毎週世界中から日本にやってくるDJやプロデューサーたちはロンドンではどんな活躍をしているのだろうか?東京で見る彼らと何か違うのか?今ロンドンのクラブではどんな音楽がプレイされ、クラブに行くクラウドはどんな音楽に興味があるのか?いままで噂で聞いていたあのパーティー、いつか行ってみたいと思っているあのクラブ、なかなか日本に来ないあのDJ、ヨーロッパの夏の風物詩=フェスティバルなど、これから数回にわたり、ロンドンクラブシーンをありのままを伝えていきます。少しでも今のロンドン、日本以外の国のクラブシーンを知って、もっとクラブを好きになってもらえたら最高です。
さて、1回目は、5月25日(金)春なのにまだまだコートがいる寒さの中、AKA&THE ENDのSTEVE LAWLER主催の超人気パーティー「VIVA HARLEM」潜入レポートです。5年も継続しているこのパーティーの秘密とは!?
■レポーター
KSK
1978年10月生まれの天秤座、血液型不明。人から聞いた話よりも自分の目で確かめなきゃ気が済まない性格。モットーは「継続は力なり」と「初心忘れるべからず」。誰よりもビートとバイブを感じることが一番幸せ。小さいころは野球に明け暮れ、毎日のように泥だらけでいつかは野球選手になれるだろうと本気で考えていたマルコメ小僧。高校生のときにヒップホップに出会い、ダンスに目覚め、音楽や黒人文化に憧れ、今度はいつかプロダンサーになろうと日々昇進してる中、ハウス、テクノに狂ったようにのめりこみ、そのままオーストラリアに旅立つ。人生観や旅の楽しさ、音楽に対する考え方や感じ方を自分なりに発見する。帰国後、その経験を生かし東京で音楽にディープにのめりこんでいく中、さらなる自分自身の変化や成長、また新たな音楽的な境地を求めて東京を離れる。現在ロンドンにてゼロからの人生をスタートさせた28歳。
VIVA HAREM NIGHT
ロンドンの地元クラバーやDJに「今もっともクールなクラブはどこ?」って聞いたら大半は「THE END」って答えるほどの人気っぷりと、何年も体験していない「生STEVE LAWLER」とあって、何日も前から非常に楽しみにしていたパーティー、それがVIVA HAREM NIGHTだ。2ヶ月に1度開催されてきて今年でなんと5年目をむかえる 人気パーティーで、クラウドとサウンドのクオリティが非常に高いといわれているパーティーだ。THE ENDのウェブサイトでSTEVE LAWLERはこう語る。「僕の多くの音楽の方向性やインスピレーションは、このパーティーとここに来ているクラウドからもたらされているものなんだ。THE ENDのメインフロアーを歩き、いつも足を運んでくれる常連の顔を見るたびに安心感と心地よい感じが同時にもたらされるんだ。本当に温かくていいバイブがあるんだよ。まさに「It's sexy and sweetly it's house music at its best.」(色気のある音楽こそ最高のハウスミュージックである。)
噂以上の「THE END」&さすがのSTEVE LAWLER
クラバーの噂と事前にウェブをしらべて準備万端だった僕が1時半くらいにクラブにつくと、ちょうどSTEVE LAWLERがスタートしたばかりでクラブの入り口には相当な行列ができていた。「おー、すげーな!」と行列にまじりエントランスを通過してクラブにはいると、全体的に込んではいるがメインフロアは踊れるスペースありのちょうどいい感じだった。重低音が響き渡るフロアーでSTEVE LAWLERを発見。ミックステクニック、選曲、曲の展開、音の出し方、どれをとってしても文句のつけようがなかった!さすが!!彼の真骨頂でもあるダークトライバルからエッジの聞いたテックハウス、ミニマルトラック、また何年も昔にリリースされた名曲をプレイし、踊るというよりも踊らされてしまう状況が5時間続く。前半は ダークでハウシーな展開、徐々にビルドアップしていく中でクラウドをフロアに呼び込んでいく。そしてまさにここがピークタイムというときに名曲Chiapet 「Westworld (Nic Fanciulli & Andy Chatterley's Skylark mix)」をプレイした瞬間、フロアーは大爆発してみんなが1番ハイになった!!!間の開け方やベースが入ってくるまでのループテクニックの「プロ技」には圧巻だった。ピークタイム以降はまさに今のロンドンを象徴するミニマルな感じのトラックで展開していき、盛り上がった空気をまったく壊すことなくクールにはめていく。後半もグルーブでぐいぐい攻めつづけ、最後までそのテンションを崩さなかった。結局僕は、足を止めるとこなく最後の最後まで踊り続けることになった。「It's sexy and sweetly it's house music at its best.」
誇りを持ち、情熱を注ぐもの
このパーティを体験した率直な感想はSTEVEの真剣さがひしひしと伝わってきたこと。それは自分のパーティーに対し情熱を注ぎ、誇りを持っているからだと思う。ピリピリとした緊張感ではなく、何とも言えない独特なテンションがSTEVEの幅の広いプレイを引き出し、またそれを理解し応援するクラウドがいて盛り上がれるパーティーが存在する。そこにこのパーティーが5年間続いている秘訣があるのかもと思う。
ロンドンってこうなの!?
他に何回か違うパーティーにもいってみたけれど、ロンドンのクラウドはあまり音楽やDJを東京ほど気にしたり意識したりしないように感じた。お酒を飲んだり、騒ぐのに音楽があった方がいい程度な感じ。だから すごく楽しそうに踊ってるやつに「今誰がDJやってる?」って聞いても「知らない!」って答えが多くてびっくりした。クラブや音楽が特別のものじゃなく、一夜を楽しむツールなんだと感じた。だから多くのイベントはクラウドとDJの距離が遠い感じがし、クラブパーティーを創っている側もあまりクラウドが求める音楽ばかりを意識していない気がした。その反面、STEVEのパーティーはお互いの利害関係(Steveがしっかりクラウドの求めているもの、またそれに答えるようにプレイすること、それを求めてるクラウドも自分たちがSteveの音楽を楽しみにしているのを知っていて、その中で彼がどんなことをするだろうという期待感をもつこと)が成り立っているパーティーだったので他のパーティーよりも楽しく感じることができた。という第1回目となりましたが、期待と緊張をもってこれからもロンドンシーンに迫っていきたいと思います!!それではまた次回!!
■AKA&THE END
ロンドンクラブの中でもコアで音楽好きなクラウドに人気があり、多くの地元DJ達からも絶賛されるクラブの1つである。「AKA &THE END」という名前からも想像がつくように、AKAとTHE ENDという二つの空間が同じ建物内に存在し、それぞれ別々の入り口になっている。THE END側から入場した人はAKAへも移動できるが、AKA側から入場した人はTHE ENDには移動できないおもしろいシステムになっている。もちろん入場料はTHE ENDの方が高い。 THE ENDの内装はトンネルをくりぬいたような形をしており、フロアーのどこにいても音を感じることのできる造りになっている。メインフロアー500人、ラウンジルーム300人収容の合計800人収容可能だ。ロンドンのクラブの中では決して大きいとは言えないが、フロアーで踊ったときに、はじめてクラブに足を踏み入れたときに誰もが感じるあの「アンダーグラウンド感」が満点だ。またDJブースがメインフロアーのほぼ中央に丸い形で存在し、クラウドがDJを360度囲むようになっており、DJとの距離が近い。これも良い雰囲気を作っている要素の1つだろう。STEVE LAWLERのほかに、Layo and Bushwacka主 催のパーティー「OLMETO RECORDS」 やDanny Howells「DIG DEEPER」、James Holden「BORDER COMMUNITY」、Sven Vath「COCOON」、Darren Emerson「UNBERWATER」、Ben Watt「BUZZIN' FLY」など、ロンドンを代表するDJたちのレジデントパーティーが行われている。これらのアーティストラインナップを見ただけで、おもしろいクラビングを想像できるはず!