6月から毎週全国各地で開催された「Red Bull Thre3Style Japan」の地方予選が終わり、7月22日(日)に日本代表を決めるJapan Finalが大阪"JOULE"で開催された。私も、中部予選、関東予選、東北予選、北海道予選と東日本で行われた地方予選に同行し各地の模様をレポートしていただけに、ただのイベントとは思えなくなっていたし、私が関わった東日本の各代表がチャンピオンになるように応援していた。とはいえ、やはりJapan Final。各地の実力者同士のバトルは接戦し、甲乙を付けがたい内容だったことは言うまでもないだろう。今回は、この緊張感と高揚感が共存した熱い1日となったJapan Finalをご紹介したい。
text by : yanma (clubberia)
初めてこの記事をご覧頂く読者のために、簡単に「Red Bull Thre3Style」についてご説明しておきたい。DJバトルといえば、一般的にDMCが有名かと思うが、このRed Bull Thre3Styleは、DMCと何が違うかというと、DMCがジャグリング、スクラッチ、パフォーマンスの構成を競うのに対し、Red Bull Thre3Styleは、3ジャンル以上の音楽をプレイし、「創造性」「選曲」「スキル」「ステージ映え」「フロアの盛り上がり」の5項目を競い合うDJバトルとなる。世界大会も開かれており、今年はアメリカ・シカゴでの開催が予定されている。6月から行われた地方予選で、北海道、東北、関東、中部、関西、中国・四国、九州の7地域の代表を選考し、各地域の代表7人+2011年の日本チャンプである8MANを加えた8人でシカゴ行きの切符を争うこととなる。
会場となる大阪"JOULE"は、関西県でも最大級のキャパシティーを誇る店舗。おそらく1000人くらいのキャパシティーはあるだろう。1階がエントランスで、2階が吹き抜けのメインフロアとなっており、3階からもフロアやブースが見下ろせる。4階は屋上のラウンジとなっており、これからの季節にここでチルアウトするもの一興だろう。そんな関西圏を代表する"JOULE"の広いフロアが、日曜日にも関わらずオーディエンスで続々と埋められていく。
21時。いよいよバトルがスタートする。MCのAmiと西田新が会場を盛り上げていく中、1番手の九州地区代表のYossyが、ブースの後ろに座りコンセントレーションを高めている姿を見て、この大会にかける思いが伝わってきた。Yossyは、ヒップホップのトラックでドラムンベースのビートをルーティーンで作り出し、インパクト大の出だしを見せた。そのあともJadakissや、M.O.Pといったメジャートラックをルーテーンで新鮮なトラックへと変えていった。後半は、4つ打ち主体の選曲へ変更し、最後カウントゼロまで気迫溢れるプレイを魅せて会場を沸かせた。
■Mixcloud
http://bit.ly/YOSSY-RB3S2012JPF
2番手は、北海道地区代表Keizi。ロックにダンスミュージックや、レゲエ、ヒップホップを掛け合わせた絶妙なブレンドが彼の特徴でもあるが、今回もそのプレイが発揮されている。リアルタイムにリミックス、エディットしていくかのようなプレイは、15分を短く感じさせるほど新鮮であった。
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http://bit.ly/KEIZI-RB3S2012JPF
3番手は、昨年の「Red Bull Thre3Style Japan」の日本チャンプである8Man。2番手のKeiziがプレイ中もブース内で踊り一緒に盛り上げていた姿が印象的であったが、プレイが始まるとさらにその動きが大きくなっていった。自己紹介を兼ねた自身のトラックでオーディエンスの注目を集めるとFugeesやDr.Dre、Snoop Doggといったメジャーヒップホップで盛り上げ開始5分でオーディエンスに一体感を作り出した。音楽の熱量がうまく伝達するように体全体を使い踊り盛り上げる8Manのレゲエ的なプレイに流石だなと思う。レゲエからテクノ、ロックと自由にミックスしているようで、前のトラックのグルーブをうまく引き継いでいるのが特徴的だった。そして予選を通してもっともプレイされたであろうLMFAO"Party Rock Anthem"で今日1番の盛り上がりを作り、15分ぴったりで終了した。
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http://bit.ly/8MAN-RB3S2012JPF
4番手は、中部地区代表のDJ Matto。8Manとは対極的に静かな立ち上がりに、空気を一瞬にして自分の色へ変えたのはさすがの選曲。艶のあるヒップホップ主体の選曲から中盤は、ColdplayやNirvana、Green Dayとロック主体の選曲へと変更していく。スローなグルーブなのにも関わらず、オーディエンスを引き込んでいく彼らしいプレイを披露したように思う。
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http://bit.ly/MATTO-RB3S2012JPF
5番手は、東北代表のDJ Sonic。前半は、Alex GaudinodやDJ Felli Fel、Duck Sauceといった4つうち主体の選曲で展開。5分を過ぎたあたりから得意のスクラッチを駆使。SkrillexやThe Prodigyといったロック、Jay-Z、Nasといったヒップホップ、Dawn Pennのレゲエ、Fugeesのドラムンベースバージョンと緩急のあるプレイで魅了した。
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6番手は、地元関西代表DJ Takanori。ホームというだけありプレイ前から大きな声援が注がれる。Dr.DreやNasを中心に、スローでヘビーなヒップホップを多く投入してくる。変化があったのは5分が経過してから。The Black Eyed Peas、David Guetta、Nicki Minajといったパーティーチューンを連投。とりわけDavid Guetta"Turn Me On"は今日の1、2を争う盛上がりを魅せたではないだろうか。
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7番手は、中国・四国代表DJ Bahn。1曲目にAbba"Dancing Queen"でフロアの雰囲気をがらりと変えてそのまま、The StylisticsやRun DMCといったクラシックスでピースフルな雰囲気を作った。そこから、ChuckieやSKRILLEXとロッキンな雰囲気の選曲で対極にふらす。DJ Bahnは、スクラッチ、ルーティーンといったターンテーブルスキルも非常に高く、柔軟な選曲とスキルでオーディエンスを盛り上げた。
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http://bit.ly/BAHN-RB3S2012JPF
8番手は、関東代表DJ Shintaro。最初からロッキンなトラックにスクラッチを惜しげもなく乗せて彼の攻めの姿勢が伺える。その後もQueenやOasis、Nirvanaとロックを中心に展開していく。Nirvana"Smells Like Teen Spirit"とLMFAO"Party Rock Anthem"を長くブレンドし1つの山場作った。10分手前ごろにWaka Flocka Flameで一旦スローダウンし、Buddy Byeまで繋いでレゲエトラックをドラムンベースにして盛り上げた。
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http://bit.ly/SHINTARO-RB3S2012JPF
8人のDJがパフォーマンスを終え、審査員のディスカッションの後World Finalへの出場者が決定した。2012年の日本チャンプとして名前が挙げられたのは、DJ 8man。これで2011年に続き連覇を果たしたこととなる。たくさんの声援がかけられ、たくさんのカメラが向けられる。それに1つ1つ答え、プレイが終わってからもこうして盛り上げる姿を見ると勝つべくして勝ったんだなと納得する。
優勝者である8Manは、「昨年の優勝が偶然では無いことを証明したかった。また、自分の住んでいない街に呼んでもらっているので、きちんとしたものを見せたかった。あと自分の活動で、このThre3Styleの底上げになれば嬉しいし、それを踏まえた上でこの結果が出せたのは嬉しいです。僕のやっていることは、そんなに難しいことをしていないと思います。難しいスクラッチはできないけど、かっこいいジャグリングもできないけど、これならできるよって見せたいです。自分よりうまい人に勝つには、自分よりうまい人ができないことを2倍3倍にしてやるしかなかったんですよね。前回のカナダ・バンクーバーでは自分のスキルが足りていなかったので、今回のアメリカ・シカゴでは、確固たるもの、人前でやっても恥ずかしくないようなものをやりたいんですよね」と大会を振り返り話してくれた。また、ツアージャッジのDJ Koyaは「全国回らせてもらって、みんな思いれのあるDJなんでジャッジは難しかったけど、やっぱり8Manのロックの仕方はすごかったなと、感服しました。去年から今年に至る間で彼の持っているオーラがより大きくなったなと思います。」
8Manの2連覇というかたちで日本大会の幕が降りた「Red Bull Thre3Style Japan」。9月に行われる世界大会でも、8Manらしいプレイでシカゴのオーディエンスを盛り上げてくれるに違いない。読者のみなさんも8Manの活躍をここ日本から応援、注目してほしい。そして、来年の開催が今年よりさらに盛り上がるよう多くのDJに参加してみてほしい。スクラッチがうまいだけでもダメだし、選曲がいいだけでもダメ。DJとしてよりリアルに盛り上げられたNO.1 PARTY DJの称号を争ってみてはいかがだろうか。
■RED BULL THRE3STYLE
http://www.redbull.jp/cs/Satellite/ja_JP/Red-Bull-Thre3style/001242825588204
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