ペンは剣より強し、という言葉があるが、言葉はペンより強し、と私はかねてから思っている。スティーブ・ジョブズなど偉人の名言の多くは、自身でネットや紙に記録したのではなく、発した言葉を誰かが記録し今に伝わっているのがほとんどではないだろうか。愛の告白も、メールと電話では電話の方が成功率も高い結果が出ているのを何かで見た覚えがある。それほど、何かを伝えるという時に、言葉というのは非常に効果的なのだ。
Text : yanma (clubberia)
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今回の「Beacon in the city」では、dublabを主宰するFrosty×Peter Barakan×原雅明によるトークショーがあったり、イルメリがラジオスタイルでDJをしたりと、一夜を通してラジオ番組のようなイベントだった。イルメリのラジオスタイルのDJでは、独特なリズムの話し方で会場を笑いで包みながら、彼が最近気に入っているトラックをヒップホップ、ダブステップ、ディスコ、ハウス、テクノ、ポップスとジャンルレスに紹介していった。目の前のアーティストに言葉を使い紹介されると、いつもなら聞き流してしまう音楽もしっかり聞いてみてしまう。特に印象的だったのがLaura Mvula「Green Garden」だった。イルメリは、BLUE NOTEで彼女のパフォーマンスを見ていい曲だったということでセレクトしていたが、リズミカルなクラップに気持ちが高まる、非常にカッコイイ曲だと共感したし、今ではフェイバリットソングの1つだ。
そして、この日のハイライトがなんといっても日本ジャズベースのレジェンド鈴木 勲とDJ KENSEIのセッションだっただろう。固唾をのむオーディエンス側からの緊張感すら感じる空気が漂う中、DJ KENSEIが風の音のようなアンビエントミュージックをながし静かにスタートしていった。そのままビートレスのミュージックの中に、想像以上に感情的なベースが入って来る。DJ KENSEIのトラックを少し聞き、その場でベースラインを作り出していくが、調和をとるパターンもあれば、アバンギャルドなパターンをとる時との対比もおもしろく、さらにDJ KENSEIもヒップホップやディスコ、テクノやダブステップなどのトラックをスクラッチやエフェクトを使用し常に壊しながら、鈴木勲とせめぎ合うようで、必然的な偶然性を求めるようなセッションだった。後日、鈴木勲のオフィシャルブログでこのセッションを振り返っているので、興味のある方は是非ご覧頂きたい。http://ameblo.jp/jazzgodfather/entry-11668559224.html
ここから、一気にパーティーになっていく。Daedelus & FrostyによるAdventure Timeのライブは、ジャンルレスで自由なエレクトロニックライブを、Daedelusはよりビートを尖らせたライブを披露した。
無限の情報が存在する現代のネット社会。自分の好きな音楽を探すのは難しいが、自分の好きな音楽を紹介してくれる人やサービスを探すのは、そう難しくないはずだ。それは、アーティストのブログなのか、Spotifyのような配信サービスなのか、dublab.jpのようなネットラジオなのか、自分に合うキュレーターを見つけるのをオススメしたい。毎日同じ食事では飽きてしまうように、毎日同じ音楽では好きなその音楽ですら、すぐに飽きることになると思うから。