いいパーティーの条件というのは、何が挙げられるのだろう。出演者のラインナップなのか、来乗客数なのか、フロアの一体感なのか?もちろん、これらのどれにも当てはまると思う。そして、私が思うにもう1つ。音が止まった時のフロアの人数とその熱量だと思う。今回、足を運んだ石野卓球が渋谷WOMBで主催するSTERNEには、たしかにそれがあった。
Text : yanma (clubberia)
Photo : Omori Eriko, Hideyuki Uchino
2月1日(金)、この日は久しぶりにオープンから入った。オープン直後のまだ、人があまりいないWOMBのメインフロアは、人が眠りから目覚めるように、体温は低く、ゆっくりと動き出している感じだ。メインフロア後方のバーカウンターわきで友人と話しながら時間を過ごす。スターターは、Lyoma。フロアの呼吸とオーディエンスの呼吸のリズムを徐々に合わせていく。その滑らかさは、キャリアの成せる技だろう。何かあるんじゃないか?と期待感をはらませたまま、ゲストであるDUSTY KIDへと見事に繋いだ。
そして、石野卓球の出番となる。オープンからバーカウンターわきにいたが、人がバーカウンターに並ばなくなったのには、びっくりだった。みんな彼の音楽と向かい合っている印象が取れた。DUSTY KIDと交代間際は、どちらかというとミニマルなハウスを展開。大人しめの展開に意外に思っていたが、比較的早い段階で私が思う石野卓球の音になっていく。私の思う彼の音というのは、まずリズム。よく耳にするドン、チ、ドン、チのリズムではなく、ズ、チャカ、ズ、チャカのリズムが彼のイメージだ。あと、使われる音色にダークな印象がなく、聞きての気持ちを軽くさせてくれる印象がある。プレイ自体は、さすがとしかいいようのないほど、フロアを盛り上げていった。
クローズの時間も迫り一旦音が止まり明るくなるが、「アンコール」「ワンモアー」の催促の声が飛び交う。お約束となってしまった催促ではなく、本気の催促。この時点でフロアには、多くのオーディエンスが残っている。石野卓球が機材に手をかけると上がる歓声、音が鳴り出すと踊りだすオーディエンス。時間にしておよそ15分、残った者だけが味わえるアーティストとの対話を楽しんだ。
音が完全に止まるまで、これほどの人が残るパーティーは、そうそうないだろう。会場の外に出てからは疲労で辛いかもしれない、今日を1日寝て過ごすことになるかもしれない。STERNEは、そのブレーキをとっぱらってもいいと思うほど、楽しいと思える今を提供できているのだろう。だからこそ次回で11周年目を迎えることができるのだろう。次回は、3月1日(金)。11周年記念となるSTENREは、ゲストにドイツ・イギリス・イタリア・フランス・ポーランド・デンマークなど、現在のヨーロッパ中のパーティシーンを席捲しているdOPを迎えての開催となる。なお、現在STERNEは、定額制の楽曲聴き放題サービス「Music Unlimited」(ミュージックアンリミテッド)とコラボ企画をスタートしており、エントランスが500円オフやドリンクチケットのプレゼントなどのサービスが提供されているので、WOMBのホームページや、clubberiaの「Music Unlimited」特集のページをご覧頂きたい。
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