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ADE(Amsterdam Dance Event)#04

 オランダの首都・アムステルダム。そこには自由な空気と、多様な人種が入り乱れ形成された独自のミュージックシーンが存在している。オランダのダンスミュージックシーン、アーティストの発展のためにスタートしたAmsterdam Dance Eventは今年で21回目を迎えた。地元の人々は親しみを込めてADE(アーデーエー)と呼んでいる。
 レポート第4弾は、ヨーロッパを中心に活動するフォトグラファー、ATSUSHI HARADAが担当。クラブ、Melkwegで行われたイベントにフォーカスしてもらった。

Text&Photo: ATSUSHI HARADA

Nicky Romero、Dave Clarke、markus-schulzなど登場。伝統的クラブで繰り広げられるADEならではの熱狂的な5日間
 
 ADEの期間中、私はMelkwegでフォトグラファーとして撮影を行った。Melkwegは牛乳工場の跡地を利用して1973年に産声をあげた。DJやバンドを含めたアーティストがプレイするだけでなく、シアターや展示会場としても機能する会場で、40年以上続く由緒正しきクラブである。私としてもそこにカメラマンとして入ることは喜びであり、なおかつオランダのシーンを牽引するアクトを撮影できる緊張感と共に、素晴らしい瞬間に立ち会うことができる時間であった。
 
 
 1日目には、DJ MAG常連のNicky RomeroがオーガナイズするProtocol Xが行われた。EDMの豪華なラインアップで、何よりNickyのステージには特別なものを感じた。EDM人気は陰りが見えていると言われるが、私の感想としてはまだまだ健在だと思う。固定ファンはもちろん、そのキャッチーなビートは、音楽に興味を持ち始めた若い層の心を確実に掴んでいるようにみえる。マーケティングありきの商業的な音楽と思われがちだが、それ以外の魅力もたくさんあるように思えた。
 
 
 2日目に私が撮影したのは、オランダでも大人気のドラムンベース、SONIC BOOM X THE ENDのイベントだ。1000人を収容したMAXステージ、200人収容のOZステージ、3階に設置されたシアターステージで行われた。激しいリズムと共に、アグレッシブなビートをたくさん聴くことができた。
 
 
 3日目は、3会場での撮影となった。DAVE CLARKE PRESENTSのイベントのチケットはソールドアウト。RebekahのLouisaの女性陣DJに立ち会えることに喜びを感じたのは私だけではないだろう。DAVE CLARKE は重厚な存在感と圧倒的なパフォーマンスを披露してくれた。
 
 
 また本館の横にあるステージでは、多くヒット曲を生み出した往年のDJ、markus-schulzが6時間セット行っていた。オーディエンスの年齢層も若い層から50代まで幅広く、世界中から集まった人々が各々の国旗を掲げているのをみて、どれだけ彼が作る音楽が人の心を掴むかを感じた。
 
 
 今回、一番melkwegで驚いたのはNoisiaのアクトである。特別な衣装を纏い、ステージには大型スクリーンにさまざまなプロジェクションマップで彩られ、鳥肌もののステージを見せてくれた。アクト時間は90分だったが、まるで一瞬の出来事のように感じた。アンコールの際に、ジャンプとモッシュで会場全体が揺れるほどの盛り上がりだ。
 
 
 ハウス、テクノの最高峰のアーティストが集まったDockyardでは、Dubfireのステージが印象的だった。こだまする歓声の中で感じたステージの緊迫感は、二度と味わうがことできないものだった。終盤のNicole MoudaberとのB2Bでは、まったく異次元の世界へと導いてくれた。

 総括として、3度目の参加となった今回のADEは素晴らしいものになった。と同時に日本製品の品質のヨーロッパでの信頼感を強く感じた。MelkwegではOyaide社NEO / d+シリーズのケーブルが使われており、9割以上のDJ機材はパイオニアのものだった。ヘッドホンはaudio technica、カメラに至ってはCanon、Nikon、Sonyがほとんどだった。私としては、製品だけでなく日本人のカメラマンやDJ、アーティストがもっと挑戦して活躍すべきだと常々感じている。私は3年間オランダのさまざまなクラブで撮影して、自分自身の可能性を強く感じていたが、今回のADEを経てそれは確信へと変わった。積極性と失敗と考察を繰り返し、なにより情熱があるなら、実績、チャンス、サポーターは自然とついて来ると信じている。
 
 
 今回、ADEやMelkwegを知るきっかけとなればとこのレポートを書いた。また今後、Atsushi Haradaがとらえる写真を、日本で楽しみにしてもらえると嬉しい限りである。

Coordinate with Wakyo Amsterdam
Photo &Text by Atsushi Harada (Seishin)

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