取材・文:yanma(clubberia)
写真:(c)Suguru Saito / Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
写真:(c)Suguru Saito / Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
11月15日(水)、東京・渋谷のライブハウスduo MUSIC EXCHANGEで一風変わったイベント「ROUND ROBIN 一発本番即興演奏」が開催された。このイベントは、ミュージシャン同士が即興でセッションするというもの。変わっているのはセッションがリレーのようになっていることだ。
スターターとしてAさんが登場。一人で5分のソロを演奏する。5分が経過したところでBさんが入ってきて、AさんとBさんでセッションを5分行うと、次はCさんが入ってくる。するとAさんはステージからいなくなり、残ったBさんとCさんでセッションを5分。次はDさんが入る、Bさんはいなくなる。CさんとDさんでセッション……が16人。しかもそのアーティストが豪華であり、組み合わせも面白い。下記は当日の順番と組み合わせである。
SHOKO
SHOKO × 有島コレスケ
有島コレスケ × 小林うてな
小林うてな × starRo
starRo × TANCO
TANCO × 高橋保行
高橋保行 × 冨田ラボ
冨田ラボ × 江﨑文武
江﨑文武 × 波多野敦子
波多野敦子 × ASA-CHANG
ASA-CHANG × 灰野敬二
灰野敬二 × 蓮沼執太
蓮沼執太 × 菊地成孔
菊地成孔 × 大竹重寿
大竹重寿 × 鈴木勲
鈴木勲 × スガダイロー
スガダイロー
starRo × TANCO (c) Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
よくこんな企画が実行できたものだと驚かされる。このイベントは、10月22日から約1ヶ月にわたり開催されていた「Red Bull Music Festival Tokyo 2017」によるもの。本フェスティバルでは、この日のほかにも渋谷、六本木を中心に様々な場所で趣向を凝らしたイベントを開催していた。2014年に東京で開催された「Red Bull Music Academy Tokyo」と混同されそうだが、それとは異なり、今回は“日本の音楽にフォーカスした音楽フェスティバル”だ。よってこの日も(別日もだが)、日本の音楽シーンを大御所から気鋭のミュージシャンが一堂に会した。
開場から特等席である最前列には、この前代未聞の瞬間を見逃してなるものかと陣取る人も多く、私もそのひとり。取材席は別に用意されていたのだが、むしろ最前列がいい。ステージには多くの楽器が設置され、この後、どのようなライブを体験できるのか? その光景にあの場にいた多くの人の胸は高鳴っていたことだろう。
ライブはアシッドフォークシンガーソングライターのSHOKOから始まった。まずはソロでの5分だ。ギターの弦を叩き音を奏で、それがオーバーダビングされループしていく。ボーカルも同様。怪しさをゆっくりゆっくり増幅させていく。5分経つとベーシストの有島コレスケがステージに登場。SHOKOが作った雰囲気を、音と音の隙間を作らないような勢いのあるベースで、より強く怪しい曲へと押し上げる。5分のセッションが終わるころに、次は小林うてながステージに。スティールパンのトロピカルな音と勢いのあるベース。楽器の音を人間で言えば、のほほんとした人とエネルギッシュな人が仲良くしているようで面白い。音の相性がいいかといえば、次に登場したstarRoの隙間をたくさん作りながら響きの強弱を感じさせるシンセサイザーのほうが合っている。が、ミュージシャンが変わることで音楽の雰囲気ががらりと変わること、また普段はあまりない組み合わせの楽器同士のセッションがこのイベントの醍醐味なのだろう。
波多野敦子 × ASA-CHANG
(c) Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
このセッションが終盤に差し掛かるころ、灰野敬二がひとつの太鼓を打ち鳴らしながら登場した。太鼓をバチで叩いたかと思えば、太鼓に自身の胸をぶつけてみたり(それによる音は聞こえなかったが、そういう問題ではなさそうだ)。このとき、もう一人のミュージシャンはASA-CHANG。彼もパーカションを叩いていたが、もうひとつ、オーディオファイルを再生させたり、SEを発したりする謎の機械も演奏していた。その謎の機械からあるとき、Pharrell Williams が歌うDaft Punk「Get Lucky」が流れた…。サビのフレーズが聞こえてきたとき、オーディエンスとしては「えっ?」となりASA-CHANGを見て、その後に灰野の方を見る。彼は変わらず太鼓を叩き、太鼓に胸をぶつけに行く行為を繰り返しているが、あの灰野敬二が「Get Lucky」をバックにセッションしているなんて……これを事件と言わずして、なんと呼ぶのだろうか。以降も灰野は蓮沼執太のモジュラーシンセサイザーの音をバックに「君が代」を独唱していた。
灰野敬二
(c) Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
終盤は、菊地成孔のサックスに大竹重寿のドラムで、景色はライブハウスからジャズクラブへと一変する。そのあとも鈴木勲が現れ、スガダイローが現れる。鈴木勲とスガダイローのセッションでは、鈴木のテンションが上がったのか、5分に制限時間に気付かずスタッフやスガダイローが、困りながらも微笑む一幕も。最後、スガダイローのソロでは、終始鍵盤を低音から高音へ指を滑らせ奏でることを繰り返していた。痺れたあとの皮膚がジンジンする感覚が耳の周りを覆いう。その感覚を取るかのように、ピアノの弦を直接指で弾く音で、約1時間半のセッションは終わりを告げた。
最後、ミュージシャン全員がステージに登壇。なんてすごい画なんだと興奮しながら、この一瞬だけスマホのシャッターを切らせてもらった。「Red Bull Music Festival Tokyo 2017」は、2日後にLIQUIDROOMで開催される「DIGGIN’ IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭」でフィナーレを迎える。
菊地成孔 × 大竹重寿
(c)Suguru Saito / Red Bull Content Pool
(c)Suguru Saito / Red Bull Content Pool
スターターとしてAさんが登場。一人で5分のソロを演奏する。5分が経過したところでBさんが入ってきて、AさんとBさんでセッションを5分行うと、次はCさんが入ってくる。するとAさんはステージからいなくなり、残ったBさんとCさんでセッションを5分。次はDさんが入る、Bさんはいなくなる。CさんとDさんでセッション……が16人。しかもそのアーティストが豪華であり、組み合わせも面白い。下記は当日の順番と組み合わせである。
SHOKO
SHOKO × 有島コレスケ
有島コレスケ × 小林うてな
小林うてな × starRo
starRo × TANCO
TANCO × 高橋保行
高橋保行 × 冨田ラボ
冨田ラボ × 江﨑文武
江﨑文武 × 波多野敦子
波多野敦子 × ASA-CHANG
ASA-CHANG × 灰野敬二
灰野敬二 × 蓮沼執太
蓮沼執太 × 菊地成孔
菊地成孔 × 大竹重寿
大竹重寿 × 鈴木勲
鈴木勲 × スガダイロー
スガダイロー
starRo × TANCO (c) Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
よくこんな企画が実行できたものだと驚かされる。このイベントは、10月22日から約1ヶ月にわたり開催されていた「Red Bull Music Festival Tokyo 2017」によるもの。本フェスティバルでは、この日のほかにも渋谷、六本木を中心に様々な場所で趣向を凝らしたイベントを開催していた。2014年に東京で開催された「Red Bull Music Academy Tokyo」と混同されそうだが、それとは異なり、今回は“日本の音楽にフォーカスした音楽フェスティバル”だ。よってこの日も(別日もだが)、日本の音楽シーンを大御所から気鋭のミュージシャンが一堂に会した。
開場から特等席である最前列には、この前代未聞の瞬間を見逃してなるものかと陣取る人も多く、私もそのひとり。取材席は別に用意されていたのだが、むしろ最前列がいい。ステージには多くの楽器が設置され、この後、どのようなライブを体験できるのか? その光景にあの場にいた多くの人の胸は高鳴っていたことだろう。
ライブはアシッドフォークシンガーソングライターのSHOKOから始まった。まずはソロでの5分だ。ギターの弦を叩き音を奏で、それがオーバーダビングされループしていく。ボーカルも同様。怪しさをゆっくりゆっくり増幅させていく。5分経つとベーシストの有島コレスケがステージに登場。SHOKOが作った雰囲気を、音と音の隙間を作らないような勢いのあるベースで、より強く怪しい曲へと押し上げる。5分のセッションが終わるころに、次は小林うてながステージに。スティールパンのトロピカルな音と勢いのあるベース。楽器の音を人間で言えば、のほほんとした人とエネルギッシュな人が仲良くしているようで面白い。音の相性がいいかといえば、次に登場したstarRoの隙間をたくさん作りながら響きの強弱を感じさせるシンセサイザーのほうが合っている。が、ミュージシャンが変わることで音楽の雰囲気ががらりと変わること、また普段はあまりない組み合わせの楽器同士のセッションがこのイベントの醍醐味なのだろう。
波多野敦子 × ASA-CHANG
(c) Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
このセッションが終盤に差し掛かるころ、灰野敬二がひとつの太鼓を打ち鳴らしながら登場した。太鼓をバチで叩いたかと思えば、太鼓に自身の胸をぶつけてみたり(それによる音は聞こえなかったが、そういう問題ではなさそうだ)。このとき、もう一人のミュージシャンはASA-CHANG。彼もパーカションを叩いていたが、もうひとつ、オーディオファイルを再生させたり、SEを発したりする謎の機械も演奏していた。その謎の機械からあるとき、Pharrell Williams が歌うDaft Punk「Get Lucky」が流れた…。サビのフレーズが聞こえてきたとき、オーディエンスとしては「えっ?」となりASA-CHANGを見て、その後に灰野の方を見る。彼は変わらず太鼓を叩き、太鼓に胸をぶつけに行く行為を繰り返しているが、あの灰野敬二が「Get Lucky」をバックにセッションしているなんて……これを事件と言わずして、なんと呼ぶのだろうか。以降も灰野は蓮沼執太のモジュラーシンセサイザーの音をバックに「君が代」を独唱していた。
灰野敬二
(c) Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
終盤は、菊地成孔のサックスに大竹重寿のドラムで、景色はライブハウスからジャズクラブへと一変する。そのあとも鈴木勲が現れ、スガダイローが現れる。鈴木勲とスガダイローのセッションでは、鈴木のテンションが上がったのか、5分に制限時間に気付かずスタッフやスガダイローが、困りながらも微笑む一幕も。最後、スガダイローのソロでは、終始鍵盤を低音から高音へ指を滑らせ奏でることを繰り返していた。痺れたあとの皮膚がジンジンする感覚が耳の周りを覆いう。その感覚を取るかのように、ピアノの弦を直接指で弾く音で、約1時間半のセッションは終わりを告げた。
最後、ミュージシャン全員がステージに登壇。なんてすごい画なんだと興奮しながら、この一瞬だけスマホのシャッターを切らせてもらった。「Red Bull Music Festival Tokyo 2017」は、2日後にLIQUIDROOMで開催される「DIGGIN’ IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭」でフィナーレを迎える。
菊地成孔 × 大竹重寿
(c)Suguru Saito / Red Bull Content Pool
(c)Suguru Saito / Red Bull Content Pool