まず、ミュージックレイヤーとは何だろう?また、なぜこの2人がブッキングされたのだろう?当イベントを主催する井上氏曰く、ミュージックレイヤーとは、佐々木氏の著書「レイヤー化する世界」に影響されているという。レイヤーというのは、例えば、佐々木氏の場合、ジャーナリストというレイヤー、評論家というレイヤー、料理家というレイヤー、音楽キュレーターというレイヤーなどといったように、私たちはさまざまなレイヤー=側面を持っている。では、沖野氏はというと、DJ/プロデューサー、執筆家、イラストレーターなどのレイヤーがあげられる。このレイヤーを並べると、まったく接点がないように思える両者の中でも、音楽と作家という共通のレイヤーが存在するという。そこで、その共通のレイヤーを持つ両者が「ソーシャル時代の音楽の楽しみ方」という、まさに今という時代らしいテーマにそって話した時に、どのような見解になるのか?お互いのミュージックレイヤーとは?という趣旨のもと、実際に音楽をPioneerの「XDJ-AERO」を用いて聞きながら展開される非常に興味深い対談だった。
Text: yanma (clubberia)
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「ソーシャル時代の音楽の楽しみ方」ということで、お互いの音楽との出会いや新しい音楽を見つける方法、PandoraやSpotifyといった定額制の楽曲配信サービスの可能性やiTunesがもたらしたもの、クラブシーンの現状、ネットとリアルの互いの必要性、最終的にはお互いのビジネス感までにも発展していった。
今回、レイヤーという言葉がキーワードになったが、対談の最後に沖野氏がこういう言葉を残している。「自分の持つレイヤーというものを自覚的になったほうがいいですよ。そうするとビジネスなどでいろいろな活路が見い出せる。自分の趣味や興味を小さく捉え過ぎないこと。レイヤーというものは、自分を形成する個性の断面と捉えると視界が開けますよ。」簡単な例をあげるとすると、自身がサッカーと音楽というレイヤーを持っていたとして、サッカー好きの人に音楽を聞いてもらうには自分なら何ができるか?料理と音楽だったら?のようにいろいろとレイヤーをミクスチャーし考えてみた時にユニークなアイデアだったり必然的な答えが見つかるということ。沖野氏のようにさまざまなレイヤーを持ち実践しているからこそ説得力のある言葉だった。
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こういったワークショップには、久しぶりに足を運んだが本当に刺激的で、特に今回は今後の仕事にも生かせられる内容だった。そして対談中に沖野氏が言った言葉で好きな言葉があったのでご紹介したい。
「レストランに行って内装、料理が素晴らしいくても音楽が空間に合っていなかったら、すごいもったいないと思うんです。音楽には空間の価値を上げる力がある。また企業の価値をあげる力もある。だから、ありとあらゆるシーンにサウンドプロデュースは必要だと思うんです。」
音楽には空間の価値を上げる力がある。改めて音楽の重要性を再認識させられる言葉だった。
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