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GOLDEN (6/22)

ロック、エレクトロ、ニューレイブといった旬のキーワードを連想させるテイストのプレイで圧倒的な人気を維持し続け、話題のKITSUNEとともにミックス・アルバムを発表するなど充実した活動を展開し、押しも押されぬトップアーティストとして前進しつづけている大沢伸一氏と、日本のテクノシーンを代表するアーティストとして国内最大級の屋内型レイブ「WIRE」を組織するなど長年トップを走り続けてきた石野卓球氏。以外にも共演経験がなかったという二人がそれぞれレコメンドするアーティストを連れて、アゲハ全館をジャックするという非常に興味深いパーティが開催された。
渋谷でアゲハバスを待って並んでいるときから、周囲の人々が異常に沸き立っているのを感じながら、ハイテンションな雰囲気に押されるようにアゲハに到着。すでにあったまった場内の空気を感じながらメインアリーナへ足を踏み入れてみると、石野卓球氏がフルスロットルのテクノでオーディエンスをがっつりつかんだまま、ぐいぐい引っ張るプレイを展開。ハリのある低音に疾走するハイハット、アシッディなシンセが走る中、満員の場内はすでに沸騰直前状態。そんな中聴き覚えのあるシンセが少しずつ挿入されてきた、これはまさか!?Zombie Nationの大ヒット曲「Kernkraft400」だ!筆者も7、8年前にこの曲が大ヒットしていたころの熱い雰囲気を思い返しながらこの日の盛り上がりに非常にマッチしていたこの曲を堪能しつつ、いったんアイランドバーへと移動。
そのアイランドバーでプレイしていたのがロックテイスト全開のプレイで人気急上昇中のDJ MAARとDJ DARUMAによるユニット「DEXPISTOLS」だ。ロックだけでなくファンキーディスコやエレクトロの匂いも感じさせるプレイで、こちらも全力疾走といった感じ。また胸の前で腕を交差させ、十字を作るジャスティスマークを作るパフォーマンスも披露していたが、オーディエンスもそれに合わせて同じポーズをするというのが定番となっているようで、そのいかにもロック的なステージングやレニークラビッツなどの聴き覚えのある楽曲を大胆にフューチャーしたプレイが、今風のマッシュアップ感覚をかもし出していたのが非常に興味深いところであった。
その後、プールサイドに場所を移し、TOBY氏のハウシーなセットを堪能。しっかりとしたビートに、適度に色っぽいシンセが乗ったトラックを多用し、開放感たっぷりのフロアを演出。フロアの特質とも非常にマッチしたプレイで気持ちよくオーディエンスを楽しませていた。筆者もプールサイドで友人と談笑しつつ、外の空気で体を冷やし、大人ならでは懐の深さと色気を感じさせるセットに耳を傾けた。
適度に体もクールダウンしたところで再度アリーナへ。アリーナでは卓球氏のプレイが続いており、フルスロットルのまま、ところどころでラテン的な要素を感じさせる楽曲を織り交ぜていた。オーディエンスをあきさせないプレイはさすがといったところ。またこういったお祭り状態を最後まできっちりとコントロールする様は、踏んできた場数を感じさせる貫禄のプレイであった。
その後、大沢伸一氏の登場とともに音をいったん止めて、お互いをたたえての拍手が沸き起こったが、シーンを牽引してきた二人が同じステージに立てた喜びを味わっているのが伝わってくる素敵な光景であった。
そして勢いのあるビートで力強くスタートした大沢伸一氏のプレイ、しっかりとしたキックに刻む感じのハイハット、エフェクト処理された男性の声が乗った華やかなトラックでスタートし、オーディエンスを自分の世界に引き込むあたりはさすがといったところ。その勢いはとどまることなく、パワフルな低音と抜けのいいシンセ音を多用した楽曲でテンションをキープしつつ、卓球氏と同じように勢いと疾走感のある力強いプレイを披露。しかしながら全体的にどこかにいい意味で軽快さがある音像で、大沢伸一氏のもつ独特のグルーブ感を感じさせるプレイを展開する。
ロックやニューレイブといったキーワードを連想するような、ある種の華やかさをまといつつ、しっかりとしたビートをパワフルにつないでいくスタイルは彼らしい説得力と、時代への嗅覚を感じさせる内容で、トップアーティストでありながら貪欲に新しいスタイルを消化、吸収し、自分ならではの切り口でアウトプットする能力に驚きつつ、これこそが彼がとどまることなく進化しつづけている理由なのだろうと感じた筆者であった。満員のフロアをあおりながら楽しそうにプレイする大沢氏と、それに両手を挙げて応えるオーディエンス、セットも終盤に近付くと攻撃的なサウンドと、それに歓喜するクラウドのテンションの相乗効果でさらにヒートアップ。フィナーレへ向かってフロアはもはや収集がつかないほどの盛り上がりをみせていくのであった。