“Rotterdam is Rave. Rotterdam is Techno.”。
このキャッチコピーに引き寄せられ、オランダ第2の都市であり、欧州最大の港があるロッテルダムで開催されたダンスミュージックフェスティバル「Rotterdam Rave」に参加してきた。
Text by posivision編集部・Amsterdam
Photo by Brian Lubking, Jordy Brada, Baz Maanders
ちょうど、Tommy Four Sevenが登場する15時頃に現地に到着(イベントは12時スタート)。フロアで、彼の特徴的なインダストリアルテクノがドスンドスンと響きわたると同時に、オランダらしい派手なレーザーが飛び交い、真っ昼間から荒々しい雰囲気を構築していた。さすがロッテルダムテクノ(ガバ)を生み出した街らしく、若者からベテランダンサーまで激しく踊り狂う光景に圧倒された。メインフロアは終始混雑しており、湿気を大量に帯びた空間でみんな汗だくで踊り倒している。デトロイトテクノの重鎮Robert Hoodがバウンシーなトラックを次々と送り出した後、R&Sのリリースでもお馴染みの2大トラックメイカーBlawanとPariahのコンビKarennが登場。このアーティストの流れも欧州っぽいが、機材トラブルなのか15分くらい押してライブがスタートした。ジリジリとロウなサウンドでフロアを追い込むインプロビゼーションライブは、会場の煮詰まった空気を一変させた。ダークで実験的でありながらも、ロッテルダムのピュアなダンサーたちの高揚感を煽る摩訶不思議なライブセットで数千人をみごとにロック。その後も、Surgeonによる経験と卓越したスキルから導きだされるライブや、Perc&Trussの硬質なDJセットに会場は徐々にピークタイムへとシフトしていった。
余談ではあるが、先のライブアクトKarennの片割れBlawanが9月に来日するとのことなので、まだ生で体感されていない方は、この機会にオススメしたい。
http://www.clubberia.com/ja/news/5957-Blawan-4/
メインフロア以外のExposure Area、Power House、Chill Areaは屋外にステージが作られており、曇りの天気予報を裏切る快晴だったことも相まって、どのフロアも人でいっぱいだった。外のステージ(Chill Area以外)は、Danleyのスピーカーシステムが組まれていた。また、会場内での飲食に関しては現金やカードは一切使えず、ムントというプラスチックのクーポンを購入する必要があった。5ムントは10ユーロ、10ムントは20ユーロで売られていた(ちなみにビール1杯1ムント、フードが3ムント〜、トイレも1ムントで使い放題)。
外のフロアで特に興味を抱いたのはPower House。Jeremy Underground → Hunee → DJ Deeonと続く流れに期待していた。ステージは、オランダの野外イベントではよく見かけるトタン屋根を丸くした形状のブース。Power Houseは、客層も良く年齢層高め、Jeremy Undergroundの広角的なセレクションから、Huneeのファンクアシッド感がちりばめられたオリジナルグルーブにフロアは夢心地状態の終始いい雰囲気。最後のDJ Deeonにバトンタッチする時に機材トラブルがあったものの、シカゴゲットーハウスの代表格は、フロアの空気を察知した選曲で極上のサンセット〜フィナーレを演出。鳴り止まない歓声に応えていた。
Chill Areaは、非常にコンパクトなフロアでスピーカーもこじんまりとしていた。しかし、地元の70歳くらいのベテランジャズDJからレゲエDJなどが登場し、地元の人々が気軽に集う場所となっていた。イベントオーガナイザーが地元を大切にしている様子・光景を強く感じられるフロアであった。
オーガナイザーの話によると、 今回7,000人が集まり多数のポジティブなフィードバックをもらうことができたようである。パーティー全体を通してのポジティブなパワーも計り知れなかったが、僕らが個人的に感じた点は、オーディエンス/スタッフなど人々が本当に明るく親切で嫌な空気感をまったく感じなかったこと。また、騒音問題のためか、どのフロアも低音が少し足りない気はしたが、さまざまな人種が入り乱れていた会場内は、見かけによらずマナーは良くフレンドリー。ロッテルダムの街同様に、とにかく居心地のいいパーティーであった。
もしオランダへ出向くことがあれば、ぜひロッテルダムにも出かけてもらい、ロッテルダムのミュージック/パーティーシーンを体感していただきたい。
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