sven VathもJohn Digweed同様120分あったが、オーディエンスは、もう十分できあがっているということもあり、最初からアッパーなテックハウスで展開していく。私が聞いていた1時間は、終始落とすことを知らずテクノ界の帝王のサディスティックな一面を見たように思った。
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そして16時より再び"RED BULL STAGE"の「Red Bull Thre3style Japan」へ。セカンドステージは、まずHIFANAのKEIZO machine!からスタートする。デパートの店内アナウンスをネタにしたボイスサンプリングをはじめとした、ユーモア溢れる出だしで会場を盛り上げた。そして鎮座DOPNESSとのトラック"言ってんのか/言わされてんのか~"、"Wake Up"やロカビリーにドラムンベースのビートを乗せたトラックや、R&Bマナーで鳴らすダブステップなど終始ユーモア溢れるパフォーマンスだった。
そして、DexpistolsのDJ MAARのパフォーマンスがスタートする。BPM 130近くのエレクトロからシカゴハウスの名曲"House Nation"などをスムーズにミックスしていくのは、さすがの一言。そして、Rage Against The Machineの"Killing in the Nameをかけるとブースに立ち会場を煽り盛り上げる。その後もレゲエやダブスッテップにいくもハウス、テクノといったトラックで山場を作り、最後は忌野清志郎の"放射能はいらねぇ!"で締めた。
最後は、いよいよDJ KRUSH。15分でどのようなパフォーマンスをするか?注目の1曲目は、アンデス民謡「コンドルは飛んで行く」にヘビーなビートを乗せるいぶし銀な立ち上がり。そして、John Lenno"Imagine"のブレイクビーツエディットからオリジナルへとつなぐ。西日でオレンジに染まりかけた状況もマッチし会場を感動が包んだ。そしてここから徐々にBPMが早くなっていき、最終的にはビートの応酬で圧巻のパフォーマンスを披露した。
この日、「Red Bull Thre3style」のショウケースが行われたのはセカンドステージだったが、行き交う人が足を止め、踊りだし、DJとオーディエンスの間にコールアンドレスポンスが生まれメインステージに引けを取らないほどの熱狂があった。この熱量がこれから全国に飛び火していくので、東京、北海道、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡の読者は、ぜひチェックしてほしい。
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そして18時からのThe Chemical Brothersに備えるべく小休憩をこのまま"RED BULL STAGE"で取っていたのだが、この時プレイしていたMatthias Tanzmannのクールなプレイにやられた。こういった大きなフェスでは、やり過ぎ感がパフォーマンスに出てしまうが、Matthias Tanzmannの場合、基本的にドラム、ベースで押していき、ホワイトノイズをはじめとする効果音的な上音が乗り、シンプルながらずっと踊らされてしまう、この日1番洗礼されたパフォーマンスだったのではと思う。個人的にベストアクトだった。
あたりも徐々に薄暗くなり始め、いよいよThe Chemical Brothersのプレイが始まる。地響きのような低音が這ってくると会場から今日1番の歓声があがった。初期の彼らのような荒々しくどっしりとしたブレイクスで引っ張っていく。変化が顕著にでたのは、開始から1時間たち、名盤「Surrender」の"Under the Influence"が流れてから。ここから上音が主軸となるトラックへと移行し、トランシーなメロディーをそのまま引継ぎ、ラストスパートにかかった印象だった。
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終わりの20時も近づいてきて、ミックスしたというよりはっきりと"Swoon"のメロディーが聞こえてくる。2010年に発売されたアルバム「時空の彼方へ」のリードシングルで、その切ないメロディーで近年のトラックの中では、もっとも人気のトラックではないだろうか。
Just remember to fall in love.
There's nothing else.
恋に落ちることを忘れないで。
それ以外ない。
男女がもがきながらも結ばれていくPVが感情移入させられるのだが、やはり映像は用意されていない。しかし、ちょうど前奏のイントロからビートが入るサビのところで、サビの頭に合わせたように夜空に花火が咲いた。いつもは、パフォーマンスが終わったタイミングで打ち上げられるのだが、今年はエンディングに向かうもっとも盛り上がるところで打ち上げられた。花火の破裂音と散っていく火花が"Swoon"のメロディーに乗るたびに、閉まっておいた気持ちや、我慢していたもの、何かが溢れ出しそうになる。それほどの多幸感に満ちた時間だった。このまま、彼らの歴史的アンセム"Star Guiter"、"Hey boy, Hey girl"へと続き、怒涛のラストスパートと盛り上がりをみせ終焉したが、私にとっては花火と"Swoon"のシンクロがこの日の全てだった。
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昨年を大幅に上回る来場者数を記録したようだが、去年楽しかったから今年も行こう、その連続がこの盛り上がりを生んでいるのだろう。だからきっと来年も開催されるのであれば、今年以上の盛り上がりをみせるに違いない。花火と共に春フェスの終わりと夏フェスの始まりを告げた「Big Beach Festival'12」は、過去もっともドラマチックなものとなった。
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