会場へ着いたころには、既にFalty DLがプレイしていた。現行のビートミュージックによくある低音を前面に出したものではなく、シャープなビートと彼のプロダクション同様、可愛らしさや不器用さをドリーミーという煙幕で覆ったような独自の世界観を作り上げていた。そして次に控えるのは、日本のみならず欧州ダンスシーンでも着実に人気を得ているスリーピースバンドcro-magnon。クラブでバンドのライブはあまり好きではないが、彼らほど躍らせてくれるバンドを知らない。ライブというだけで、視線が前に向き、ついつい自由度が奪われてしまいがちだが、彼らほど自由でいて踊りたくなる音楽を演奏し、DJ的なグルーヴを維持するのはさすがだった。そして、Gilles PetersonのDJへと移っていった。前半は、ピークの時間帯もあってかテッキーなトラックが目立ったが、終わりが近づくに連れて徐々に温かくなっていく。MCを交えながらフロアと呼吸を合わせるかのようなDJプレイはさすがだ。ハッピー請負人かのように彼は、フロアに笑顔を作り出していった。
Text : yanma (clubberia)
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この日、個人的にも仕事ということを忘れ楽しく過ごせた。クラブという場所には、音楽だけでなく人との出会いがあり、生まれるいろいろな会話がある。仕事の関係者をはじめ、RBMAに関わっているアーティスト、友人の友人などなど、、、この夜1日でどれだけ多くの人と接することができたのだろう。それは、クラブという場所がサロンとしての役割を、今もまだ担っていることには変わりないだろう。私は、音楽が大好きだ。ただ、新しい人との出会いがあった時の充実感というのは、いい音楽体験を体験できた時より勝るものでもある。正確に言うと、いい音楽体験をできた時は、きまって誰か人との思い出がある。
東京は本当におもしろい街だと思う。自分の会いたいと思う人に会おうと思えば会いに行くことはできてしまう街だから。
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