過去最高の盛り上がりをみせたBig Beach Festival 2012終焉後、興奮冷めやらぬまま行われたアフターパーティー。私も幕張から東京へ、あの興奮を引きずり移動したオーディエンスの1人だった。
Text by yanma (clubberia)
私がアフターパーティーに行ったのは、WAREHOUSE702。出演者には、John DigweedとTimo Maas。特にJohn Digweedのプレイは楽しみだった。太陽の下、ビーチで聞くのもよかったが、やはり彼の音楽は夜が似合う、そう思っていた。
会場に到着すると、外には列ができていた。ビッグビーチのアフターというのもあるが、やはり90年代のプログレッシヴハウス黄金期を築き上げた世界で最も有名なDJの1人John Digweedのギグともなれば、好き者は黙っちゃいない。列に並んでいると前後の人と「今日はビッグビーチ行ったんですか?」「ディグウィード好きなんですか?」とか、自然とコミュニケーションが生まれていくのも楽しかった。
会場に入ると、Timo Massがプレイ中。ただ、既にピークタイムさながらの熱量がフロアにはあった。Timo Massってこういう音もかけるんだと、びっくりするくらいボーカルがのったハウスをプレイしていたのが印象的だった。そこからJohn Digweedにバトンタッチするため、徐々に硬くも伸びがある音へと移行していった。
Timo Massがプレイ中、バー横でのんびりしていると、横でタバコを吸っていた男性に話かけられたんだが、彼もJohn Digweedを溺愛していたので、どれだけJohn Digweedが凄いかを約30分くらいにわたり力説された。DJや関係者同士なら、DJやトラックについて語りあうのは自然なことだが、一般の人が、会場でこれほどDJについて熱く語るのは珍しい気もする。彼曰く、「前3列は、みんなディグウィードのファンですよ、仲間みたいなもんです。」確かにエントランスで並んでいる時に話した、人もそこにいた。一心不乱に音楽と向き合っている感じが伝わってくる。そして、大きな歓声があがりJohn Digweedが登場したことを察するとバー横で話していた男性は、フロアへ駆けつけていった。
私は、John Digweedのプレイを聞くのは今日が初めてで2回目。いわゆるプログレッシブハウスも短い期間だったが通ってきた。120後半のBPMにメロディアスなトラックは、トランスとハウスの流れを汲み双方の中間点に位置する音楽、そんな認識を持っている。Timo Massが温めたフロアを最初は、キックとベースの低音で空間を埋めるプレイでグルーヴィーに展開していく。フロアは「すぐにでも上げてくれ」そんな前のめりな印象だった様に思うが、あえてまだ焦らす。交代して1時間くらいしただろうか、徐々にメロディーが先行してくるようになると同時に、抑えめの照明も徐々に派手になっていく。気がつくと、メロディアスでダークなトラックの応酬で、その音の隙間の無さに感覚が麻痺していくようだった。WAREHOUSE702の高い天井と自分の間を高音が飛び交う様も気持ちいい。後で、写真を見て分かったのだが、ミキサーに音質に定評のあるALLEN & HEATH社の最新ミキサーXONE DB4が使用されていたのもあってか、広域の音をずっと聞いていても痛くなく快適に過ごせた要因の1つだったのかも知れない。とにかく私がいた6時を過ぎても、John Digweedもフロアも一行に落ち着く気配もなく、DJとオーディエンスのコミュニケーションは続いていくのに驚かされるばかりだった。
John Digweedも、もちろんすごいのだけれど、熱狂的なファンに囲まれパーティーが続いていく。そんな彼は、ほんとうに幸せ者だと思った、そんなパーティーだった。
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