The Soundwave Festival, Croatia : July 17th-19th
http://www.soundwavecroatia.com/
Soundwaveは、ロンドンが拠点のイベントオーガナイザー「Soundcrash」 http://www.myspace.com/soundcrashproduction と、リーズ拠点のパーティ好きな人々「New Bohemia」http://www.myspace.com/newbohemia による企画。Soundcrash は、幅広いイベントを催しているが、その大半はアンダーグラウンドなヒップホップかブレイクビーツ。例えばDJ Krush(ちなみに10月3日には北ロンドン、カムデンのKOKOにてDJ Kentaroとのギグの予定)のロンドンでのギグは彼らの手掛けたものらしい。イングランド北東部からのNew Bohemiaも似たような活動をしている(彼らのマイスペースによると「素晴らしいヒップホップ、ファンク、ソウル、ブロークンビーツ、ダンスフロア ジャズ、ラテン、レゲエ、アフロビート、ダブステップやディスコなどの中でも最高のものをお届け!」)どちらも熱心で忠実なファンを抱えており、UKとク ロアチアがヨーロッパの反対側であるにもかかわらずフェスティヴァルが満員盛況だったのは驚くにたりない。この週末、不満を言う点があるとすれば、少なく も参加者の90%がイギリス人で、他のヨーロッパ各国からは少々、クロアチア人はほんのわずか一握りだったということくらいか。
イギリス人はミュージックフェス目当てに旅行するのが大好き(この季節、夏の天候がイギリスみたいにこんなに気まぐれでなければ日本でもそうであろう)、 それでもローカル人口の数を上回ってしまうことはあまりない。そしてそんな場合は、彼らのおかしな旅先での態度(やたらたくさん、しかも昼間から飲酒、な ど)は実害はないとは言え、他のイギリス人にしてみれば時として恥ずかしいこと。この週末は終始何らトラブルもなく、とにかくミュージックフェスでこれは かなり驚くべき。誤解しないでほしいのだが、私はイギリス人を嫌っているわけではない。現に私自身もイギリス人である。が、太陽の降り注ぐ暑い海辺、手ご ろなビール、船上パーティー、水着でレゲエを踊る女の子たち、それを単にそっくりそのままイギリスから持って行ったようなフェスよりも、外国にいる気分を 味わいたいだけ…まぁ、これでは文句が多すぎるかもしれないが。
さて、振り返ってみると、おかしなフェスではあったが、こぢんまりとして、太陽いっぱい、リラックス、といった意味のおかしさである。それ自体が都市のよ うな、週末全部過ごさなくてもよいフジロックみたいなフェスに行きたいのならば、ここはちょっと違うだろう。同様に、独りだったらあまりすることがないか ら、友達と一緒に行ったほうがよいだろう。もし、とにかくクロアチアでホリディ(美しい海岸や古都など、かなりおすすめ)を過ごしたいのならば、 Soundwaveは最高の週末となりうる。Soundwaveをはずしてしまっても、7月から9月まで同じ会場で、殆どどの週末も何かしらのフェスが行 われている。Soundwaveの前2週間催されるThe Garden Festival http://www.thegardenfestival.eu/#/en/ はその中でも最大である。
その他:
今年の全週末通しの早割りチケットは40ポンド(約6,200円)。早割り後や当日券は60ポンド(約9,300円)と割高になる。
週末を通じて、ステキな木の客船、Argonaughtyでは Soundwaveの船上パーティーが催された。様々なプロモーターの企画によるパーティーはいづれも数時間のクルーズ。料金はそれぞれ150クーナ(約 2,750円)となるが、すぐに売り切れてしまうので、事前もしくは現地に着いてすぐの購入をおすすめする。
メインのフェスが終了してからは、追加料金80クーナ(約1,500円)で会場内クラブでのパーティーもある。
最大の経費ともいえる宿泊費は、チケット価格に含まれていない。事前にSoundwaveのサイトに選択肢が挙げられているが、キャンプ(近場だったりそ うでもなかったり、でも全て低価格)や、フェス会場に隣接したホテル(これはあまり安いとは言えない上、私が電話で問い合わせた時には最低一週間の予約を 要求された)、もしくは村や近隣の町のアパートメント(誰かとシェアできるならそう高くはならない)などが利用できる。
英語はドイツ語とともに広く流用しているが、皆が話すというわけではない。
一番近い空港はZadarだが、数時間かかるとは言え他の空港へ到着してからそこからバスでの交通も可。何しろクロアチアで休暇を楽しむなら、どのみち移 動してみたいと思うだろうから。私はまずSplitへ降り立ち、ヨットクルーザーたちのパーティー中心地であるステキな島、Hvarへフェリーで移動し た。
クロアチアはお隣のセルビア(フェスが大好きなら7月のセルビアのEXITフェスもおすすめである)よりはるかに高くつく、しかしイタリア、フランスやスペインなどの似たような場所よりはかなり安い。
ブレイクビーツの奇才「Daedelus」 http://www.myspace.com/daedelusdarling は金曜の夕暮れ時、大群衆を前にしてのギグを行った(通常、暗くなるまで混み合うということがないので、これは大変珍しいケース)。燕尾服、襟高シャツ、シルクスカーフといった、彼のおなじみの「いかれ帽子屋」衣装で、熱射病の危険もあるというのにたいしたものだ。
Red Snapper http://www.myspace.com/rustiebeetz は、15年程前(そう若者よ、記者はもうそんな年なのである)のアシッドジャズやトリップホップのブームから出て来た中でも非常に音楽的センスに優れてお り、素晴らしかった。もしも、大して楽器も弾けないような流行のギグを観に行くのに飽き飽きしているのならば、彼らのコンサートをおすすめする。彼らだっ たら目を閉じていても全曲即興で弾けて、かつ観客からアンコールの要望が飛び交うことだろう。「若さ」が過大評価されすぎなのである。
その後続いたThe Bays http://www.thebays.com/ は、さらに即興系。「曲」のリハーサルをしないことで有名、ただ頭に浮かんだものを演奏するそうである。彼らもまた、生き生きとし才能溢れ、全くもって独 特。そうそう、ドラマーは生ドラムでドラムンベースのリズムを叩く、という独自な技を披露していた。これは何回みても素晴らしいものである。
金曜のBeach Barステージを締めくくったのはTom Middleton http://www.myspace.com/tommiddleton の音楽的世界紀行のセット(Dizzee Rascalのミックスを織り交ぜながらイーストロンドン経由)。彼はもちろんすごくよかったのだが、暖かいそよ風と、すぐそばで波打つ海岸のせいもあい まって、得してるなぁと思わずにはいられなかった。こんなセッティングで、音楽を楽しまないわけがないから。
土曜、私のいちばんの発見はRustie http://www.myspace.com/rustiebeetz だった。このグラスゴー出身のダブステップ・プロデューサーは、どうやらいつもはグリッチ/実験的なものが専門らしいが、Soundwaveで彼はMCと 一緒にもっと聞きやすいグライムやダブステップを回していた。彼のことを知らなかったとは、とりわけ観客は彼めあてのファンばかりだったこともあり、私と しては少々恥ずかしいことであった。それどころか、この週末を見て、こんなにダブステップとグライムの人気が出たのかとちょっと驚いてしまった。週末を通 じて、彼のDJセットではダーティでヘヴィなベースをきかせたリミックスがかけられ、音楽オタクのみならず、みんなとても楽しんでいた。ところがA4用紙 なみに真っ白でしかも薄いRustie彼自身は、パソコンにへばりつきすぎのように見受けられる。今回ビーチで太陽を浴びられる機会があるとよいのだが。
他のラインアップは、私が読み上げてもよいのだが、コチラwww.soundwavecroatia.com/lineup.html のリストを参照してほしい。ここからどんな音なのか気になる名前があったら、MySpace/iTunes/last.fmなど、音楽情報のサイトから検 索してみるとよいだろう。