ゴールデンウィークの時期は連休に合わせて有名DJたちが続々と来日し、ビッグパーティーが繰り広げられるが、最近ではこの来日ラッシュの波に乗って、他のアジアの国々のクラブでも海外DJをブッキングする傾向にあるという。もちろん、バンコクもその例外ではない、ってことで、今回はゴールデンウィークに訪れたバンコクのクラブ事情を探るべく、現地のクラブを取材してきました!
物価は日本の3分の1以下
まずはタイ、バンコクの基本情報。1998年にタイのピピ島を舞台にしたレオ ナルド・ディカプリオ主演の映画「The Beach」が公開して以降、 タイはアジア一の観光王国となった。それ故にめざましい経済成長を遂げており、国民の生活水準や物価も急上昇中にある。が、日本の物価と比べるとまだまだ リーズナブル。 例えば、デパートに入っている一応ちゃんとしたレストランでも100バーツ(約300円)でランチセット、ディナーだって、300バーツ(約900円)も 払えばドリンク込みで食べられる。 タクシーも初乗り35バーツ(約100円)で、かなり乗ったな?と思っても、結局100バーツ(約300円)くらいだったりする。 注意したいのは、バンコクの交通事情は最悪で、特に夕方の渋滞にハマってしまったら、まったく車が動かないこともあるので、昼間はBTS(いわゆるモノ レール)で移動する方が時間が読める。 BTSもタクシーも、さほど運賃が変わらないため、BTSに乗ると、皆こぎれいな格好をしている。外国人か、またはちょいハイソな現地人が使用しているよ うだ。 一般庶民はバスか、チャリンコで移動するのが普通らしい。ホテルだって例外ではなく、1泊1万円も払えば、かなりグレードの高いホテルに泊まれるだろう。 筆者もショッピング中に店内のバッグがすべて199バーツ(約600円)というお店を発見し、しかも、けっこうセンスがよかったので大量にまとめ買いをし た。 この流れで考えると、夜遊びしてクラブでガンガン飲んでも、そんなに高くないんじゃない?と思うかもしれないが、答えはNO!である。
ガンバレ!タイの音楽市場
バンコクのクラブ カルチャーは日本のそれに当てはめると、やっとジュリアナ時代が終わったかなという感じ。いかにもディスコ風な外観や店内だが、音楽はハウス系だったりす る。 まだ、クラブカルチャーがスタートし始めて間もない感じ。タイにはタワレコやHMVなどの大手外資レコード店は存在しない。 かつてはバンコクにも進出していた時期があったらしいが、すぐに撤退したそうだ。なにせ、ココはコピー商品の無法地帯。街を歩けば、いたるところで正規の 5分の1程度の価格でコピーCDが大量に出回っている。 実際、Hed KandiやMinistry of SoundなどのコンピレーションCDもコピー商品が多々見受けられた。これでは、正常なルートの音楽マーケットなど存在しないのも無理はない。
クラブはハイソな人の溜まり場
で は、クラブにはどのような人たちが出入りするのでしょう?それは観光客や駐在員を含む外国人か、お金持ちのタイ人である。なかにはエントランスがノー チャージのクラブもあったが、ほとんどのクラブは入場料があり、クラブによってまちまちだが、だいたい平均すると、平日で 300バーツ(約900円)、週末で倍の600バーツ(約1800円)くらい。ドリンクはビールで180バーツ(約550円)、カクテルで200~250 バーツ(約600~750円)くらいと、日本のクラブと同程度だ。ということは、100バーツ(約300円)でランチセットが食べられてしまうこの国で は、入場料があるなしに関係なく、クラブ遊びは相当に高い。実際、数日間だけのステイでも、この物価の安さに慣れてしまうと、夜クラブでドリンクをじゃん じゃん買うのは、やはり躊躇してしまう。一般庶民には、まだなかなか手の届かない場所のようだ。
クラブは1時に閉店!?
バンコクのクラブも日本と一緒で20歳未満は入場禁止。ドアチェックは厳しく、 外国人はパスポートは必需品だ。それに、ビーチサンダル&ハーフパンツでは、入場を断るお店もあるので注意。特記すべきことは、タイではレストランやクラ ブ、バーを対象にした風営法の取り締まりがかなり厳しく、法律で夜中1時以降は営業できないことになっている。一応、日本の風営法でもクラブの深夜営業は 不可だけどね。1時を過ぎると、クラブ周辺には早く閉店しろと言わんばかりに、必ず警察が見回りにやってくる。警察と仲良しのクラブは2時くらいまで営業 しているということだが、たいがいは1時を回ると照明がパッと明るくなり、あと始末を始め出し、終了とあいなる。日本のクラブに慣れていると、いよいよこ れから盛り上がろうってときに閉店されたのでは、まだまだ遊び足りないというところだが、警察が厳しいからアフターアワーをやっているクラブもなく、みん なおとなしく帰路につくのだ。コピー商品の取り締まりには、なかばサジを投げた警察だが、クラブの取り締まりは徹底して行うという、ちょっと矛盾した国な のである。
クラブエリアはスクンビットvs RCA(Royal City Avenue)
バンコクで、クラブの 密集するエリアは大きく2つに区別される。まずは、スクンビットエリア。このエリアには、各国大使館や多くの主要ホテル/ショッピングモールなどがあり、 常に外国人観光客で賑わっている。クラブも外国人客、特に欧米人が占める割合がかなり大きく、観光客が多いため、平日でもお客さんの入りが比較的多い。代 表的なクラブは宇宙船のような外観が目を引く、話題の「Bed Supper Club」やシンガポールにもOPENした「Q Bar」など。女の子もかわいい子が多いけど、超スタイル抜群なので、写真を撮りに近づいてみるとニューハーフ(現地ではレディーボーイと言う)だった! なんてことが結構あったので、男性諸君、声をかけるときはよく観察してからにしましょう。なかには、まったく見分けのつかないレディボーイもいるので要注 意。あとは、男性がはるかに年上で女性はティーンエイジャー?ってくらい若い、微妙なカップル(おそらくパトロン)がたまに見受けられたのがタイらしいか も?
もう1つのクラブエリアはRCA(アール・シー・エイ)。RCAとはロイヤル・シティー・アベニューの略で、穏やかにカーブした全長2キロほどの通りの両 側に、パブやバー、クラブがぎっしりと並んでいる。バブルの頃に大賑わいし、以後、一度はひどくさびれたらしいが、最近また復活してきており、特にタイの 若者に人気のエリアだそうだ。実際、足を運んでみると、外国人の姿はほとんど見受けられなかった。タイの法律では、20歳未満はクラブ入場禁止となってい るはずだが、ティーンエイジャーだらけかと思えるくらい若い層のタイ人で賑わっている様子。このエリアはヒップホップやタイポップが中心で、クラブの中に もいくつかの部屋があり、ココはヒップホップ、隣りはタイポップのバンドがLIVEしている、という感じ。個人的観点から言うと、日本のクラブを想像して いくなら、RCAではなくスクンビットだろう。タイっぽいクラブを一度味わってみたいというならRCAに行くのもよい。
トランス、ヒップホップが特に人気
では、バンコクではどんな音楽が流行っているのか?トランスとヒッ プホップが2大流行といったところか。大箱では、海外DJの招聘も積極的に行われている。 トランスではTiestoやPaul OakenfoldなどのビックネームDJが定期的にバンコクでプレイしている。ちょうど、バンコクを訪れた次の週にPaul Oakenfoldがやってくるということで、クラブの入口&店内はどこを見渡しても「Super Star DJ Paul Oakenfold」と書かれた特大ポスターが飾られているほか、お店のスタッフも全員でそのTシャツを着用しており、まさに店を挙げてのPR、相当の気 合いが感じられた。 日本で、ココまでやるとかえってダサくなるが、ここはバンコク、とにかくド派手なプロモーション命のようだ。ハウス系では、Derrick Carter、Danny Howells、Stephane PompougnacなどのDJを招聘しているようで、一部に根強い4つ打ちファンもいるが、タイ人の間では、やはりヒップホップがかなり人気のようであ る。いま、世界中でヒップホップがブームだが、その波はバンコクにもおよんでいた。