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POPKOMM 2008 Vol.1

ヨーロッパを代表するミュージック・カンファレンスPOPKOMM。最先端の機材メーカーや音楽レーベルがベルリンに一同に集い、日頃、制作した作品を披露し合う。POPKOMMのようなカンファレンスが軸となりヨーロッパ全体の音楽ビジネスを盛り上げているという。披露される作品もさることながら、そのビジネススタイルもスマートでいかにもヨーロッパらしく洗練されている。先ずは第一部、会場からアフターイベントの様子をお届けします。

POPKOMM 2008

毎年、野外シーズンも終わり秋らしくなってくると、ベルリンに音楽業界人が集 まり、にわか活気づく一週間がある。POPKOMMと呼ばれるミュージック・カンファレンスが開催されるのだ。世界何カ国から何人もの人が集まるこの一大 イベントと、それに伴う数々のレーベルショーケースで、ベルリンの秋の週末は盛り上がる。

会場の様子

少し離れた街の西側にある、カンファレンス会場では、国ごとに区分けされた音楽の展示場となっており、各国趣向を凝らしたブースを設置、楽しんでくつろいでもらって商談をしよう、と言うもてなしの趣向で、一見遊んでいるようにも見えるが、とても活発に商談が行われている。

様々なカンパニー・ブース

カンパニー・ブースにはヴァイナルカッターのメーカーの展示、オンラインでのアーティストプロモーションのエージェント、イアープラグメーカー等々。

IOSONOブース

筆者の興味を引いたのは、TRESORに10月よりインストール予定の256チャン ネルサラウンドサウンドシステム、IOSONOのブースである。コントローラーの実機が展示されており、実際に触る事が出来た。残念ながらスピーカーは無 いので、コントローラを触っただけであった。タッチパネル式のコントローラには、現在どこから(どの方向から)音が鳴っているか表示されており、そのアイ コンを触ると音の出てくる方向を変えられると言う物で、自動で一定の速度で回したり、等の芸当も可能だ。キミはおそらく実機を触る初めての日本人だ、良 かったら今晩TRESORでお披露目パーティーをやるから来ないか、と誘われた。

TRESORへ

TRESORには来るのは正直かなり久々だ。以前の場所から移転して以来、既に一年半が 経過するが、僕が来たのは一回だけである。正直、今やベルリンの代表的なクラブはTRESORではなく、BERGHAIN/PANORAMA BARがその役割を果たしている。ただし、このクラブは場所が巨大過ぎてまだまだ発展途上にすぎないと言う。実際、巨大すぎる建物の大きさに対して内部は 意外と小さい。フロアはほどほどの大きさのBATTERY RAUMと、過去のTRESORから移設したと言う、TRESORと言えば、のあの鉄格子を備える金庫室そっくりのTRESOR である。しかし、BATTERY RAUM から見える広大な空き空間は、まだまだ有るこのクラブの可能性を示唆している。ベルリンの電気会社VATTENFALLが払い下げたこの発電所跡は、彼ら が未だ使用している部分があるとはいえ、クラブの占める面積はまだまだ小さい。過去、ベルリンを象徴したクラブは、再び生まれた街と同じように、ゆっくり と、しかし急速に変化していくのだろう。
話を戻そう。TRESORのフロアの一つ、BATTERY RAUMに入ると、フロアの全周に小さなスピーカーが備え付けられているのが分かる。どうやらこれがサラウンドシステムのようだ。そして、DJの前にはカ オスパッドをふた周りくらい大きくしたタッチ・スクリーンがあり、それを触ると音が回転する、と言ったよう。ヘリコプターが頭上を旋回しながら、上昇して ゆく様を再現できる、との話だったが、テクノ・サウンドではそこまでは感じ取れなかった。むしろ、
サンプルを利用した、リアリティのあるブレイク等で使用した方がよりいっそうの効果があるだろう。256チャンネルと謳うだけあり、スピーカの数はすご い。うまく使えば、フロアを別次元に持っていける、キラーサウンドを作り出せる。我々はTRESORを後にし、次はWEEKENDで行われている、 BEATPORTのPARTYへと向かった。