この4日間で1番印象に残ったのが六本木”SuperDeluxe”で行われた「Damo Suzuki’s Network」だったように思う。「RBMA Weekender Tokyo」の2日目に行われた本公演は、ドイツで60年代より活躍する異能の音楽集団CANのヴォーカリストとして絶大なリスペクトを誇るダモ鈴木のキュレーションにより灰野 敬二、Omar Rodri'guez-Lopezなど総勢20名のミュージシャンが長時間に及ぶ即興演奏を披露というもの。私は、いわゆるノイズ、実験音楽、現代音楽といった音楽を普段聴くことがなく、会場に到着してからしばらく戸惑いが続いた。
Text : yanma (clubberia)
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20名のミュージシャンといっても、一斉に演奏するのではなく各ミュージシャンが入れ替わり立ち代りで音楽を奏でていった。特に灰野敬二が出てくるとオーディエンスから大きな歓声が沸き、彼がパフォーマンスを始めるとさらに一気に盛り上がる。一度にステージ上がる人数も5、6人くらいだったが、おのおのの個性がぶつかり合い、各楽器の音が同化していくようだ。また、音のバランスがいい中央で聞いていると心地よさも感じるようになってきた。
会場に入ってから暫く持っていた疑問として、今彼らは何を表現しているのだろう?なぜこのような音楽を奏でているのだろう?前文で、各楽器の音がぶつかり合い同化と表現したが、暫く聞いているうちに私の勝手な解釈だが、彼らは音楽で黒を作ろうとしているように思えてきた。例えば絵の具で黒を作るのは案外難しい。赤、青、黄の三原色を混ぜればいいのだが、微妙なバランスで100%の黒にはならない。彼らの演奏する楽器を1色としたら赤、青、黄どころではなく、さらに難しいはずだ。ただ、即興演奏中に限りなく黒に近い黒と感じることは何度かあった。
時間の都合で、SF映画の原点とされる1920年代のサイレント映画「Metropolis」のサウンドトラックを独自の解釈で演奏する即興パフォーマンスは見ることができなかったが、自分の枠が広がったパフォーマンスだったので非常に有意義な時間を過ごすことができた。
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