Red Bull Music Academy Weekender Tokyoも残すところ今日1日だけとなった。そしてこの日の「EMAF TOKYO 2013」で、この4日間のベストアクトを体験することができた。
この日は、砂原良徳のレクチャーからスタートした。このレクチャーというのは、なにも曲を作っている人だけが受講するわけではない。実際にこの日も来場者の2/3が曲を作っていない人であった。なので、この日の会話もテクノの遍歴とその中で彼自身が何を思ってどう行動していたか、自身のクリエイティブに関する考え方など幅広いレクチャーを聞くことができた。「今は、みんなそれぞれバラバラなことをやっている印象があり、音楽の中から大きい波っていうのは生まれにくくなってきているように思う」と現在の音楽シーンをはじめ、カルチャーが生まれにくい時代だという見解に共感した。
Text : yanma (clubberia)
レクチャー終了後はLIQUIDROOMに行き、環ROY×蓮沼執太×U-zhaanのライブを見た。蓮沼執太とU-zhaanのリズムに環ROYが即興でラップをユーモラスに乗せていくパフォーマンス。MCでは、環 ROYが笑いを取りながらも、U-zhaanが「電子音楽のイベントなのに、俺めちゃくちゃインドっぽいよね」と環 ROYを食うほどの笑いを誘う場面もあったが、何よりU-zhaanが使用するインドの太鼓、タブラの演奏に驚いた。大きくないタブラを指先だけで優しく叩いているように見えてしっかりと出る音、そしてその巧みな指使いは無駄がなく非常にミニマルに見えた。そして、さきほどレクチャーをしていた砂原良徳のライブが続く。震災以降、表現する立場として何かメッセージを込めるようになったとレクチャーでも言っていたが、彼の曲には、歌詞があるわけではないので、そのメッセージは曲のタイトル、曲中に使用される単語、投影される映像から感じ取るしかない。音楽もグラフィックも文字も、表現をするということにはその向こうに目的があり、その目的を達成するための手段と説明する彼が何を言わんとするか、レクチャーを聞いたからこそ自問自答させられる珍しいパフォーマンスだ。
そして私がこの4日間でもっとも言葉を失ったのがFenneszのライブだった。大げさだと思うかもしれないが、彼の音楽を言葉に表現すると「人類の力ではあがらえない圧倒的な何か」だと思ったし、現に本イベントを運営するPROGRESSIVE FOrMのNick氏にFenneszのライブの感想を話した。ラップトップとギターで、なぜこんなにも地球の言葉を背負ったような音楽が作れるのだろう。本当に今まで体験したことのない、音楽を突きつけられた。
この日の最後は、ヤン富田が音楽で意識の拡大を図る取り組みであるAUDIO SCIENCE LABORATORYによるライブ。これは、脳派が出す微弱の電気信号を音に変換して行うもので、被験者の脳派から様々な機材をとおり音が出された。昔のSFっぽいピヨピヨ、ビヨビヨした音にビートが合わさり、音楽で宇宙トリップを表現した。
このEMAFは、ELECTRONIC AND ART FESTIVALの頭文字を取ったイベントだ。昨日も含め、音楽をとりまくアートの世界を含め楽しむことができたと思う。そして、Fenneszのライブのような音楽体験ができたことを嬉しく思うし、生で体験しないとこの世界観は本当には伝えることができないと思った。
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