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不可思議/wonderboyという1人のポエトリーラッパーの記録

彼の詩は、死と最も対極にあるから光輝くのでしょう。
死というのは人間としてもっとも辛い出来事だと思います。しかし、死してもなお愛されるものを残せたということは、アーティストという1つの種としての役割を果たせたのかもしれません。

2011年、24歳の若さで亡くなったポエトリーラッパー不可思議/wonderboy。私も彼の詩の世界観に魅了されたファンの1人です。そして私も不可思議/wonderboyが亡くなってから、彼の存在を知った1人でもあります。そんな彼のドキュメンタリー映画「Living Behavior - 不可思議/wonderboy 人生の記録 -」の公開を前に、2月10日(火)渋谷UPLINK FACTORYで行われたマスコミ・関係者向けの試写会に足を運びました。


Text : yanma (clubberia)
 


本作品は、不可思議/wonderboyが所属していた<LOW HIGH WHO? PRODUCTION>を主宰するParanelが話すように、仲間たちから不可思議/wonderboyにしてあげられる最後の贈り物となりました。スタッフ陣には、Perfumeのほぼ全てのアートディレクションを手がける関 和亮が映像ディレクター/スチールカメラマン/演出を。アフロ田中などの映画監督 松居大悟が撮影を。世界でもっとも表彰されたデジタル広告「Sound of Honda / Ayrton Senna 1889」の音を担当した澤井 妙治とサウンドエンジニアの田鹿 充が音響を担当。そして、不可思議/wonderboyに影響を与えた、日本を代表する詩人である谷川 俊太郎や桑原 滝弥など、錚々たる人物が本作品に関わっていました。<LOW HIGH WHO? PRODUCTION>自体は、まだまだ若いインディーレーベル/プロダクション。それを考えると、いかに不可思議/wonderboyが魅力的だったか、そして彼の仲間たちが本作を作るために熱量を注ぎ、大人たちを巻き込んだが分かります。
 
映画自体は約1時間。正直、見る前は涙がたくさん出て鼻水がたくさん出て、となりの人に気持ち悪がられたらどうしようと思っていました。それくらい彼の音楽を聴くと涙腺が熱くなります。そんな私が、この映画を見てしまったら・・・と思っていましたが大丈夫でした。おそらくそれには、1つに死というものの捉え方がこの映画を見て少し変えられたこと。そしてもう1つは、この映画を通じ、不可思議/wonderboyというアーティストの詩がもっと多くの人に届けられる喜びや希望を感じたからだったと思っています。そして、少しでも多くの人伝わるよう協力することは、私の使命にすら感じています。

この記事をご覧頂いたのは、電車の中かもしれません。自宅でスマホをいじっている時かもしれません。もしここまでご覧頂いたのであれば、下のYoutubeにアップされた彼の代表作を耳をすませて聴いてみてください。私たちが大人になっていく中で失った “生きるエネルギー”のようなものを感じとれるかもしれません。


追記:
2月24日には、渋谷WWWでプレミアム上映イベントが行われるほか、「Living Behavior - 不可思議/wonderboy 人生の記録 -」制作委員会は、本作品の興業・上映を行いたい希望者を募集しているとのこと。
 
谷川俊太郎の作品である「生きる」という詩を本人の承諾を得てポエトリーラップにアレンジしたもの。東日本大震災の2日後にYoutubeにアップされる。本来であれば違う形で発表する予定だったが、当時の現状を受け公開された。

生きる Reflection Eternal LHW? Remix
   
いつまでたっても帰って来ない友人を待ち続ける詩。若い頃によぎる現状や将来に対する不安や、詩にあるような時間を過ごした人は多いのではないでしょうか。
   
銀河鉄道のレールをつくる男とそれを待つ恋人の手紙のやりとりを描く22世紀に書かれた手紙。離れながらもそれぞれ同じようなことを思っている情景に心打たれる作品。


■Living Behavior - 不可思議/wonderboy 人生の記録 - 公式サイト
http://www.lowhighwho.com/lb/