REPORTS

Osaka Club Report

大阪クラブレポート

西日本最大の都市、大阪。とりわけ若者文化を発信し続けているミナミでは、アメリカ村を中心にクラブがひしめく。今回はここに数ある店舗の中から5店をご紹介しよう。関西を旅行する際は、ガイドとして参考にするとよいだろう。

Zing(ジン)
「様々なキャラを持つ良箱」
道頓堀に面するクラブ「Zing」。大阪の友人に「いいクラブだよ」とよく聞いていたので来るのが楽しみだった。店内に入ってみると1Fは木材を貴重とした内装で、オーガニックな感じのカフェ&バー。ちょうどこの日のゲストDJ、SIMON Sもこのラウンジで友人とまったりすごしていた。B1Fに下りると妖艶な雰囲気のメインフロアが。とにかく暗い。1Fの有機的な雰囲気とは対称に、打ちっぱなしのコンクリートにカモフラージュネットがかかる。妖しげな照明もそれに呼応していた。
音楽と雰囲気を楽しんだあとは2Fのテラスへ。大阪のど真ん中に位置するビルの屋上にブースを設置し、夜空と道頓堀沿いのイルミネーションを見ながらビールをたしなむ。これ以上の贅沢があるだろうか。友人がここをおすすめする意味がわかった。

CLUB AZURE
「ブラックミュージックの中心地」
アメリカ村に位置し、ブラックミュージック中心の選曲で盛り上がる「club AZURE」。ちょうどこの日は毎週土曜日開催で「AZURE」の顔ともいえる大人気看板パーティー「SATURDAY AZURE」を開催中だった。早い時間帯に行ったにもかかわわらず、すでに人で溢れかえり「CLUB AZURE」の人気をうかがえた。店内には間仕切りがなく、広く開放的な空間だ。店内中央にはDJブースとフロアがあり、その周りをバーラウンジが囲むつくりになっている。一見「こんなにフロアが近いのでは会話もままならないのでは?」と思ったが、フロアから1歩出ると、普通に会話もでき、サウンドシステムへのこだわりを感じた。これからも大阪のブラックミュージックシーンを牽引してくれることだろう。

GRAND CAFE
「NYハウス系ハイスタンダードクラブ」
NYハウスを中心とした選曲で人気のクラブが「GRAND CAFE」だ。エントランスではスーツをびしっと着たスタッフが案内してくれ、緊張感に包まれる。店内はダンスフロアを包み込むようにサウンドシステムが装備され、直径1mはあるであろ巨大なミラーボールが構える。またかなり高いところに位置するDJブースは、両サイドにモニター、向かって右手にプラズマが設置され、派手なつくりになっており、今までにFrancois K.、Joe Claussell、Danny Krivit、Frankie Knuckles、David Moralesなどの大物DJをむかえ、数々のパーティーを成功させてきたのも納得だ。また飽きのこないライティングも、雰囲気を盛り上げているようだった。ラウンジは明るく華やかで、椅子が多くゆったりでき、これならば朝までストレスなく踊り続けられる。10月20日にはLouie Vegaがプレイするので、こちらも楽しみにして欲しい。

TRIANGLE
「個性派+実力派の開放的な空間」
数々の国内外大物アーティストがプレイしているクラブ「TRIANGLE」。ここはビルの3Fから5Fまでがクラブで、道路に面した入り口から上を見上げると、5Fまで続く長い階段が設置され、これがまた気持ちを高ぶらせてくれる。3Fのメインフロアは吹き抜けになっており、DJブースの上には巨大なモニターと、まるで異次元空間のようだ。4階は間接照明の中にベッド(?)と思うような大きさのソファーがあり、ここに座ると目の高さにモニターがあらわれ、まるで友人宅に招かれたような親しみを感じた。さらに吹き抜けから下を見下ろせるなど、気取らないガレージ感もあり、国内外の有名アーティストたちが絶賛するのもうなずけた。

knave
「ライブハウスが創る夜の空間」
これまでライブハウスとして営業し、今年の夏にリニューアルした「KNAVE」。メインフロアとカフェスペースからなる2フロアで構成され、メインフロア天井には杉材の格子がはめこまれ、そこに野外パーティー風のオブジェが吊るされるなど素朴な表情を見せていた。この日は東京のミニマル、クリックイベント「Organza」が開催されていた。元々ライブハウスとしての顔をもつだけに音はよい。ミニマルでダビーな音が、くせのない、クリアでパワフルなサウンドシステムにかかるととても聴きやすくなる。黙々と踊るクラウドにも、東京とは違うマニアックな雰囲気を感じた。


今回大阪のクラブをめぐってみて、箱の雰囲気が多種多様であることに気がついた。それぞれに違う雰囲気で、それぞれに楽しみ方も違う。写真や映像で簡単に情報を得られる時代ではあるが、今度は実際にあなたの目、耳、体でこれらの現場を体験してほしい。きっとこの中にもあなたのお気に入りのクラブが見つけられるだろう。また自分自身も、様々な大阪のクラブをもっと開拓したいと思う。