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XLAND 2012

2011年春に開催された「FREAKS MUSIC FESTIVAL」、同年秋の「FREAKS VILLAGE」、そして今回の「XLAND」と、私は全て参加していたが、とりわけ今回が1番楽しかった。天候も雨が降ったり、カラッと晴れたりでおかしな天気と言えばそうだったが、雨が降ったおかげで綺麗に聞こえた音楽や、見れた光景もある。また、フードエリアも広くなったり、カフェが作られていたり、バーベキューが楽しめたりと今までよりレジャー感も増していた。

Text : yanma (clubberia)
Photos : Erico Oomori, KAZ, NAMIKI, Satoru Fueki, ZAI
 
会場に着いたのは、午前11時。オープンが9時だったので比較的早い時間だったと思う。会場について驚いたのが、"SOCIAL CLUB powered by DIESEL:U:MUSIC"の音の迫力だった。この"SOCIAL CLUB"は、ライブメインの"PLEASURE STAGE"とDJメインの"FOREST STAGE"の中間にあり、フードエリアと隣接していることもあり、ターミナル的なステージ。今回、サウンドシステムカルチャーの世界的象徴である「OUTLOOK FESTIVAL」のジャパンローンチパーティーを主催する「eastaudio SOUNDSYSTEM」が全ステージのサウンドプロデュースしており、"SOCIAL CLUB"の出音を聞いて一瞬で「今日はヤバイ」と興奮した。

転換中の"PLEASURE STAGE"の後方で、しばらくひなたぼっこも兼ねゆっくりしていた。野外フェスのいいところは、こうしてのんびりできるところ。太陽の光を存分に浴びて、ついうとうとすることもあるが、寝るのも有りかと思うくらい気持ちよかった。
   
12時半からJOE CLAUSSELが"FOREST STAGE"でプレイということで移動する。天気の様子がおかしくなってきたのもこの辺りだった。徐々に雨足が強くなり、KENJI TAKIMIからJOEへ交代した時には、本降りになっていた。JOEは、ビートレスなピアノの曲からスタートする。しばらく同じような曲が続くが、雨の降る緑豊かな森の中でJOEが静かな曲をかけている、と思うと決して雨も嫌ではない。むしろ美しいし、雨に濡れながら音楽を聞くという行為が、自然の中にいることをより感じれた。雨もあがり徐々にビートが加わってくる。雨によりエネルギーが抑制されていたのか、その反動たるいなや、すごいエネルギーだった。ティビには、雨よけとしてビニールのシートが被されており、JOEの姿は最前列まで行かないと見えなかったが、だれもそんなことお構いなしで、笑顔で踊っていた。
   
次は、ULRICH SCHNAUSSを見に"PLEASURE STAGE"へ。オーディエンスに横を向く形でライブはスタートしていった。ビートレスで伸びのある美しい音色が心地いい。このころは、さっきまでと打って変わり、太陽が燦燦と照りつけてくる。私は椅子に座りながらパフォーマンスを見ていたが、ULRICHの楽曲の心地よさと太陽の暖かさで、ついうとうとしてしまう。ただ、徐々にビートが重なり、そして複雑へ変貌していき、最後にはCDを聞いただけではわからない、彼の荒々しい一面を垣間見た。
   
そしてそのままDJ KRUSHへ。彼は、その時その時のイベントやフェスの趣旨に合わせ、使用する楽曲の雰囲気は大きく変えているように思う。昨年のFREAKSでは、ドラムンベースとダブステップなどをセットに多く組み込んでいた記憶があるが、今回はアンダーグラウンドなヒップホップがほとんどだった。ただ、いつ見てもDJ KRUSHの纏う空気感や鳴りは変わらないように思う。特にスネアを入れるタイミングや、そのリズムを聞いているとDJ KRUSHのプレイを聞いているんだと思える。
   
ここからは、さまざまなアーティストを行ったり来たりして掻い摘んで聞いていた。RUB N TUGは、グルーヴィーでありながら、もはやロックと思えるほど攻撃的なプレイに驚き、あのサウンドシステムのポテンシャルが充分に発揮されたDEADBEAT+TIKIMANのライブ、次の曲がまったく想像できなかった優れた選曲性で会場をわかせたSEAHAWKS、夜を連想させる鳴りでまるでセカンドステージに突入したかのようなLEGOWELT、そしてヘッドライナーのFRIENDLY FIRES。FRIENDLY FIRESのパフォーマンス中には、ちょうど満月が顔をだし、彼らの歌声をより神秘的なものへと昇華させていたのかもしれない。

XLANDとしては初めての開催となる今回、延5000人が来場したようだ。一概に来場者数で盛り上がりを判断するのは、難しいと思うが、XLANDはLABYRINTHやTAICO CLUBとは、また違った方向性で認知され、より大きくなっていくフェスになるだろう。あまり人気になりすぎるのも嫌だけれども、このジレンマだけはしょうがない。しかし来年は、どんなラインナップで開催されるか非常に楽しみだ。