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Red Bull Thre3style Japan Final

Red Bull Thre3style 2013 Japan Finalを終えて

Thre3styleを見ていると、無性にDJがしたくなる。私は、Red Bullが主催するDJバトル「Red Bull Thre3style」に、2012年、2013年と同行し日本各地の予選、そして決勝を見て来た。昨年は8MANが、そして今年は関東代表のDJ SHINTAROが日本チャンピオンに輝き、今秋カナダで開催されるRed Bull Thre3style World Finalに出場することとなった。
 
Text : yanma (clubberia)
  ハイレベルなスクラッチ、多様したエディット音源、精度の高いミックス、絶妙なタイミングでミックスしたWhitney Houstonなどなど、終始盛り上げ続けたDJ SHINTARO(関東代表)。


今年の決勝は8月4日(日)に、名古屋"iD.cafe"で行われた。会場は日曜日にも関わらず超満員。Thre3styleが始まる前から、既にフロアのボルテージはかなり高い。このThre3styleのルールを説明すると15分の持ち時間内に3ジャンル以上の音楽をプレイし、「創造性」「選曲」「スキル」「ステージ映え」「フロアの盛り上がり」の5項目を競い合うというもの。2012年は、私自身Thre3styleを初めて体験したので、早い展開に付いていくのに必死だったが、今年は2回目ということもあり、余裕を持って見られたこともあり、このThre3styleの魅力に気付けることができた。
 
1番手を務めたDJ GAWA (中部代表)。ヒップホップを中心にスローなグルーヴでもフロアとのコールアンドレスポンスを取りながら着実に盛り上げていった。
 
 
なんといっても、年々クリエイティビティーの比重が大きくなっていることは顕著だ。こすれるだけでもダメ、選曲がいいだけでもダメ、ただ単にアゲればいいって話でもない。DJとして当たり前のことにバランスが取れていて且つクリエイティビティーが重視されているのがThre3styleの大きな特徴かもしれない。昨年のWorld ChampionであるFour Color Zackが「Big Beach Festival'13」プレイした時には、常にワクワクさせられた。彼のプレイは、外付けのMPCを使い、今かけている曲の音をパッドに録音し、次にかける曲のフレーズを弾きながらミックスしていくトーンプレイをメインに構成。また、原曲をそのまま使うことはせずに、前後の曲でブレンドしたり、自身のエディットだったりと、曲を追いかけようにも追いかけることができないライター泣かせなプレイ。ただ、地方予選、決勝を見てきてライター泣かせなプレイをしてくるDJが、決勝に駒を進めているのは確かだと思う。既存の曲をそのままかける、もしくは構成の工夫が見て取れない場合、Thre3styleの中では個性の濃度を自ら薄めているだけなのかもしれない。
 
2番手のDJ B=BALL (関西代表)。映画、ゲーム、日本古謡などをスパイス的に混ぜつつバラエティー溢れる選曲と構成で魅せた。
 
Thre3styleの世界大会へ同行している雑誌WOOFIN'プロデューサーである上木氏と今回のJapan Finalでご一緒させてもらったので、昨年の世界大会や今年のJapan Finalについて話を訊くことができた。今年は、昨年のWorld Finalの動向や、Four Color Zackの優勝のプレイについて研究し、、世界大会のスタンダードにアジャストしている傾向があるようだ。たしかに昨年の日本大会では、MIDIコントローラーなどの外付け機器をつけているDJはほとんどいなかったように思う。それが今年はあきらかに増えている。テクノロジーの進化と共にDJプレイも進化するのは今後も楽しみな部分だが、今年で言えばトーンプレイに一様化されている部分もあるので、勝ちを取りにいくためには何か新たなアイデアを提示する必要があるだろう。
また上木氏は、World Finalでチリ代表のDJがおもしろかったと教えてくれた。チリ代表のDJ Drummerは、口笛が使用されている曲でミックスし、構成で強烈なインパクトを残した。そして決勝まで駒を進めたが、予選で残した強烈なインパクト以上のプレイを披露することはできず3位に終わってしまったが、それでもこのオリジナリティーは賞賛される内容だろう。Thre3styleの動画ではないが、この動画でどんなプレイだったか感じとってもらえるだろう。
 
 
今年日本チャンプとなったDJ SHINTAROは、どのような武器を身につけて世界に臨むのか?彼のパフォーマンスは、全てにおいてハイレベルだったが、次は世界で勝つために、さらなる工夫をしてくることだろう。そのアイデアを考える作業が、DJにとっては大変だが楽しい作業だと思う。それは、ターンテーブルとミキサーを買った時に、自分の持っている曲がこの機材ですごい音に変えられると興奮したことの延長線上にあり、それを彼らは実際に新しいDJプレイとしてアウトプットしてきているのをこの2年間で垣間見られた。それは、ターンテーブルスキルなのか?選曲や展開の工夫なのか?曲をエディットするのか?またはオリジナルの楽曲で勝負するのか?まさにThre3styleには、DJの魅力が全て詰まっている。
 
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  Japan Finalの審査員を務めた、DJ Ta-Shi、DJ IKU、DJ 8MAN、上木 基嘉(WOOFIN’)、DJ RYUJIN。MCを務めたMC MEGURU。中央にDJ SHINTARO