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UNDERGROUND LONDON PARTIES Vol.02~20:20 VISION PRESENTS~

前回「VIVA HAREM NIGHT!」@AKA&THE ENDを特集した「UNDERGROUND LONDON PARTIES」ですが、第2回目となる今回は、ロンドンの東部のアートが盛んなエリア、ブリックレーン近くにある「T-BAR」に潜入。THE ELECTRIC PRESSのラップトップ&DJを初体験してきました!ハウスコンピシリーズ「Fabric」からもリリースしたRalph Lawsonのレーベル「2020 VISION RECORDINGS」の代表的アーティストである彼ら。毎月最終木曜日に「2020VISION RECORDINGS」所属アーティストらによって開催されているこの人気パーティーをレポートします。

5月31日、猛暑。

暑さが急激に夏に近づいた5月最終日、23時ごろにT-Barに到着すると木曜日にも関わらず、すでに多くのクラウドでいっぱいで、騒がしい音楽が鳴り響いていた。「このDJは誰だろう?」とダンスフロアをのぞいてみると、RYAN SHAWと「2020 VISION」のTRISTAN DA CUNHAがバックトゥバックプレイの最中。ファンキーなテックハウスや、今のロンドンを象徴するようなミニマルなテクノを巧みにプレイし、クラウドを楽しませていた。あとで聞いた話によると、このパーティーが始まった20時から2人でフロアをじりじりと温めていたとのこと。なかなかの腕前を持った地元のウォームアップDJだった。

【写真左/中】
T-Barの外観。ビルに沿って左側にいつも長い列ができる。扉にT-BARのシンボルである「T」の ロゴが大きく描かれている。

【写真右】
RYAN SHAW(奥)とTRISTAN DA CUNHA(手前)のバックトゥバック。さすがフロアをあたためるのがうまい!

ラップトップ&CDJ×2=Great!!!

午前12時間を過ぎ、クラウドでフロアがギュウギュウになったところで、The Electric Pressが登場!!ラップトップとCDJを組み合わせたライブパフォーマンスを披露していた。2人が登場した瞬間に一気に音圧が上がり、固く乾いたビートが体に心地よく響く。サウンドはテックハウスとエレクトロ。まさに「20:20 visionサウンド」だ。しょっぱなからファンキーなグルーヴと、アシッドテイストなベースとシンセでクラウドを引っ張っていく。彼らの曲を中心とした選曲で、初のシングルカット「Tone Control」、「A New World」 もプレイ、その度にフロアを沸かせていた。その中でもPrinceを思わせる歌声が耳に残る、Bumper「Cosmopolitan Lover」(The Electric Press Remix)は、オシャレなボーカルとアップテンポなビートが絶妙に絡む曲で、この曲がかかったとき、僕も含めクラウドはみんな完全にロックされていた。DJのミックスセンスや構成、音楽性の幅よりも、曲自体のセンスとクオリティの高さ、音の質感でクラウドを踊らせる。自分たちの音楽スタイルをしっかり理解、意識した上で、それを崩さずにうまく表現しているように感じた。テッキーなサウンドや、ミニマルっぽい音はT-Barにぴったりはまるということもあり、The Electric Pressのよさをさらに引き出していた。

【写真左】
ちょうどThe Electric Pressのプレイがスタートしたところ。DJブース奥にPCを置き、いろいろと話しながらプレイ。

【写真中/右】
Wesley Gillがプレイ中に、テキーラのショットを飲もうとしているが、それを他の2人が飲もうとして いる1枚。彼ら自体もお酒を飲みながら楽しんでいるようだった。

平日の夜!?

音楽や踊りを楽しみに来ている人、仕事帰りで飲みにきただけの人が、ド平日に週末と同じくらい楽しんでいたこの日は、パーティー自体がしっかりとしたコンセプトを持っており、来ている客に媚びることなく送られた。自分たちの音楽を明確にクラウドに届けようというスタンスが感じられ、非常にクオリティが高いイベントであることにすごく驚いた。1つだけ週末と違うところは、クラウドの楽しみ方ではないだろうか?ストレスを発散すべく騒ぎまくる「パーティーパーティー感」はなく、みなどことなくクールに遊んでいる印象を受けた。平日の夜に気軽にお酒を飲みながら、いい音楽を楽しみ、踊る。これもロンドンライフスタイルの1つではないだろうか。

【写真左】
「20:20 Vision」のバナーが大きく掲げてあり、存在感満点!

【写真/右】
フロアの天井は低く、バーカウンター奥にあるチルアウトスペースのオレンジ色の照明が、独特の雰囲気を醸し出す。

クラバーにはバス移動が便利!?

「20:20Vision」のパーティーを含め、平日のパーティーはだいたい2時ごろに終了する。日本だと「それからどうやってみんな家に帰るの?」と疑問に思う人が多いだろう。マンガ喫茶?それともタクシー?いや、違う。ロンドンのナイトライフを充実させるポイントの1つは、深夜バスを利用することだ。10分~20分間隔でロンドン中をバスが走っているので、遅い時間にパーティーが終わっても必ず家にたどり着ける。ということは、平日でも安心して遊びに出かけられるのである。さらにロンドンのバスネットワークは非常に細かく、生活する上で本当に欠かせない公共の乗り物なのだ。ロンドンの町自体もあまり大きくないため、ある程度までバスで帰ってこられれば、歩いても家にたどり着けるのである。

今回は平日の夜のクラビングをレポートしたが、日本との違いを感じてもらえただろうか?これから夏をむかえ、ロンドンでもフェスなどのビッグパーティやボートパーティなど楽しい催しがたくさんやってくるので、どんどんご紹介できたらと思う。ではまた次回!!!

■20:20 VISION RECORDINGS

イギリスLeeds出身のRalph Lawsonがオーナーを務め、スペインの巨大音楽カンファレンス「Sonar 2007」にも2020 VISIONとしてRalph Lawson、Paul Woolford、Simon Baker and Andy Whittakeの出演が決定している。日本ではレーベル傘下アーティストSprit CatcherがageHaで来日プレイし、その存在感をアピールしたばかりだ。

【レーベルアーティスト】
Spirit Catcher
2020Soundsystem
The Electric Press
Silver City
Dubble D
Random Factor
Fred Everything
Bobby Peru
Art of Tones
Francisco
The Liptrick
Sacchi & Sandiego
DB vs Tim Paris
Boogie Corporation
Phonogenic
Kenny Hawkes & David Parr
Nick Chacona
Bumper
Infant Present Burnski
Kriece, The Youngsters

■THE ELECTRIC PRESS

Tom Taylor(22歳)とWesley Gill(24歳)からなるデュオ。 今年の4月に2020VISIONから初のシングル「Tone Control」をリリースし、つい先日リリースしたBumper「Cosmopolitan Lover」のリミックスは、2007年7月現在アンダーグラウンドダンスミュージックシーンの間でスマッシュヒット中。DJ、プロデューサー、リミキサー、ライブパフォーマンスと様々な顔をもつ彼らのプレイスタイルは、ファンク、ハウス、テクノ、ブレイクビーツの音源を自由自在に行き来する。 2020 Vision Recordingsと契約したあと、様々なリミックスを手がけDJ、クラウドから高い評価を得て、有名コンピミックスシリーズ「Renaissance」をNic Fanciulliが手がけた際に、彼らの楽曲「Re-evaluate」 と彼らが手がけたBuick Project「At The Rave」リミックスが収録され、さらに注目を浴びることとなった。多数の楽曲がある中でもDJ T「Robot Riot」のリミックスは彼らのベストセラーであるとともに、世界中のトップDJたちがヘビープレイして話題を呼んだ。The Electric PressのDJセットを聴いてみたい人はここをチェック。
http://www.electricpress.co.uk
http://www.myspace.com/theelectricpress2020vision

■T-BAR

アートが盛んで、おしゃれなカフェ、洋服屋、レコードショップ、そしていたるところにおもしろいバーや小さいクラブなどがあるイーストロンドンの代表的なエリア、ブリックレーンの近くにあり、とりわけこのエリアでもっとも熱いハイストリート沿いにあるのが「T-BAR」だ。 ロンドンの東側に位置するリバプール駅から、10分ほど歩いたところにある大きなビルの1階にあり、「Bar」と名前がつくとおり、 基本的にパーティー、イベントの入場料はタダ。それでもパーティーのクオリティは、他のクラブと比較してもまったく引けを取らない内容のものばかりだ。エントランスフリーなので、入り口に長蛇の列ができるのは日常茶飯事で、人気パーティーになると入場に30分かかってしまうことや、入場制限で入れないこともある。 中のつくりはいたってシンプルで、スピーカーがフロアの4つ角に1個ずつ配置され、その他のス ペースは椅子とテーブルがたくさん置かれている。スピーカーの音は非常に悪く、とくに低音域があまりにも出すぎると「ブオーーーー」としか聴こえず、鼓膜が破れそうになるほどだ。 500人収容可能だが、ダンスフロアは50人も入るとかなりギュウギュウな感じになる。というのもダンスフロア以外は「広いチルアウトスペース」という感じで、踊ったり、休んだりと、かなりざっくばらんな雰囲気だからだ。天井が低く「クラブ」というよりも「廃ビル」という感じで、スピーカーとバーカウンター、椅子、テーブルを置いただけの空間 は、何かの映画に出てきそうなアンダーグラウンド感がある。 20: 20 visionのパーティー以外にも、Cross Town LabelsのDAMIAN LAZARUSが毎月第2月曜日開催している「STINK」があり、とくに人気のあるパーティーの1つになっている。
http://www.tbarmusic.com

■レポーター「KSK」

1978年10月生まれの天秤座、血液型不明。人から聞いた話よりも自分の目で確かめなきゃ気が済まない性格で、モットーは「継続は力なり」と「初心忘れるべからず」。誰よりもビートとバイブスを感じることが1番幸せ。小さいころは野球に明け暮れ、毎日のように泥だらけでいつかは野球選手になれるだろうと本気で考えていたマルコメ小僧。高校生のときにヒップホップに出会い、ダンスに目覚め、音楽や黒人文化に憧れ、いつかプロダンサーになろうと日々昇進している中、ハウス、テクノに狂ったようにのめりこみ、そのままオーストラリアに旅立ち、人生観や旅の楽しさ、音楽に対する考え方や感じ方を自分なりに発見する。帰国後、その経験を生かし東京で音楽にディープにのめりこんでいく中、さらなる自分自身の変化や成長、また新たな音楽的な境地を求めて東京を離れる。現在ロンドンにてゼロからの人生をスタートさせた28歳。