REPORTS

Night Aquarium Opening Party

 日本人にとって金魚といえば、夏の風物詩としてお馴染みの鑑賞魚だ。その鑑賞魚を特注の水槽と照明、テクノロジーを使い“生きるアート作品”にまで高めたものが、木村英智氏によるアートアクアリム。そしてそのアートアクアリウムを観賞しながらDJの音楽や飲み物を楽しめる関連イベント「ナイトアクアリム」が7月8日(金)に東京日本橋にあるショッピングパーク、コレド室町1内の三井ホールで行われた。

取材・文:yanma
写真:Tomonori Okumura
 
 筆者自身、アートアクアリウムを生で観るのは初めての体験で驚きの連続だった。
 まず、金魚の種類の豊富さ。金魚と聞いて一般的に連想するだろう赤金色のもの、出目金、両頬がパンパンに膨れたもの、尾ひれが大きく優雅なもの、などなど。この華やかな金魚がもともとはフナだったなどとは想像しがたい。アートアクアリウムで作品となっている金魚は、すべて木村英智が金魚市場や問屋で一匹一匹選んでいるそうだ。とくに病気を患っていないかどうか健康面には気を使われている。
 
 次に水槽の形のユニークも金魚同様目を引く。入り口付近にはシンプルな円柱型がならび、先に進みひらけたスペースにでると、毬型や灯籠型、巨大なダイヤモンド型、そして約3,000匹の金魚が泳ぐ超巨大金魚鉢「超・花魁」に、昨年Nina Kravizが着物を着てDJをした時、彼女のバックに飾られていた屏風型の水槽などさまざまだ。とくに「超・花魁」のような巨大水槽は、PCやスマホで見るのとはわけが違った。

 そして、このアート作品を支えるのが水環境テクノロジーの凄さ。大量の餌や排泄物は水を汚し続ける。しかしいつでも透明な水が維持されている。水族館などで感じる水棲生物特有の生臭さもない。これは硝化細菌という微生物を使用し、それらが機能しやすい環境を計算して整えているからだそうだ。アートアクアリウムへは、豪華さに注目が集まりがちだが、根本には生態系を存続される技術があってこと成り立っているわけだ。
 
 これだけ緻密な計算がなされた管理下に置かれる金魚。これからDJによるパフォーマンスが始まるのだが、音(振動)などでストレスを感じることはないのだろうか? また、このイベントをプロデュースする木村氏のクラブや音楽観はどのようなものだろうか?
「水の中は人間が思うほど外の影響はないので大丈夫です。私は、若い頃のディスコブームから現在に至るクラブカルチャーまで、その時代に合わせて旬な音楽や世界観を楽しんできました。最近は日本より海外のクラブに行くことが楽しみになっています」(木村英智氏)

 この日のオープニングパーティーは、UKからGORGON CITYが来日。残念ながらMattは搭乗していた飛行機にトラブルが発生したため来日できなくなり、Kyeが1人で出演。それでも出演時間の前からブースには人だかりができていた。カジュアルではあるが美術館のような雰囲気の会場がどうなるかと思ったが、GORGON CITYはダンスミュージックをプレイし、来場者からは大きな歓声もあがり、踊る人も多くいた。見世物的なDJイベントではなくアートスペースからパーティースペースへと変化させるためのDJが存在していた。

 このナイトアクアリウムは9月25日まで開催されている。平日はラウンジスタイルで、週末と祝日前にはDJを入れてパーティースタイルで開催される。今後はテイトウワやKEN ISHII、GONNO、DJ KRUSHなどが出演予定。東京同様、大阪・堂島リバーフォーラムでも開催されている。またDJイベントだけでなく
大衆演劇や京舞なども行われるので、日本の伝統芸能に触れられる日に行くのもいいだろう。ナイトアクアリウムのスケジュールは下記、公式サイトでチェックできる。

■ナイトアクアリウム(アートアクアリウム)公式サイト
http://artaquarium.jp/nihonbashi2016/#nightaquarium