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Red Bull Music Academy AUDIO LOUNGE Presents CLASSIC ALBUM SUNDAYS

PLAY, JAPAN! Red Bull Music Academyによるリスニングパーティー「AUDIO LOUNGE」。普段とはちょっと違った環境の中で、良い音楽を良い音響空間で、シンプルに楽しむためのイベントとして、過去2回開催されてきている。1回目は、渋谷区神宮前にある天高8mの吹き抜けを誇る"Creme de la creme"でOpen Reel Ensembleのファーストアルバムを視聴。2回目は、ヴィンテージスピーカーALTEC A7を中心にこだわりのアナログシステムで音を追求する幡ヶ谷の"Forestlimit"でDJ Kensei、SagaraxxによるLow End Theory Japanのアフターパーティーとしてヒップホップ、ジャズ、ソウル、ディスコなどの音楽の変遷を聴かせてくれた。そして3回目となる今回は、幅広いジャンルの音楽を発信するライブとタイ料理を中心とした料理が楽しめる青山"CAY"にて、Colleen'Cosmo'Murphyを中心に始まった「Classic Album Sundays」をフィーチャーし、Pink Floydの「Dark Side Of The Moon」を聴くリスニングパーティーとして開催された。

Text : yanma (clubberia)  
会場はオープン前にも関わらず既に列ができており、今回のパーティーの注目度が伺える。オープンして入って行くと、ステージに再生用のブースが組まれており、レコードプレイヤーにはTHORENSが、スピーカーにはKlipschが使用されていた。その中で、David Mancusoの申し子とも言われるCosmoが、1枚1枚レコードを選びBGMをかけている。この時点では、まだラフな雰囲気で、良質な音樂をバッグにお酒を飲んだり食事をしたり、会話を楽しんだり煙草をたしなんだりと、大人で贅沢な時間を過ごすことができた。
   
オープンから約2時間後、いよいよPink Floyd「Dark Side Of The Moon」のリスニングが始まった。照明が必要最小限に落とされ、まるで映画館のような状態になる。ナビゲーターのCosmoが、リスニングを始める前に携帯の電源をオフにすること、必要のない会話はできるだけしないでほしいことを呼びかけた。それほど音楽に集中してほしいパーティーなのだ。そして、Cosmoのスピーチが始まる。このスピーチの内容は、Pink Floydと「Dark Side Of The Moon」についてまとめたものとなっており、来場者へは、予め日本語訳されたプリントが配られていた。ちなみにCosmoのスピーチはこう始まる。「人間の心の闇、死への運命、人との関わりの必要性について描かれたこのアルバムがいかにして不朽の名盤になったのであろうか」。この名作について、私は世界的名盤の中の1枚ということしか知らないし、今から40年前の作品なのでリアルタイムでは聞いていない。そんな私でも、曲名とメンバーが分かれば、この曲がどうやってできたのか?どういった意図が込められたアルバムなのか、どういった時代背景だったのかがよくわかって、より一層作品を消化できた。この作品が高評価を受けているのは周知の事実だが、ビルボードチャートに741週(約14年)もラインクインし続けていたのには驚きだ。

Cosmoのスピーチが終わると、レコードをプレイヤーにセットしてリスニングが始まる。沈黙の中を「Dark Side Of The Moon」の出だしである心拍音が会場を包む。そこからは、ひたすら見えない音を見つけ出すかのように音楽に全ての神経を集中していった。
   
43分のリスニングが終わり、会場が明るくなると自然と拍手が起こった。今回のAUDIO LOUNGEは、Pink Floyd好きには特にたまらなかったであろう。普段とはちょっと違った環境の中で、良い音楽を良い音響空間で楽しめる、非常にシンプルで贅沢な時間。9月28日(金)、世間は週末。居酒屋やカラオケ、私の場合ならクラブ。都会の喧騒から少し離れて、静かに音楽を楽しむのもいいだろう。これだけ理性的に音と向き合える空間もないのだから。

次回のAUDIO LOUNGEは、10/11(木)、東京現代美術館地下レストラン「content」にて、WORLD HAPPINESS 2012 After Partyとして、 Yellow Magic OrchestraのWORLD HAPPINESS2008-2012、5年分の音源をmusikelectronic geithain[RL901K]のシステムで聴くリスニングパーティーが開催される。WORLD HAPPINESSプレゼンターである高橋幸宏氏とエンジニア飯尾芳史氏によってYellow Magic Orchestraのここ5年の変遷を辿り、歩みを振り返る、これまた興味深い内容となっているだけに、また足を運んでみようと思っている。
詳細は、http://www.redbullmusicacademy.jpをチェックしてほしい。